不幸になるのは他人か自分か。人生を覆す恋の選択

自らの不貞をさらっと漏らす妻たちは自らを正当化する

大泉りか 官能小説 人妻は不倫の夢を見るか anton petukhov

 前回、「人妻は不倫をしていることを、基本的に他人には知らしめない」と書いた。が、たまにビックリするくらいに軽い調子でしゃべってくる女性もいないわけではない。

 つい先日も、大して面識のない人妻に、そんな重要な秘密事をあっさりと暴露されて「大丈夫なのか」と心配になったところだが、しかしよくよく聞いてみると、彼女が話しているのは「ハプニングバーに毎週のように通っている」だとか「飲み屋で知り合った、年下の可愛い男のコとホテルに行った」といった話なのである。
これは男性の「この間、風俗に行った」というような話と同列だ。だから、罪悪感が薄く、ゆえに簡単に暴露も出来る。

 考えてみれば、自らの不貞をさらっと漏らす妻たちは、断然に肉体の癒しやセックスに重きをおいた不倫をしている場合が多い。だから、「夫とはセックスレス」だったり「旦那とのセックスが合わない」から、「外にセックスを求めるのは仕方がないこと」だという自らの考える正当性でもって、なんら恥じることなくアナウンスする。
こちらも、そんな女性から婚外セックスの武勇伝を聞かされたとて、「おお、お盛んですね!」と感心するばかりで、それ以上はとくに何も感じない。
寂しさや愛されたいという欲望からヤリマンになっている女性はともかく、余り余った性欲でもってセックスを求める女性は、セックスが自然と必要じゃなくなる時がこないと、治らないからだ。

 しかし、それとは反対に、恋に落ちてしまったことで、あたりかまわず惚気話を言いふらさないではいられない状態の人妻もたま~にお見かけする。そういう人妻は危ない。
けっこうな確率で、旦那バレからの家出からの離婚というトリプルコラボを決めたりする……というか、実は、わたし自身も、結婚式は先に済ませて後は入籍だけ、という半ば結婚に足を突っ込んだ状態で、別の男性を好きになり婚約破棄した経験がある。
いま思えば「あの時は、なんて思い切ったことができたんだろう」と過去の自分に感心する。恋をしていなければあんなことは絶対に出来なかった。

 恋には人生を覆す力がある。しかし、その時には必ず、他人を不幸にするか、自分が不幸に甘んじるかの選択を取らされるのが、人妻の恋だ。

…次回は《不倫「新鮮な恋の味」、夫「慣れ親しんだ恋の味」》をお届けします。

Text/大泉りか