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  • 2015.12.12

救済は好きな人の「一番」だけ!セフレが同じ土俵でたたかう地獄

彼氏の浮気相手が自分にありとあらゆる部分を「似せてきた」。これって、どんなことなんだろう?何を考えているんだろう?同じ女でありながらも理解しにくい行動について考えみます。

救済は好きな人の「一番になること」

大泉りか 官能小説 人妻は不倫の夢を見るか 結婚 セフレ 夫婦
by Fausto Hernandez Photography

 今年もクリスマスが近くなってきました。わたしはイブに、リゾットやらキノコやら芋やらのフィリングを詰めた丸鶏のローストを作るのがここ何年かの定番で、中に詰める際には、鶏の肛門部分から手を差し込むために「チキン野郎にアナルフィスト!」と下品なキャプチャをつけた画像をネットにアップするのが毎年の恒例。
今年は中に何を仕込もうかと、すでに悩み始めております。

 さて、丸鶏を買う季節になると、フィリングをどうしようかと考えると同時に、ある女性のことを思い出します。
それはわたしがかつて付き合っていた恋人が、わたしと二股を掛けていた女性のことです。

 その女性と浮気していることがバレた時に、恋人はわたしに向かい「君が本命。向こうは同棲している彼女がいることも知っているし、セフレだから」と別れることを約束しました。
浮気の事実は非常にショックでしたが、その言葉を受けて「まぁ、セフレだっていうし別れるならいいか……」と許せると思った。
が、事態はそんなに甘くはないことをすぐに思い知らされることとなったのです。

 確かに、その女性は、自分が付き合っている相手に、わたしという恋人がいることは知っていました。
しかし、あくまでも『自分もまた彼女』である、と主張を始めたのです。
「わたしは、彼女だから別れません」と、別れを告げにいった恋人とわたしの前でハッキリと断言をするのでらちがあかず、「あの人、絶対に別れないといってるけど、これからアンタ、いったいどう始末つけるつもりなの……」と恋人を責めながらも、「はっ!」と気がついて、ネットでその女性のことを調べてみたところ、アカウントを発見。
そして出てきたんです。
クリスマスに丸鶏を焼いている画像が……。

 その時に思ったのは、「へぇ、この人もクリスマスに丸鶏を焼く派か。マメだな」ということでした。
だって、クリスマスといえば丸鶏のローストっていうのは定番ですよね。
なんで、さして気にすることなく、一旦はスルーしたものの、投稿をさらにさかのぼると、なんともいえない気持ち悪さを覚えるようになってきたのです。

「あれ……なんか……あたしとアップしてる画像が似てないか?」

 いや、服のテイストや、使っているアイシャドウのメーカーが被ることはよくあるとしても、わたしが十年前から買っている犬と同じ犬種の犬を飼い始めるとはどういうこと?
これは偶然かしら、いや偶然にしてはちょっと。
例え都会での一人暮らしにさみしさを感じて犬を飼おうと決意したとて、付き合っている相手が、同棲相手と一緒に飼っているのとまったく同じ犬種の犬を飼おうとするものだろうか。

 フツーはそこだけは避けるでしょ!

 しかも、アイコンが『犬と頬を寄せ合っている』というそっくりなショットでトリミングの仕方も同じ。
そう考えると、チキンの画像も明らかになんらかの作為があるように思える、否、そうとしか思えない。


同じ土俵でたたかう先に待つもの


 ちょっとゾワゾワと背筋に寒気を感じつつ、その女性とわたしとの共通の知人に相談してみたところ「えっ!浮気してた?……ああ、そういや、あの人がネットにアップする画像がどんどんあなたに似てくるから、『あなたに憧れて真似してるのかな』って思ってたんだけど……」と言うことなので、どうやらこれは自分の判断能力が狂っているわけではなく、客観的な事実として、正しいのではないか。

 そう思い、また別の、今度は、恋人の不貞を実は知っていた友人にも訪ねてみたところ「クリスマスのチキンがね、あなたとあのコとで順番に上がってくるのを見て『うわわぁ……』って思ってた」とも。
存ぜぬこととはゆえ、聖なる日に怖がらせてゴメンと思いながらも、その女性は何かしらの意図でもって、同じ犬種の犬を飼い、クリスマスにチキンを焼いていることを確信しました。

 しかし、なぜだ。

 そのことを考えた時に、まず思ったのは、張り合っていたのではないかということです。
「同じチキンでも、君の焼いたチキンのほうが美味しい」「同じ犬でも、君の犬のほうが可愛い」と言わせることができれば、「同じ彼女でも、君のほうが好き」にいつかつながるという希望。
だから、ローストビーフやフォアグラのせステーキや猫やフェレットではなく、チキンと、同じ犬種の犬でなくてはいけなかった。

 いや、そんな性格の悪いことを考えるのはわたしだけで、素直に「もうひとりの恋人が家でローストチキン作っているくらいだから、ローストチキンが好きなのね、だったらわたしもそれを作ろう」「もうひとりの恋人の犬をずいぶんと可愛がってるみたいだから、犬が好きなのね、じゃあうちでも犬を飼ってあげよう」という愛情ゆえ?

 それとも、「同じことをしているの、あなたはどう思うの?」という、男への無言の揺さぶり?

 どちらにしても、そんなことをすればするほど、自分が傷つくだけなのに、それでも、せざるを得ない状況は、どんどんとつらくなるばかりでしょう。
つらくなればなるほど、好きな人の救済が欲しくて、でも、その救済は『一番になること』だけ。
こうなると地獄だと思うんですが、彼女はそんな地獄にいたのでしょうか。
けれども、「だったらそんな男、譲ってやるよ」と言えないわたしもまた地獄にいた……。

 うーん。

 こうやっていくら考えても、わたしには、その女性の気持ちを理解することができず、今年もまた、釈然としない思いで、チキンの肛門に手を突っ込むこととなりそうです。

 次回は、【ベッドの中ではくっついて眠りたい…愛と人肌のバランスについて】をお届けします!

Text/大泉りか

ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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