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  • 2015.09.19

大人の恋愛小休止『ヒロイン失格』は恋愛経験値デトックスに最適

「別冊マーガレット」で連載されていた人気コミックの実写映画化!若くて、ピュアで、駆け引き下手な恋愛模様には、大人だからこそ学ぶものがたくさんある素敵な青春ラブコメディ。楽しみながら恋愛経験値デトックスしちゃいましょう!

 舞台はある高校、

「私が好きな人か」
「私を好きな人か」

 二人の男性の間で恋心揺れる高校生・松崎はとりが主人公の物語は時にコミカルに、時にシリアスに、全面的に「高校生の恋愛」を描いています。

たけうちんぐ at home 映画
(C)2015 映画「ヒロイン失格」製作委員会 (C)幸田もも子/集英社

 本作のゴールは「松崎はとりはどっちの男性と結ばれるか?それともどっちとも結ばれないのか?」です。そのゴールへ向けて紆余曲折があるわけです。人様の恋愛模様は時として「悩んでないでさっさと決めなさいよ」と思うこともありますが、本作はコミカルさとシリアスさのバランスが絶妙です。

 高校生のピュアな恋愛は、社会人からすると新鮮で懐かしく感じるでしょう。一方、同世代ではないからこそ、共感できない部分などを見つけて楽しめるはずです。年代を問わず、そして男性も楽しめる映画になっています。

 本作は三角関係というより“四角関係”を描いています。

・主人公松崎はとり

・はとりの幼なじみ利太(はとりが好きな人)

・モテまくりのイケメン弘光(はとりを好きな人)

・地味な女子学生安達さん(利太の彼女になった人)

 最後に上げた「安達さん」という女の子がとてもキーパーソン。彼女の必死な思いが四角関係をかき乱していきます。その行動はあざとさを見せつつもなぜか共感してしまう説得力がある。「物語を面白くする存在」とも言えるでしょう。

はとりの揺れる乙女心、
利太の葛藤、
弘光の一途さ、
安達さんの必死さ、

 それぞれの感情がぶつかり合い、傷つけ合い、そして物語はクライマックスへ。

たけうちんぐ at home 映画
(C)2015 映画「ヒロイン失格」製作委員会 (C)幸田もも子/集英社

「はとりが誰を選ぶか」という結末のため、利太と弘光のどちらかを味方したり感情移入したりしていると、思わぬ展開に進んだときに納得がいかなくなります。しかし、それでも本編を通して主人公・松崎はとりの幸せを願うようになっていきます。
そして、本作を通じて自らの恋愛を考えるようにもなります。彼女たちの若くて、ピュアで、駆け引き下手な恋愛模様を見ると、大人だからこそ学ぶものがたくさんあるからです。
コミカルだけどシリアス。それが『ヒロイン失格』の魅力なのです。

恋愛経験値デトックスに最適

 キスシーンこそあるものの、ピュアさゆえのクリーンさにこっ恥ずかしくなります。もちろん、そこにはエロさやセクシーさはありません。
つまり、大人の恋愛としては普通に存在する行為がこの映画の中にはありません。意識的にではなく、自然と存在しないのでしょう。ある程度の恋愛を経験してくると、このクリーンでピュアで下手くそな駆け引きにむしろ好感が持てると思います。

たけうちんぐ at home 映画
(C)2015 映画「ヒロイン失格」製作委員会 (C)幸田もも子/集英社

 恋愛だけでなく、仕事や家事などでも経験値が積まれてくると無意識に物事を難しく考えるようになります。「男って◯◯」や「女って◯◯」、「これだから男は」「これだから女は」など、自ずと割り切りや価値観をあなたの判断基準に加えていませんか。
それは人生をより良く生き抜くためのプラス思考でもありながら、目の前の人を自らが設定した色眼鏡で価値判断してしまう危険性も伴います。

 映画『ヒロイン失格』の登場人物たちにはそれがありません。一見クールに見繕っていても心の弱さが透けて見えてくるし、弱い自分を装って心配をしてもらおうとするあざとさもバレバレ。
傷ついて流す涙、求める人の温もり、認めてほしいという欲求。そういった溢れる感情に触れることで、私たちがかつて経験したピュアな思い出を呼び起こしてくれます。
つまり、あなたがどんどん積んできた恋愛経験値をデトックス、浄化させてくれるパワーも秘めているのです。

西野カナの主題歌「トリセツ」が映画を後押し

 本作『ヒロイン失格』の主題歌は、西野カナの歌う「トリセツ」です。「男性になかなか理解してもらえない女性の内面、乙女心を『取り扱い説明書』になぞらえて描いた曲」と説明している通り、付き合いたての女の子が彼氏に向かって「私のこと大切にしてね」と甘えているような歌詞に仕上がっています。

たけうちんぐ at home 映画
(C)2015 映画「ヒロイン失格」製作委員会 (C)幸田もも子/集英社

 ちなみにこの「トリセツ」は『ヒロイン失格』の脚本を読んだ上で作られた曲。映画を見てからこの曲を聴くと、桐谷美玲演じる松崎はとりがピュアに彼氏に甘える様が垣間見られます。まるで、好きな人に向かって話している姿が。
この曲には、当たり前のことだけど、恋愛経験の浅い男性には気付けなかったり、女性がしてほしいと願うことがたくさん詰まっています。共感するしないは別に、その一節を箇条書きにして今回のコラムは終わりとしましょう。

・急に不機嫌になることがある
・放っとくと怒る
・定期的に褒めよう
・小さな変化にも気づいてあげよう
・太ったとかは余計
・目移りしたら最初の頃を思い出そう
・何でも無い日のちょっとしたプレゼントは効果的
・手紙が一番嬉しい
・泣いてたらギュッと強く抱きしめてあげよう
・たまには旅行にも連れてくこと
・記念日にはオシャレなディナーに行くこと
・カッコよくエスコートすること
・全部受け止めること

 ある程度の恋愛経験や深い見識を持っているとこういったピュアな事に関して反感を覚えることもあるでしょう。しかし、冷静に考えれば、誰もがそういう恋愛に憧れていた瞬間があったはずです。その原点を思い出させてくれる『ヒロイン失格』と主題歌「トリセツ」。
『ヒロイン失格』は若い女性だけでなく、性別や年代問わずお勧めの一本。楽しみながら恋愛経験値デトックスしてみてくださいね。

9月19日(土)新宿ピカデリー他全国ロードショー

監督:英勉
脚本:吉田恵里香
キャスト:桐谷美玲 山﨑賢人 坂口健太郎 福田彩乃 我妻三輪子 高橋メアリージュン/中尾彬(特別出演)/柳沢慎吾(特別出演)/六角精児(特別出演)/濱田マリ 竹内 力
主題歌:西野カナ「トリセツ」(ソニー・ミュージックレーベルズ/SMEレコーズ)
配給:ワーナー・ブラザース 映画
(C)2015 映画「ヒロイン失格」製作委員会
(C)幸田もも子/集英社
URL:『ヒロイン失格』

Text/柳下修平

ライタープロフィール

柳下修平
1986年生まれ。映画ライター・ブロガー。100人規模の映画ファンイベント「映画ファンの集い」主催者。

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