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  • 2015.05.04

職場では無視しあうって約束を無視する僕を無視する君だ

【5月のテーマはオフィスラブ】職場やバイト先で起こる「オフィスラブ」。あの人とあの人があんなことを・・・なんて噂もしばしば。そんな職場で起こるもやもやした思い出を短歌にして、気休めていどに救われていきましょう。

佐々木あらら 恋愛 エロ短歌 職場 バイト 後輩 先輩 エピソード
by dollen

 職場内の恋愛関係に異様に敏感な人って、いますよね。

 誰と誰ができてる、とか、誰は誰のことが好きだけどそれは片思いらしい、とか。

 「なんでそんなことわかるの? 誰かに聞いたの?」って問いただしてみると、「まさか。見ればわかるじゃーん」みたいな反応をされる。

 そういう人って結構な確率で、佇まいに市原悦子成分と大久保佳代子成分の両方が含まれているんですが、まあそれはともかく。

 僕はそういうのに致命的に鈍感なので、そういう人が熱心にうわさ話をしてくれるときには、その才能に心から敬意を払ったものでした。敬意を払ってはいたのですが、ほとんど興味がないことなので聞いたそばから全部忘れていってしまい、「この前話してあげたじゃない!」と怒られることも多かったけど。

 「ササキくんこういう人間関係下手だから、もし何かあったら気をつけないと絶対バレるよ。気をつけてね!」のようなアドバイスももらった記憶があります。

 でも、彼女は気づいてなかったんですが、実はそのとき、僕は同じ職場のとある人妻と恋愛関係にあって、しかもいろいろあって三股ぐらいになってて、正直、人の恋愛どころじゃありませんでした。

 話があまりにこじれすぎてたのが悪かったのかもしれません。いまだに「見ればわかる」とはなんのことなのか、僕には謎のままです。

 さて、そんな職場恋愛観察力の低い僕のところに、たくさんの「オフィスラブの怨霊エピソード」が届いております。今回も、そんなもやもやした思い出を短歌にして、気休めていどに救われていきましょう。

 まずはこちらから。

会社の先輩に告白されました

ちょことさん(兵庫県)
エピソード:
 数年前のこと。
 職場の先輩から「彼女がほしいから合コンを開いてくれ」と頼まれ、何度か合コンを企画しました。
 先輩はそのうちの一人といい感じになり、「私の役目も終わったな」とひと安心していました。
 ところがある真冬の日、先輩から「相談したいことがある」と持ちかけられ、公園へ。そこで、
「仕事の後輩だからと我慢してきたけど無理だった。好きだ、お前が」
と告白されました。
 少女漫画みたいだ!……と思ったものの、ただの職場の先輩としか見ていなかったので、キュンとするどころかパニックになり、真冬なのに汗が止まらなくなりました。
 必死に断りの言葉をしぼりだしました。目に涙をためて笑顔をつくる先輩を見ていて、さらに胃が痛くなりました。
 好きだったなら、なぜあんなに「合コンしてくれ」と言ってきたんでしょう?
 女の子といい感じになった」と言ってきたのはなんだったんでしょう?


熱くなるあなたの頬に比例して私の首に伝う冷や汗(ちょこと)

「彼女がほしいから合コンしてくれ」という言葉は前半のほうが重要なんですよ。そのセリフの返答として彼が期待していたのは、

「そんなに女の人と付き合いたいんなら、私とじゃダメですか?」

というリアクションです。恋愛に不器用な人ってだいたいロマンチックがこじれていて、期待する女性像が貧困でめんどくさいんです。

 また、同性間の恋愛自慢はマウンティングですが、異性相手の恋愛自慢は「誘い水」です。つまり、嫉妬心をあおって、

「そんな女の子より、私と付き合ったほうが絶対いいですよ!」

という返しがくるのを期待してるんです。実際に付き合うかどうかはさておき。

 まあでも、ほんとうに好きな人に直接告白できなかった彼の気持ちは、少しわかります。

「自分と付き合ったら、大好きな相手に職場内で迷惑をかけてしまいかねない」と考えて前に進めなかったんでしょう。だから自分からストレートに告白するのでなく、ややこしい形で愛を表現していたのだと思います。

 とはいえ、きっちり断って良かったんだと思います。ちぐはぐにはじまる恋って、結局気持ちの周期みたいなのが合わないまま終わることが多いですから。災難でしたが、よくがんばりました。

好きですと僕に言わせる作戦を恋と信じる時点で嫌い



イケメンは、イケメンじゃありませんでした

斗花さん(東京都)
エピソード:
 バイト先の話です。
 大学では冴えない女子大生でしたが、バイト先では経験も長いので比較的仕事もでき、深夜帯に働く女子が珍しいせいか「マドンナ」などと呼ばれ、後輩の高校生からあこがれられる存在でした。
 あるとき、バイト先に別の大学の同い年の「イケメン」が入ってきました。
彼は同僚の女子高生をかたっぱしから食い散らかし、主婦や女性社員とも関係を持つ始末。
 そして、その話をなぜか私には打ち明けてきました。
恋愛感情はまったく起きないものの「これこそが大学生のあるべき姿だ」と見せつけられ、みじめな気持ちになりました。
 ところが、ある日、大学関係の友人がたまたま彼の知り合いであることが判明。友人は笑いながら「彼が大学ではどれだけ地味か」「どれだけダサいか」などを話してくれました。
 どうやら大学内でのカーストは私より低いようでした。
 食い散らかしの順番が私に回ってきたとき、彼がとても滑稽に思えてしまい、断りました。
私と同じ「バイト先だけでイケてる」人だと知らなければ、あの「イケメン」ともうまく恋愛関係を築けたのかな……と今でも考えてしまいます。


生きている世界はいつも同じでも結ばれないのはプライドのせい(斗花)

 彼が大学では地味でダサい、というところも含めて「大学生のあるべき姿」だと思います。

 環境を変えて「なりたい自分」「ほんとうの自分」の実現に成功したわけだから、自分の人生を前向きにコントロールしようと努力した、いい話ではないですか。周りにレッテル貼りされたキャラを続けなきゃいけない理由なんてまったくないです。

 それを滑稽だとかみじめだとか感じるのだとしたら、「人は変わってはいけない」「他人に決められたイメージに合わせなければいけない」という抑圧にとらわれているということですね。それは、親なり先生なりに植え付けられてしまった、あなたの人生を邪魔する粗大ゴミみたいなものだから、早めに処分してすっきり大人になってくださいね。

 まあでも、それより気になるのは「この話、どこまで真実なのだろう」というところ。

 バイト先で片っ端から関係を持つなんて、ほんとにできるのかなあ。横のつながりがあるところで何人もの相手と寝るのって、とても難しいんです。人間関係を壊させず、新しい子を警戒させず、復讐もされないように立ちまわるのって、才能とマメさと忍耐力がそうとう必要。

  恋愛上級者の諸姉兄の話でも「1つのコミュニティの中では付き合うのは1人と決めている」みたいな人が多い気がします。

 気になるマドンナであるあなたに「自分はこれだけモテるんだ」と注目してほしいがために「あいつともあいつとも寝た」と嘘をついているモテない男の話と考えると、僕の中では腑に落ちるんだけど……。

 まあ、真相は藪の中にしておいてあげるのが彼のためでもあるんでしょうね。若者にとっては恥ずかしい背伸びのための嘘ってパワーアップアイテムみたいなものですからね。どんどん自分の殻を剥いて、理想じゃない自分を過去に葬っていけばいい。

 立ち止まってる人よりも何倍もかっこいいと思うよ。

はかなさも誰かの期待 ほんとうはひと月生きるセミの成虫


「オフィスラブ」の怨霊メモリー、まだまだ募集中です。

 というわけで、今回はここまで。引き続き「職場での恋愛体験、それもひどい奴」を募集しております。
こちらのフォームから。ぜひに。

Text/佐々木あらら

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ライタープロフィール

佐々木あらら
阿佐ヶ谷生まれ阿佐ヶ谷育ちのエロ歌人

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