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  • 2015.02.17

わかくさの妻が鬼より冷めた目で俺にぶつけてくる福の豆

バレンタインデー特集!「やすこちゃんにとって、演劇の定義って何?」「舞台と観客の境界線とは?」「このままだと死ぬから早く帰った方がいいよ」これらはすべてバレンタインデーの会話です。かわいいパジャマも、かわいい下着も必要ない!そんな悲しい思い出は、短歌に載せて成仏させてやりましょう!

佐々木あらら 初体験 処女 童貞 バレンタインデー エロ短歌
by PhotoCo.

「恋愛のつらい思い出から生まれ出た心の中の怨霊を、短歌にして読んでもらうことで成仏させてあげよう」というコーナー。

 今回は長めの投稿を2本。

夜通し演劇論を浴びせられました

やすこさん(東京都)
エピソード:
 彼との初めてのバレンタイン。
 サプライズプレゼントを用意し、カワイイパジャマとカワイイ下着で、イチャつくつもり満々で彼を家に呼びました。
 彼はその日お芝居を見てきたらしく、家に入ってくるなり「面白かったよー」と嬉しそう。
 でも内容を聞くと、相当前衛的なもので、高校からガチンコの演劇部だった私には理解できず、つい「それ、演劇じゃなくない? どの辺が面白いの?」と言ってしまいました。
 それが彼の魂に火をつけてしまい、
「やすこちゃんにとって、演劇の定義って何?」
「舞台と観客の境界線とは?」
「観客の定義とは?」
 と、大学のゼミかと思うほどの質問を浴びせられまくり、気づいたら朝。
 私が「観客の定義」について一生懸命考えている間に彼は爆睡。
 プレゼントも渡せずじまいで「男なんだから、もうちょっとバレンタインという行事に興味を持てよ」とキレたくなりました。

 この場面そのものが演劇的で、ひとつのお芝居がつくれそうです。

 パジャマをさりげなくアピールしてみせたり、会話を「プレゼント」というキーワードに誘導しようと奮闘する女と、そういうメッセージをことごとくスルーしていく鈍感な男の、すれちがいが楽しい二人芝居。

 もしかしたら彼は、そういう即興劇を演じさせることによって、実践的に演劇を語ろうとしていたのかもしれません。

 まあともかく仲良さそうで何より。

 いただいた短歌は、こんな感じ。

とりあえずチョコ受け取ってキスしてよ日本に生まれた男の義務よ(やすこ)

 ほのぼのした感じのもやもやが、そのままほのぼのと整った形になってますね。

 二人の仲の良さが悔しいので、ちょっといじわるな返歌を。

練習のとおりの顔で驚いて受け取ってやるサプライズチョコ

 さて、続いては、このコーナー史上もっとも闇の深い怨霊エピソードです。わりと前に届いていたのですが、ついにご紹介せねばならない時がきました。

熱湯をかけられたりしました

ぐりとまらさん(東京都)
エピソード:
 自称ミュージシャンのフリーターと付き合っていました。
 彼は歌も下手で人望もなく、お客さんは私だけということもしばしば。
 でも行かないとぶんなぐられるので毎回行きました。
 数年前の大雪のバレンタインの日。
 ライブ終了後、中でずっと飲んでいる彼をライブハウスの前で待っていました。そうしないと怒られるので。
 大雪の中で数時間待っていると、対バンのメンバーの一人が出てきてました。
「このままだと死ぬから早く帰った方がいいよ」と駅まで送ってくれ、傘をくれました。
 泣きました。こんな恋人に従う必要がないと初めて気づきました。
 その後、鍋で殴られたり熱湯をかけられたりしましたが、なんとか別れました。
 傘の彼は今も音楽を続けており、一緒に遊んだりしています。私は好きなのですが、もう恋愛に疲れてしまい、告白していません。

 さらっと鍋で殴られたりしているの、ほんと怖い。

 このコーナーをやってると、ときどき「恋愛なんてしたくない」って思います。「僕もひどい人間だと言われてきたけど、結構マシなほうなんじゃないだろうか」と変な安心感があったりもします。世の中にまともな男が少しはいることを祈りたい。

 DVの人と付き合う人は、次にも同じようなタイプの人を選んでしまいがちらしいので、次の相手はくれぐれも自分の好みとかだけではなく、慎重に選んでくださいね。

 あと、ぜったい耐えちゃダメだよ。すぐ逃げるべし。逃走は最大の正義。

 いただいた短歌はこちら。

粉糖の降る街で泣く マジパンは捨ててもいいとミューズが歌う(ぐりとまら)

 自分の心を粉雪でそっと癒やすような優しい短歌ですね。

傘のない私はどんどん白くなりきっと春にはとけてしまうね

 というわけで、そろそろ来月のテーマの募集に移らねばなりません。

 来月のテーマは、卒業式のシーズンということで、「卒業にまつわる怨霊ラブメモリー&短歌」を募集します。

 (バレンタインのエピソードも、平行してもう少しの間だけ募集します。今年のバレンタインのできごとなど、教えてください)

 ご投稿はこちらのフォームから。

 卒業は別れや告白、すれ違いがつきものだと思います。僕は男子校だったはずなのに、甘酸っぱくて黒いプルーンみたいな怨霊メモリーが結構あるなあ。そんなのも思い出しつつ、皆さまのエピソードと短歌を鑑賞していければと思います。

 ご投稿お待ちしております。

Text/佐々木あらら

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ライタープロフィール

佐々木あらら
阿佐ヶ谷生まれ阿佐ヶ谷育ちのエロ歌人

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