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  • 2016.04.02

幼い頃の「性的トラウマ」で食べられなくなったあるもの

幼い頃の記憶というものは、意外と鮮明に覚えているものだったりしませんか?楽しい記憶ならいいのですが、その記憶がキッカケで何かがトラウマになってしまったなんてことが…今回は、そんな幼い頃の記憶が性的トラウマにつながってしまった経験を紹介していただきます。

かくれんぼで見つけた某M社の「マーブル」

大泉りか 別れ 卒業 状況 春 女 男 喧嘩
by dollen

 皆さま、某M社の「マーブル」というお菓子をご存知ですか?
筒状のパッケージが特徴的な、七色の糖衣を纏ったチョコレート菓子ですが、いまだにコンビニやスーパーなどで売られているので、「一度くらいは食べたことがある」という人も少なくないと思います。
しかし、わたしは、ある時以来、このお菓子をどうしても食べることが出来なくなってしまった――今回は、そんな性的トラウマの話をしたいと思います。

 小学校の真ん中くらいには、自然と、大人の男と女がする「セックス」という行為があるということを知っていました。
しかし、詳細までは理解できておらず、知識としては、「布団の中で裸になって抱き合ってすること」で「すると子供が出来る」ということくらい。
具体的に何をどうすることかは、誰も教えてくれなかったし、想像も出来なかった。
ただ、セックスを匂わせる行為や言動や肉体のパーツにタブーと好奇心を抱くとともに、その興奮する気持ちのことを「エッチ!」という言葉で表していました。

 小学生の頃、夏休みは、仕事のある父親を抜かし、母、弟、妹、わたしの四人で祖父の家に行き、三週間ほど過ごすのが我が家の毎年の定番でした。
祖父の家には、母の弟である叔父家族が一緒に住んでいて、そのひとり息子である三つ年下の男のイトコと、うちのきょうだいとで、虫獲りをしたり、蝉の抜け殻を集めたり、当時流行していたドラゴンボールごっこ(わたしはプーアル役)をしたりと、牧歌的な遊びに興じていたある日のことです。

 その日の遊びはかくれんぼでした。
二階の叔父の部屋に隠れたわたしは、机の下に潜り込み、ひっそりと息を殺して、鬼がくるのを待っていたのですが、その日に限っては、いつまで経っても鬼が探しに来ず、すぐに暇を持て余すことになりました。
なにぶん、せっかちな性質なもので、15分も待ったところで、隠れるのに飽き、「いい加減、見つけてくれないかなー」と机の下から這いだし、辺りにあった雑誌の束を物色したところ、半裸の女性が表紙になっている雑誌を発見したのです。

 我が家の父親は、割とリテラシーの高い人で、家の中にある「エッチなもの」といえば、中高年向け週刊誌と「家庭の医学」くらい。
当時はまだヘアヌード解禁前だったこともあり、裸の女性は載っていても「えげつない」というよりは「アートというフィルターを被せた女体」でしたが、当時のわたしにとっては、それくらいでも十分に劣情をそそる代物で、よくこっそりと盗み見ては、後ろ暗い昂奮を覚えていました。

 叔父の部屋にあった雑誌はまるで違っていました。
どのページも、黒々としたヘアを露わにした女性が、両足をパッカーンと開いている写真ばかりなのです。いま思えば正真正銘の「裏本」(※70~80年代に流行した局部がモロ出し、消しなしのエロ本)と呼ばれるものなのですが、初めて目にするドギツイグラビアに、ひたすら性的好奇心を刺激されて夢中になってページをめくっていたその時。
見慣れたものが目に飛び込んできました。某M社の「マーブル」です。

 しかし、あろうことか、マーブルは女性の股間にぱっくりと埋め込まれています。
そして、そんなものをオシッコの出るところに突き刺しているというのに、女性はウットリと陶酔した艶めかしい表情を浮かべている。
「なんでそんなものがアソコ入るの?」ただの切れ目だと思っていたアソコは実は穴だった……。
ショックを受けると同時に、本能的にそこに「セックスの秘密があるのではないか」と勘づいた、とある夏の日の思い出です。

 大人の世界をちらりと覗き見たその日以来、「マーブル」を目にするたびに、なんだか疚しさを感じてしまい、食べれなくなってしまったわけなのですが、問題は、味ではなく形状にあるらしく、不思議なことに、M&M’Sは抵抗なく食べることが出来る。
では、同じ筒状のパッケージに入っている「アポロ」はどうかというと、これも全然平気。
あの筒状のパッケージと中身とが一緒の時だけ、どうしても食べることが出来ない。
まことに、性的トラウマというものは非常に複雑怪奇なもの。
「マーブル」でさえも克服できないくらいなのだから、幼い頃にもっと衝撃的な経験をして、持つことになった特殊な性癖なんざ、治るわけもないと思う次第であります。

 続く。

…次回は《「本当に好きな人が出来るまで取っておきなさい」-純潔教育とリアルの葛藤》をお届けします。

Text/大泉りか

ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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