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  • 2015.04.21

あこがれの体位をためす 本当に好きな人とはできないような

【4月テーマはお酒】嫌なことを忘れたい時、その気がなくても盛り上がってしまった時、気がついたらベッドの上にいた時…お酒って自分の都合で美味しくも不味くもなる、魔法のような飲み物です。今回もそんな魔法の飲み物の罠にかかってしまったエピソードをお届け!

佐々木あらら 初体験 処女 童貞 卒業 エロ短歌
kaizen.nguyen

 春です。東京に泥酔者が増える季節です。「泥酔」を東京の春の季語にしたらいいんじゃないかと思うほどに。

 学生にしろ新卒の社会人にしろ、上京してきてすぐのふわふわした気持ちのままでうっかり飲み過ぎてしまうケースが多いのでしょうね。

 そういえば昔、街で酔っ払って倒れている女の子を介抱するのが趣味だった時期がありました。

 特に春のこの時期は、介抱のしかたを知らずに逃げ出す大学生グループなどが多いので、終電間際の都会を歩き回っていると、コンビニの前とか駅のベンチでほったらかしにされてへたり込んでいる子は結構いるんです。

 別にナンパするとかそのままホテルに連れ込むとかじゃなく、スポーツドリンクをいっぱい飲ませて何度か吐かせ、落ち着いたらタクシーを止め、運転手に多めにお金を渡して一人で家に帰す、というだけなんですが。

 次の日の朝、酔いが覚めたその子が「あの人、誰だったんだろう?」と訝しんでいる様子を想像して楽しむという、ナンパなんかよりずっと変態的な行為でした。

 たぶんそんな不気味な趣味の男は少数派だと思うので、10年ぐらい前にそういう奇妙な経験をしたという方、たぶんそれ僕です。びっくりさせてごめんなさい。

 というわけで、今月は「お酒にまつわる恋愛エピソード&短歌」を読者のみなさまからいただいております。

 では今週もさっそく。

年齢をサバ読みされてました

斗花さん(東京都)
エピソード:
 20歳のとき。
 同い年ということで付き合っていた彼と一緒にお花見をしていたら突然、
「俺、22歳なんだ」
と打ち明けられました。「20歳のときにはニートをしてた」とも。
 ちょうど成人式に行ったばかりでしたが、彼は成人式に行ったことにして私に話を合わせていました。
 告白する彼の態度があまりに切なそうでつらそうだったので、なぜか私が申し訳ないことをした気持ちになりました。
「許すよ!」って笑うためにお酒をたくさん飲みました。
 その後、彼に浮気をされて別れましたが、あの時の彼を思い出すと今でも切なくなります。
 許さないって言えてれば、別れずに済んだのかな。

 10代や20代前半の人たちにとっては1年2年の違いだってびっくりすることですよね。人間の格が「学年」に縛られていますから。「同級生と付き合う」と「先輩と付き合う」では雰囲気がぜんぜん変わるだろうし。

 年齢のことを考えるといつも思い出すのが故・飯島愛さんのこと。僕が高校の頃には数歳上のAV女優だったのですが、いつの間にか1個下のタレントになり、亡くなられたときは僕より1学年上になっていました。

 人は一様のペースで成長していくんじゃなくて、伸びるときに一気に伸び、老けるときに一気に老けるものだから、もうみんな飯島愛さんのように不自然じゃない程度に年齢を自称すればいいんじゃない、というのが僕の意見です。僕たちは別に役所の窓口じゃない。

 斗花さんも、いつか2歳ぐらいは気軽にサバを読む年齢になるし、5歳ぐらいの経験値の差はすぐに追い抜いたり追い抜かれたりしてしまうことを実感する日がくると思います。そのときにはきっと、彼の気持ちが別の角度から見ることができるでしょう。20歳のころの自分の気持ちも。

 もちろん、どんな嘘であれ、嘘をつかれるのは気持ちのいいものではないけれど。

 一緒にいただいた短歌はこちら。

桜舞う 別に知りたくなかったよ 貴方の嘘を酔って許した(斗花)

 せっかくなので斗花さんの心に引っかかっている「許したいけど、許さないでもいてあげたかった」というもやもやを「保留」の形で織り込んで、こんなふうにアレンジして、この件のお祓いになったらと思います。

ほら見なよ また君がつく下手くそな嘘よりも嘘みたいなさくら

気がついたらベッドの上でした

モンゴリアンチョップさん(埼玉県)
エピソード:
 大学を卒業して半年後、在学中に親しくしていた講師の個展を見に行きました。
 講師は自分の親と同い年の妻子持ちの芸術家でした。美術に興味のある私は毎授業後に話を聞きに行き、時々お茶も飲みに行くような関係でした。
 久しぶりの再会で話がはずみ、閉廊後に二人で飲みに。しかし、なぜかしたたかに酔ってしまい記憶が飛び、気がついたらホテルのベッドの上。
 事が全て済んでいたらまだよかった。
 酔いが覚めて冷静になりつつある私と、ロックオンモードの講師。抵抗したら何をされるかわからない…と観念しました。
 でも、普段は渋めでウィットに富んだ講師が、妙にねっとりした猫なで声で甘えてきて、どうにも乗り切れない。ゴムはつけないし、「入れたよ」と自己申告されるまで人差し指だと思ったほど細い。
 気になることが多すぎて、この時ほど楽しめないセックスは後にも先にもありません。
 しかも、前日にも翌日にもSNSで家族への愛を綴っていて、既婚男性なんてこんなものかと、結婚や男性への不信が高まりました。
 それ以来その講師とは音信不通です。

いま私あなたの妻とキスをした酔ったあなたの唇介して(モンゴリアンチョップ)

「あこがれています」と「あなたと寝たい」の雰囲気の違いがわからない男は多いです。

 二人だけで飲みに行った時点で襲われるのは覚悟しろ、みたいなことを公言してはばからない男さえいまだにいます。

 そういう若い男子に僕がよくするのは「白鵬の夜」というたとえ話。

 横綱・白鵬関と話すチャンスがもらえたら、僕は当然はしゃぎます。その場で意気投合して二人で酒を飲もうとなればそりゃあもう大興奮でしょう。おごってくれたらなお幸せな気分。

 でも、その夜、態度を急変させた横綱が僕をホテルに連れ込んだらどうでしょう。強引に肉体関係を迫られたとしたら。それはまた、別の相談です。少なくとも尊敬の念は消え、二度と会いたくない「敵」あるいは「恐怖の対象」になるでしょう。

 なんのことかとお思いでしょうが、こういう説明をしないとわからない男も結構いるんです。「あこがれの男性」というモテ度のかなり高い立場を自分から捨てていることに気づかない。もっと誠実に付き合ったらもっといいセックスができるのにね。もったいない。

 とはいえやっぱり「あこがれ」と「寝たい」は外側からはとてもよく似て見えます。シャンプーとコンディショナーのボトルぐらいそっくりです。

 常識的な大人にだって見分けがついてるわけじゃなくて、ただ「間違うならば安全なほうに間違おう」というフェイルセーフの思想にもとづいて、若い子からのアピールをかわしているだけのことが多い気がします。

 まあ、なんか色々間違っちゃって一線を超えるようなことがあっても、せめて、自分の性欲をむき出しにして失望させるのだけはやめてほしいですよね。夢の国はとことん夢の国であり続けるのが、僕たちおっさんに課せられた最低限の使命なんじゃないかと思います。

 いただいた短歌、鋭い視点です。「不倫は奥さんとの間接キスだ」という発見ですね。最後の8音がちょっとばたばたしてる感じでもったいない。

いま私あなたの妻とキスをした 酔ったあなたの唇ごしに

 ぐらいのほうが字面もすっきりするのかな。「酔ったあなたの」も「あなた」が重なってるぶん、替えられるかも。「お酒の匂う」とか。まあここはいじりかた次第で悪くもなってしまうので、難しいところですね。

5月の新テーマは「オフィスラブ」!

 というわけで、今回から来月に向けた新テーマで募集を開始します。

 5月はさわやかな空気とは裏腹に、新年度気分も抜けてじっとりと五月病にさいなまされる季節。

 特に会社勤めのみなさまは、ゴールデンウィークが終わるとしばらくは祝日がしばらくなくなり、夏休みまでは潜水のように苦しい数ヶ月に突入することと思います。

 そんなオフィスのいっときの清涼剤、いや、さらなる息苦しさの元でもある「オフィスラブ」をテーマに、エピソード&短歌を募りたいと思います。

 恋愛にかぎらず、会社などの組織の内外での男女問題・夫婦問題に関するエピソードならなんでもオーケーです。もちろんすごい修羅場は大歓迎。

 エピソード、長くてもオッケーです。こちらで適度なサイズにリライトいたします。詳細が書かれているほうが採用されやすい傾向がありますよ。

 こちらのフォームからご投稿ください。ではまた来週。

Text/佐々木あらら

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ライタープロフィール

佐々木あらら
阿佐ヶ谷生まれ阿佐ヶ谷育ちのエロ歌人

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