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  • 2015.02.13

恋愛が学べる漫画ベスト3!恋に悩んだら読み返したい名作

今回は恋愛が学べるマンガ!ということで、安野モヨコ「ハッピー・マニア」、入江喜和『たそがれたかこ』、西炯子『娚の一生』の3作品をご紹介。この3作があなたの恋愛のバイブルになるかもしれません。

トミヤマユキコ 推せる!マンガの王子さま AM3周年記念
Know Better Learn Faster by B.Riordan.

 恋に恋する時期を過ぎた女たちは、いったい何のために恋愛マンガを読むのか?

 つまらない日常を忘れ、夢の世界に耽溺するため? それとも、自分の恋愛に役立てるため?

 大人になってもフィクションの粉砂糖がかけられた恋愛マンガを手放せない女がいて(わたしもですが)、フィクションとして楽しむことだけに飽きたらず、そこから人生の真実を引きずり出そうとすらしてしまう。
なんて貪欲なんだ、しかも大人だから全巻一気買いとかしてしまうし、ホントに強欲。

 というわけで、今回はAM読者のみなさまのために恋愛について深く学べる作品を3タイトル選んでみました。お楽しみいただければ幸いです。

(1)安野モヨコ『ハッピー・マニア』

 初めて読んだ時「この「シゲカヨ」というのはほんとダメな女だな〜」と思いつつ、めちゃくちゃ面白くて大笑いしました。

 彼女が恋する男たちは、かなりデフォルメされているけど、どいつもこいつもモデルがいそうで、「きっと安野先生がアシスタントさんと恋バナとかして、それが作品になるんだろうな〜」などと勝手な妄想をするのも楽しかった。

 女に好きだの愛してるだの言っておきながら、その実自分のことが大好きな男たちと、そういうだめんずになぜか惹かれてしまう女たちの関係は「わたしにも似たようなことがありましてね……」という告白を数多の女たちから引き出しました。

 ……が、時は流れ、今の若者の中には、シゲカヨを本気で非難する人が出てきています。嘘じゃありません。ソースは私です。
大学の授業で本作を紹介したら、無計画で無節操なシゲカヨの恋愛が「何も考えてなさすぎて、ムカつく」とのコメントが。マジですか。平成キッズはシビアだな……。

 恋愛のことしか考えずに生きる彼女の自由さと逞しさが眩しくはないのか。わたしはいまだに眩しいぞ。

 こうしたジェネレーションギャップが教えてくれるのは、本作には、昭和生まれの女たちが持っていた打算なき恋愛欲が詰まっているということ。不景気まっただ中の非正規雇用ライフでも全力で恋していたシゲカヨの魂を受け継ぐことができるのは、昭和生まれの女しかいない。
再読せよ、思い出せ、この闘魂を。

(2)入江喜和『たそがれたかこ』

 恋愛市場に居場所を失い、半径5メートル以内にステキな出会いがないとなれば、その真逆に振り切れてみるのも手です。

 あまりにも遠すぎて手の届かない、芸能界の王子様を好きになれば、ずっと片想いのままかも知れないけど、告白してフられる心配もない。究極の安全圏から見守り続ける愛で自分の心を潤すことは、逃げとも言えますが、生き延びるための知恵でもあります。

 彼のことが大好き、でも、付き合えるなんて思ってない。自分の立場をちゃんとわきまえているからこそ抜け出せない片想いがそこにはあります。
なんと甘美で救いがない地獄なんだ。イタくて、辛くて、もうどうしたらいいんだという気持ちで本作を読み進める時、変な言い方だけど、とても贅沢な気持ちなる。自分の中でこれだけの感情が渦巻くことに、感謝したくなるのです。

 わたしたちは生きていくために恋をするのか、恋をするから生きていけるのか。
本作に登場する中年女「たかこ」が、若きバンドマン「谷在家」のファンになることでしみったれた人生を変えてゆくストーリーは、たかこと同世代あろうがなかろうが、女としての自分に自信が持てない女全てがグッとくるハズです。

(3)西炯子『娚の一生』

 仕事も恋愛も捨てられないとか言ってるうちに、結婚できずにここまで来てしまった。べつに悪いことなんてしてない、税金だって年金だって払ってる。ただ、プライベートの幸せが、人よりちょっと足りないだけ。その足りなさを埋めるために、ときどき妻帯者を好きになっただけ……。
そんな報われないアラサーバリキャリを救ってくれるのは、西炯子しかいない。そう思わせるほど、西先生の作品には働く女の夢と理想が詰まっています。

 ヒロイン「つぐみ」の相手役「海江田」が、大学で哲学を研究する教授というのも素晴らしく絶妙。たとえいま自分の会社にいるおじさんがみんな男としてナシだとしても、大学には海江田みたいなステキ教授がいそうじゃないですか! 現に姜尚中は東大名誉教授なわけだし! 可能性としてはゼロじゃないわけじゃないですか!

 毎週大学で講義をしているわたしから言わせれば「そんな奴はいない、目を覚ませ」という感じなんですけど、事実がどうかは関係なくて、仕事に20代を捧げたアラサー、アラフォーたちが、どんな形の幸福であれば「腑に落ちる」のか、というのを実に的確に描いた作品が『娚の一生』だと思います。

 こんな奇跡みたいな一発逆転は起こらないと知っているのに何度も読み返したくなるのは、本作がわたしたち読者の感情を雑に扱っていないから。
あり得ない話で誤魔化してるんじゃない、あり得ない話で慰撫してくれるんだよ。これが、フィクションの力、なんだよ。

Text/トミヤマユキコ

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