「顔が見えないからこそ官能的」―電話で感じる男の性癖と興奮と

「破格のバイト」の正体とは

大泉りか 人妻は不倫の夢を見るか? テレフォンセックス 池袋 Illusive Photography

 16歳で処女を失うと同時に、ギャル化も果たしたわたしの日課は、池袋の繁華街にくりだすことでした。
特に何か目的があるわけではなく、ただ歩いてナンパされたり、路上に溜まって話したり、たまに安いカラオケボックスで騒いだり。
そうして浮ついていると、悪い大人がイケナイ誘いをしてくるわけです。

 ある日、いつものようにサンシャイン通りを暇つぶしに徘徊していると、ひとりの男性が声を掛けてきました。
そして言ったのです。「ポケベル、欲しくない? バイトしてくれたら無料で貸してあげるよ」と。

 当時、イケている高校生の間で、ポケベルは不可欠の品でしたが、わたしの両親はそこそこに保守的であったために「そんなもの、なんで持つ必要があるんだ」として、絶対に借り与えてはくれませんでした。
だから、どうやってポケベルを手に入れるかは、当時のわたしの悩みのひとつでもありました。
「白馬の王子が突然やってきた!」とはさすがに思いませんでしたが、晴天の霹靂、棚からぼたもち。
「話だけでも……」ということで、雑居ビルの中にある事務所へとついていったのです。

 事務所で説明を受けると、バイトとは「ツーショットダイヤルのサクラ」ということがわかりました。
自宅もしくは公衆電話(当時は当然携帯など普及していませんでした)から、決まったフリーダイヤルの番号に電話を掛ける。
その際、相手と繋がるまでの間、個人に割り当てられたコードをプッシュすることで、サクラの誰が電話をしているのかがわかる仕組みになっていて、繋がった男性と5分以上話すと、時給が発生するというものです。
時給は一時間1200円だったと思います。
一時間ぶっ続けで話さなくてはならないことはなく、合計で一時間に達するごとに、時給が発生する仕組みで「女のコが足りない時に、ポケベルを鳴らすこともあるけど、その時、絶対に電話をしなくちゃいけないわけじゃないから」と説明を受けて思ったことは、「そんないいバイトがあるだなんて!」ということです。