夫が「風俗に行くこと」を理解する妻の複雑な気持ち

夫が風俗に行くことについて

大泉りか 官能小説 人妻は不倫の夢を見るか Dennis Brekke

 ここ十年で驚くほど値段が下がったもののひとつに、街中のリフレクソロジーがあると思う。
以前は10分1000円が基準だったが、今は30分1500円、60分で3000円といった店がざらにある。ゆえに前よりも気軽に行けるようになって嬉しいばかりだが、施術を受けている最中にいつも思うことがある。

それは、

「男が風俗に行くのも仕方ないよなぁ……」

ということだ。

 というのも、肩や腰が凝ってツラいのならば、夫に甘えて揉んで貰えば無料で済む。しかし、なぜそれをしないのか、というと、お金を払ってでも“プロ”に任せたほうがいい部分がたくさんあるからだ。
テクニックについては、ほとんどの場合、プロに軍配があがるだろうし、また、対価を支払っているんだから30分ないし60分という時間、施術してもらうことにも「申し訳ない」という気持ちを持たずに済む。

 ということを考えると、風俗に行く男性の気持ちがわからなくもない、と思う。
プロのテクニックは素人のわたしよりもずっと優れているだろうし、お金を払っているのだから、プレイ時間のあいだ、「気持ち良くしてもらうこと」に気を遣わなくて済む。

 テクニックについては鍛錬を積めば身に着けることも出来るだろうが、問題は気持ちにある。わたしが“無料の奉仕”を当然のように享受できない性格である以上、夫にマッサージを頼むのは無理なわけで、それはイコール、わたしが風俗嬢並みのテクニックを得たとして、夫が無料の奉仕を当然のように享受できるか、ということになる。

……というと、そこは、それでちゃっかりと享受しそうな気もするけれど、そうするとリフレと違い、セックスという相互性のあるものだけに、今度はわたしのほうにストレスが溜まりそうである。
そして「なんでわたしばっかりヤラされて、あんたはマグロなのよ!」という怒りを爆発させることが目に見えている

……というわけで、別に夫が風俗に行きたがる気持ちは理解が出来るし、特定の風俗嬢に入れ込んで通う、とかではなく、リフレ感覚ならば全然許せる、と思うのですが、そういうことを公言すると、お墨付きを貰ったということで、堂々と風俗に通うことになるし、そうなるとやっぱり面白くない気持ちもあるので、口には出さないでおこうと思います。書いてしまいましたが。

※リフレクソロジー:反射療法または反射学。身体の各部分に反応する足の反射作用を利用した療法で、手と指による足底への刺激を身体の各部に反射させ、身体の恒常性を保たせようとするもの。
(引用:日本リフレクソロジスト認定機構HP)

…次回は《嫁の友達にセックスチャンスを期待するクズ男》をお届けします。

Text/大泉りか