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  • 2015.10.31

肉!セックス?いや肉が食いたい!すべての女性の性欲は肉を以って解決する

『女性は、食事による満腹感をつかさどる満腹中枢と、性的な欲求をつかさどる中枢が、脳の大脳辺縁系の非常に近い場所に位置していて、基本的には片方が満たされると、もう一方の欲求も収まる仕組みになっている』――つまり、性欲を満たしたければ、食欲を満たせばいいということ!?

アラフォー女の煩悩を霧散させる肉欲

大泉りか 官能小説 人妻は不倫の夢を見るか 肉 性欲
Chrissy

 先日のこと、国産黒毛和牛のブロック肉、合計二万円分をネット通販で購入しました。といっても、バーベキューを企画しようと思ったわけでも、何か特別なお祝いごとがあったわけでもありません。ただ、以前、利用したことのある高級食材を取り扱った販売業者が、国産黒毛和牛の福箱を数箱限定で放出しているのをタイミングよく見かけ、「いつもはものの数分で瞬殺するのに、このチャンスを逃したら次はない!」と反射的にポチっと買ってしまったというわけです。

 さて、福箱であるからして、中に入っている肉の部位もグラム数も不明ですが、「めちゃくちゃお得」だということは、その業者の信頼度からして絶対です。「何が届くのかな……」とワクワクして待っていたところ、すぐその翌々日に、なんと、8キロ分のブロック肉が届いたのです……8キロですよ、奥さん!

 すぐに冷凍庫に仕舞い、それからはどうやって解体するかをネットで検索する日々が始まりました。仕事がひと段落したブレイクタイムや、仕事を終えてひとり晩酌中にパソコンに向かって、寝る前の布団の中や電車の移動中にスマホで、ふと時間が空いた時に、『塊肉 捌き方』『塊肉 部位』『和牛 料理法 美味しい』などとグーグル先生に問いかけては「どう切り分ければいいのか」から「捌き終えた肉で何を作ろう」まで、幸せな悩みを抱えてニヤニヤとほくそ笑むことおおよそ一週間。

 締切ラッシュが終わり、「明日は、なんとか時間が作れるかも……」という前日、冷蔵庫に移しておいて、自然半解凍させた肉を、焼き用、煮込み用、ローストビーフ用と様々なサイズへと、無事に切り分けたのですが、その最中の幸福感たるや!この日のために下ろした牛刀でザクザクと解体していく恍惚と興奮。終わった頃には夫に「わたし、物書きとして食いっぱぐれたら肉屋でバイトすることにする」と高々と宣言してしまったほどです。
しかも、昂奮はまだまだ続くのです。なんせこの先、作る喜び、そして、食べる悦びが待っているのですから!

 というわけで、ここしばらく、冷凍庫にストックされている肉にウットリと思いを寄せる日々を送っていたのですが、その間、肉に夢中になりすぎる余りに、おろそかになっていることがありました。いや、「おろそか」というのはちょっと語弊があります。むしろ、「まるで頭に浮かばなかった」といってもいい……そう、肉にかまけている間、性愛や恋愛といった下半身と心の寂しさに、まるで思考が向かなかったのです。
「トキメキが足りな~い」と少女漫画を読んだり、なにか面白そうな夜遊びスポットを探したり、ネットで男性下着のサイトを徘徊し、ビビッときたモデルの着用画像を保存したりといった、そういう色欲がすべて肉欲に向いていた。アラフォー女の煩悩を霧散させるとは、恐るべし肉欲。

肉を制するものは性欲を制す

 そういえば、女友達と色気のない女子会をする際には、肉を食える店が選ばれることが、非常に多いのも事実です。
というのも、焼肉であれ熟成肉であれ猪鹿といったジビエであれ、肉というものは目の前に出てきた瞬間にテンションがあがり「キャーーーッ!」と叫び声をあげてしまうスペシャルな食材。むしろ、“肉を食いに行こうぜ女子会”などは「キャーーーッ!」と叫ぶために開かれている節もあります。
現に、今年一年で「キャーーーッ!」って叫んだのは、肉を目の前にした時と、タイのゴーゴーバーでチンコをおっ勃てたメンズを目にした時くらいですよ。肉へのトキメキがメンズへのトキメキに匹敵するということは、女は肉から、(男なんていなくても)逞しく楽しく生きるパワーを補充出来る、ということです。

 さて、話は変わり、先日、とある官能作家の先生を取材する機会がありました。その先生曰く、なんでも、『女性は、食事による満腹感をつかさどる満腹中枢と、性的な欲求をつかさどる中枢が、脳の大脳辺縁系の非常に近い場所に位置していて、基本的には片方が満たされると、もう一方の欲求も収まる仕組みになっている』とのこと。ゆえに、「グルメ旅行などに参加しているご婦人方を観ると『セックスをしていないな』と思うんですよね」といったことをおっしゃっていたのです。

 なるほど、わたしが黒毛和牛塊肉にかまけている間、性欲をすっかり忘れてしまっていたのも、この脳の働きのせい――脳が和牛にときめくことで、男へのトキメキ欲が満たされていた――だとすれば、「彼氏が欲しい」と心の底から思っている女は、肉食う女子会を絶ったほうがいいと言えるし、反対に、自分のことを好きになってくれない男のセックスにドはまりしてツライことになっている女は、女友達と肉を食うことで気を紛わせることが出来る。

 恋を加速させるか、恋のブレーキにするか、ちょっと肉に頼ってみるのはいかがでしょかね。

…次回は《「女子は恋愛を上書き保存する」は本当かもしれないと感じた3度目の結婚記念日》をお届けします。

Text/大泉りか

ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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