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  • 2016.01.30

『東京ラブストーリー』にみるセックスと年齢の関係とは…

大好きだった元カレと再会したら、あなたはどうしますか?「再会した時にセックスもしちゃった」なんて人も多いと思いますが、ちょっと待って!付き合っていた当時の思い出を守るために、セックスするのは50代まで待っていたほうがいいかもしれませんよ。

25年の時を経て「セックス」を高らかに叫ぶ

大泉りか 官能小説 人妻は不倫の夢を見るか 東京ラブストーリー 週刊ビッグコミックスピリッツ 鈴木保奈美 織田祐二
by combust

 昨年末、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」を観に劇場に行った時のことです。
隣の席に座っていたのは、推定70代のご夫婦でした。
映画が始まる前に、「やっぱりこれくらいの大作になると、普段はシネコンではあまり見ない世代の人たちも足を運ぶんだな」と思い、そしていよいよ本編が開始してしばらく。
そこに映し出されたのは、かつては結婚し、子まで成しながらも、今は別離しているハン・ソロと、レイア・オーガナ将軍――かつて愛し合ったふたりが、長い月日を経て再会したその姿!

 感涙するとともにふと、「もしも、隣の熟年カップルが、40年前にデートで、スターウォーズを観ていたとしたらロマンチックすぎるし、ほぼ同じ年月を経た、ハン・ソロとレイアのふたりを観て、どんな思いを抱くんだろう……」と勝手に想像して胸を熱くし、また、将来、我々世代も、そういう懐かしくも甘酸っぱい気持ちを持てる作品が、公開されればいいなぁ、なんて思いを巡らせていたのですが……それがこんなにすぐに実現しちまうだなんて!

 というわけで、今週発売の『週刊ビッグコミックスピリッツ』2016年9号に掲載された『東京ラブストーリー~After 25 years~』の50歳になったカンチと赤名リカについて。

……といっても、今の20代は知らない人がほとんどだとは思うので、一応ご説明いたしますと『東京ラブストーリー』は、80年代後半から90年代初頭に掛けて大ブームを起こしたコミックス&ドラマです。
単行本累計250万部以上売り上げの大ヒットを記録した原作はもとより、鈴木保奈美がヒロインの赤名リカ役を演じた月9のドラマ版も超人気で、「月曜の夜は街からOLが消える」とまで言われたくらい。
当時、わたしはOLではなくまだ中学生でしたが、それでも、夢中で観ていました。

 さて、このドラマを思い出す時に欠かせないものといえば赤名リカの言う「カ~ンチ」と「セックスしよ」のセリフです(注:一応説明すると「カンチ」は東京ラブストーリーの主役の名前です。ドラマ版では織田裕二が演じていました)。
劇中、保奈美が口にする「カ~ンチ」の調子がやや独特だったことは印象深く、また、今と違って、女性が「セックスしよ」といったダイレクトなセリフで男性を誘うことなど、まず考えることが出来ない時代であったことから、世間に大衝撃を与えました。

 当時中学生だったわたしたちの周りでも、誰かが「カ~ンチ」と叫ぶと「セックスしよ!」とコールアンドレスポンスする遊びが流行。
いくら無邪気がなせることと言えども、中学生が校庭やら通学路やらで「セックスしよ!」と叫ぶのはけしからんとうことで、先生や近所の方にはよく叱られました。
トレンディードラマゴッコをしているのに叱られることに理不尽を感じつつも、「セックス!」と声高々に叫んでいたあの時の快感をいまだ忘れられずに、どこかしこて「セックス、セックス」と連発している今のわたしがいるのかもれない……
前置きがものすっごく長くなりましたが、そんな思い入れのある作品の読み切り続編が、25年の時を経て登場したのです!

 以下ネタバレもありますので、未読の方はご注意を。


 「不倫セックスしよ!」は出るのか?

 というわけで、まさかの「不倫セックスしよ!」は出るのか。
知りたいという好奇心はあれど、ふたりのその後に、落胆したくない気持ちもある。
ゆえに、読むべきか読まざるべきかを悩んでいたところ、とある同じ年の男友達に「大泉さん、アレ、読みました?僕、ショック受けたんですよ」と話題を持ちかけられたんです。

 氏曰く、リカとカンチは不倫セックスはせず、ただ二人のかつてのセックスを語るのみ。
「アラフィフになると、セックスはするものではなく、語るものになるんだ、ってなんともいえない気持ちになって……」って、ああ、それ確かにつらい。
つらいけど、なんかデジャヴがある。
なんだったっけ?
とりあえず、週刊ビッグコミックスピリッツを入手し、50歳になった登場人物たちの現在に涙をこらえながら読了したところで、はっ、と思い出しました。
デジャヴ――それは、以前、学生時代の同窓会の、二次会のスナックで、かつて付き合っていたクラスメイトの男女が、隅でコソコソと話して、涙ぐんでいる姿です。

 その時、わたしは「あいつら、今さらイチャイチャしやがってキモー!」と心の中で毒づきながらも、その奥では、「甘い思い出を語る元恋人がいて羨ましいなー」と羨んでいました。
だって、わたし、よくよく考えてみたら、再会したい元彼なんていない。

 というのも、別れた後もフツーに友達付き合いを続けているか、道で偶然会ったとしても完全に無視されるくらい嫌われているか、もしくは会いたくないほど嫌っている元彼ばかり。
もちろん、思いを残して別れた人もいましたが、そういう相手は、とうの昔に再会済みどころか、ついでにヤっちゃっている。

 しかも、この「再会した時にセックスもしちゃった相手」というのが最も曲者で、ほぼ100%の確率で思うことは、「あれ、この人、セックスこんなに下手だったか」ということ。
そりゃそうですよね。
互いに心が寄り添っているからこそ、セックスが気持ち良かったわけで、技術はそのまま、愛がなくなれば「あれ?」と思うのは当然のこと。
男側からしても、大好きな彼女には気を使っても、簡単にヤラせてくれる元彼女には、甘えしかない。

 というわけで、気が付けば、わたしの足元はぺんぺん草も生えない荒野。
老後はどうやってトキメキを得ればいいの……。
というわけで、まだ再会していない、大好きだった元彼のいる人!
50代にほのかな甘みを味わうために、十分に寝かせてヴィンテージ化してからの再会をオススメします。

…次回は《「恋する女子の可愛さ」が詰まってる『地獄の釜』が開いたとき…》をお届けします。

Text/大泉りか

ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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