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  • 2015.04.23

エロさ皆無な実写版『シンデレラ』が底知れない愛と勇気を放つ!

ディズニー自ら実写化した『シンデレラ』。1950年のディズニーアニメ版『シンデレラ』という誰もが知っている作品を大きく改変せず堅実に実写化。その素晴らしいスタンスの新作は、本作を見ることで私たちに「愛」を再考する機会を与えてくれます。

 実写化された『シンデレラ』は、ここ最近の少し切り口の異なるディズニー作品。
『アナと雪の女王』のようにダブルヒロインでヒーローに頼らなかったり、『マレフィセント』のようにキャラクターを再考していません。

柳下修平 映画 ブロガー 映画が描く愛のカタチ シンデレラ ディズニー 王子 エロティック セクシー ネス・ブラナー リリー・ジェームズ ケイト・ブランシェット リチャード・マッデン
© 2015 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

【簡単なあらすじ】
 幼くして母を亡くしたエラは、後に帰らぬ人となった父の後妻とその二人の連れ子のドリゼラとアナスタシアに「灰まみれのエラ」を意味する「シンデレラ」と呼ばれ、召使いのように扱われていた。

 悲しみと仕打ちに耐えきれず家を飛び出したエラは、城で働いているという青年キットと出会い、心を通わせる。王子である身分を隠していたキットは、父である国王に政略結婚を勧められるが、エラが忘れられず、彼女を探し出すために国中のあらゆる未婚女性を招く舞踏会を計画するが――。

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 このストーリーから分かるとおり、慣れ親しんできた「あのシンデレラ」をそのまま実写化した作品に仕上がっています。しかし、1950年のディズニーアニメ版『シンデレラ』では削られていた“プラスα”のエピソードが丁寧に盛り込まれています。

 そして、現代だからこそ実現できる技術を見事に駆使しているので、とにかく美しさが際立ちます。セットや映像美はもちろん、ドレスがとても魅力的で目を惹きます。そして、本作を何倍も美しく際立たせたのは、シンデレラを演じたリリー・ジェームズの魅力といっても過言ではありません。

『シンデレラ』のベストスタンダードを忠実に守りながら、現在社会で生きる私たちに力強いメッセージを与えてくれるパワーを感じさせる。奇をてらわなくても、ベストスタンダードを貫いても奇跡的な魅力を放つ…それが実写版『シンデレラ』なのです。


びっくりするくらい皆無なエロティックさ、しかし…!


 今回の実写版『シンデレラ』は本来のベストスタンダードを貫き、1950年のディズニーアニメ版『シンデレラ』にプラスαの要素を入れることでより深い作品に仕上がっています。アニメ版も実写版も同様、『シンデレラ』からエロティックさを感じることはありません。

 男性の股間に目が行ってしまう女性の場合、王子のそれに気になってしまうかもしれませんが(股間を強調しているわけではありませんが、タイトな服なので気になる人はつい見ちゃうでしょうね)。

     
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 しかしその程度で、男性目線から見ても、シンデレラを演じるリリー・ジェームズにセクシーさやエロティックさを感じません。それで良いとは思いますし、それが『シンデレラ』の魅力でもあるのです。

 リリー・ジェームズは本当にチャーミングで魅力的な女性なんです。「惚れてまうやろー!」なシーンが何度も出てくるんです。本当にカワイイんです。それなのに、なぜかエロは感じない。

「女性の魅力」を語るなら、セクシーさやエロティックさに惹かれる男性が多いのが正直なところ。「大概にしろ!」と思うでしょうが、胸元強調したりチラ見せすれば、男は大抵近寄ってくる…それくらい単純なんです。ちなみに、私は足フェチですけども(誰も聞いてない)。

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 しかし、シンデレラやリリー・ジェームズ本人にはそれがない。ずっと見ていたいし、同じ世界で生きたいと思うほど、心が奪われるのです。言葉では言い表せない不思議な魅力。それが魔法のように備わっていているおかげで、エロに心惑わされることなく純粋な気持ちでこの世界観に入り込めるんです。

 リチャード・マッデン演じる王子キットもそうです。確かに股間に目がいきますが、その程度で、とにかくチャーミング!男らしさもありながらも、夜の顔を想像する隙はなし。おとぎ話から飛び出してきた“王子”そのものなのです。

 実写版『シンデレラ』にはこの不思議な魅力が宿っているのです。

「映画」と「愛」と「恋」のベストスタンダードの大切さ


 映画がスタンダードに魅力的なこと、そしてシンデレラに宿る不思議な魅力について述べて参りました。

「映画」も「愛」も「恋」も、たくさん経験をすると、さらに上を求めるようになってしまいます。良し悪しは別として、常に上を目指すのではなく、時としてスタンダードな魅力を求めることもとても大切だと、実写版『シンデレラ』は気付かせてくれます。

 ケネス・ブラナー監督は「誰もが知ってる物語だからどう変えるかではなく、どう見せるかにこだわった」と言います。「映画」も「愛」も「恋」も、この視野ってとても大切ですね。

  映画に見慣れて頭でっかちになると、スタンダードを楽しめなくなったり、より刺激的なものを求めてしまいがちです。愛や恋や性的な経験を積んでいくのと同じように。

 それは「より上へ」という高みを目指すポジティブな見解であると同時に、本当に大切なものを見逃してしまう仇ともなってしまいます。

 今目の前にある、語り継がれてきた物語。その物語を今この現代に実写で蘇らせ、見せることに力を注ぎ、ベストスタンダードの大切さを私たちに提示してくれる作品となった実写版『シンデレラ』。本作から、情報過多の時代を生きる私たちは何かを学び、活かすことができるのではないでしょうか。

 その「何か」は人それぞれです。みなさんがそれを探してみてください。その答えが見つからなくても、この物語はきっとみなさんの心を浄化してくれます。それくらい素晴らしい映画です。



4月25日(土)全国公開

監督:ケネス・ブラナー
キャスト:リリー・ジェームズ、ケイト・ブランシェット、リチャード・マッデン、ステラン・スカルスガルド、ソフィー・マクシェラ、ホリデイ・グレインジャー、デレク・ジャコビ、ヘレナ・ボナム=カーター
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
原題:CINDERELLA/2015年/アメリカ映画/105分
URL:映画『シンデレラ』公式サイト

Text/柳下修平

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ライタープロフィール

柳下修平
1986年生まれ。映画ライター・ブロガー。100人規模の映画ファンイベント「映画ファンの集い」主催者。

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