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  • 2014.12.22

さきいかで飲むクリスマス 俺と寝る気のない女たちにも愛を

恋愛にまつわるいやーな思い出、モヤモヤする思い出、ありますよね。眠れない夜に苦い記憶でクヨクヨしていると、いつしかそれは怨霊のように膨らんでしまうかもしれません。そんな怨霊ラブメモリーを短歌することで、成仏させてやりましょう。エロ歌人佐々木あららが、あなたの恋の「除霊」を短歌でお手伝いいたします。

佐々木あらら エロ短歌 クリスマス 悲しい思い出
Michael Caven

 AMの聡明な読者の皆さま、こんにちは。エロ歌人の佐々木あららです。

 クリスマスって、なんでこんなに気忙しい年の瀬にやってくるんでしょうね。

 だいたい12月というのは、やり残しばかりの一年を振り返って落ち込んだり、翌年にかける夢にふわふわしたり、そもそも連休前の仕事に忙殺されていたり、何かと平常心がなくなっているもの。

 そんな不安定な気持ちのときに、恋人同士のイベントを半ば強制させるような一日があるなんて、間が悪いにもほどがあります。

 将来の不安からうっかり、間違った男と愛を誓い合ってしまったり、多忙でイライラしてる相手に多くを望みすぎてすれ違いになったり、トラブルが起きるに決まってるじゃないですか。

 クリスマスが七草粥の日ぐらいにあったら、もっと穏やかに愛を語り合えるし、お屠蘇気分で楽しくセックスしたりできるのに。

 なんでしょう、クリスマスって、神さまの嫌がらせなんでしょうか。あるいは人類への試煉、みたいな。

 というわけで、そんな宗教的試煉の一日・クリスマスを平和に乗り切るべく、さっそく皆さまのクリスマスの怨霊ラブメモリーをお祓いしていきましょう。

イブの予定を彼氏に聞けない……。

<お名前>あずささん(和歌山県)
<エピソード>恋人たちにとってはイブのほうがメインイベントのはずなのに、待ち合わせはなぜかクリスマス当日。会ってもらえませんでした。仕事なのかもしれないけれど、怖くて聞けなくて、苦しいクリスマスイブを過ごしました。
あの時はっきり望みを口にしていたら、傷は浅くて済んだかもしれないと思います。

 

 傷、もう深くなっちゃったんですね。お大事に。

 経験上、クリスマスシーズンは残業や忘年会をアリバイにした二股がかけやすい季節です。

「悪友と騒いでたら終電を逃しちゃって、漫画喫茶に泊まってシャワー浴びてきた」というありふれた嘘が、この時期だけはリアリティが出るんですね。

「今年は早めに田舎に帰る」という名目で「空白の一日」をつくりだし、浮気相手と温泉旅行に行くにもベストシーズンです。

 ……と、こんなことを教える僕のような男がいるから、あずささんのような素直な女性が悶々としてしまうんですよね。すみません。

 既に哀しい結末を迎えてしまったようではありますが、今もあずささんの中にもやもやと残っている「後悔」という名の怨霊、57577の作品にして、そっと成仏させてやりましょう。

素直すぎる言葉では怨霊は祓えません

クリスマス 一緒に過ごす恋人にイブはどこにいるのか聞けない(あずさ)

 とてもまっすぐで正直な言葉で、人柄の良さが伝わります。でも、気をつけて。正直が芸になるには相当な人徳が必要です。

 素直すぎる言葉では、後悔の怨霊を祓うパワーは生まれません。

 では、どうしましょう。

 嫉妬を思いっきり実体化させてすっきりさせてしまう作戦もありますね。

 妄想に妄想を重ね、イブにあなたのパートナーと過ごしていたであろう浮気相手の虚像をつくり上げてしまうんです。たとえば、こう。

奥さんにイブも仕事で徹夜だと告げたあなたとキスする仕事

 あれ? 素直さからは脱却しましたが、ちょっとやり過ぎましたか。あまり自分の気持ちから離れすぎるのも考えもの。  では、元の気持ちに立ち戻って、さらにちょっとだけ自分の欲望をプラスして、こんな言葉にしてみましょうか。

来年に暴くつもりの嘘にまだだまされておくクリスマスです

 どうでしょう。相手に真相を尋ねられなかった状況は同じですが、「すべてお見通しなのよ」という心の余裕を見せつけてやりました。

 短歌の中だけの虚勢というのも何やらむなしい気もしますが、うさ晴らしにはなります。もやもやした苦しさを客観化して、ちょっとだけみんなに笑ってもらえる形にはなったんじゃないかな……。ま、ちょっとだけ、ですが。

 実際には、イブに会えない彼氏は、女子のイベント好きに気づかない鈍感な男であることが大半ですよ。あずささん、どうぞお幸せに。

幸せな夫婦の一コマ

<お名前>詠伝さん(北海道)
<エピソード> 防寒用にスパッツをよく贈るのですが、彼が喜んでくれるのと服の下に隠れて見えないのを良いことに無駄に派手な柄を選んでしまいます。
 イベントにあまり関心のない彼なのでたぶん偶然でしょうが、クリスマスに星柄を選んではいていくのを見て思わずニヤニヤしてしまいました。

 うって変わってほのぼのとしたクリスマスエピソード。こういうちょっとした幸せ、うらやましいです。

 怨霊なんかまったく感じられませんが、逆にこのエピソードを読む僕たちの心に妬みという怨霊が生まれてしまいそうですね。

仕事するいつもの顔とスーツの下 私チョイスの星柄もも引き(詠伝)

 短歌もハッピーに満ちあふれていて、舌打ちさえしたくなります。前半はちょっと説明的ですけども、「私チョイスの」というところにこもっている愛と独占欲、まぶしいです。

 こんな風にちょっとだけ特別な下着をつけてる人が、イブの街にはいっぱいいるんでしょうね。

 これからクリスマスには周りの男女のこっそりつけている勝負下着を妄想して歩くことにします。独り者たちの哀しい楽しみがひとつ増えました。詠伝さん、お幸せに。

 毎日が楽しそうなご夫婦への嫉妬から生まれた、ササキの中のささやかな怨霊を短歌にして、次にいきたいと思います。

街じゅうの勝負パンツが僕たちをそわそわさせているクリスマス

 今回のトリは、短歌だけ送ってくださった「たつたあげうさ子」さん

実家から届いた餅を詰まらせて聖夜にひとり思った「生きたい」 (たつたあげうさ子)

 男らしい。「ひとり思った」はあえて言わなくても伝わりそうで、ちょっといじれるかもしれませんが、怨霊はきちんと消化させていると思います。餅はつまらせたけど。

 うさ子さんには、僕の

死んじゃえば今より臭くなるわけで 今よりもてないわけで 生きねば(佐々木あらら)

という短歌を贈ります。僕も生きよう。お餅もあるしね。

来月の募集テーマは「初体験」のエピソード&短歌です

 さて、「クリスマスの恋愛怨霊エピソード&短歌」の募集は今日でおしまい。来週、最後の「クリスマス特集」をやって、来年から新しいテーマに移ります。

 新テーマは、初春ということで「お正月」……ではなく、「『初体験』にまつわる怨霊エピソード&短歌」を募集します。

「初体験」って、期待が高すぎたり、気負ってしまったりして、呪われた思い出となってしまうものですよね。
 どす黒くて、青くさくて、思い出すといまだに赤くなってしまう、「お前、結局何色なんだよ!」っていうエピソード、皆さまもお持ちではないかと思います。

 ササキの初体験は、6つ上のバツイチの女性でした。20年以上前の話なのに思い出すとまだ恥ずかしいな。僕の心の怨霊も、来月からみなさんと一緒に成仏させていきたいと思います。

 あ、初キッスとか、初体験未遂とか、相手が初体験で大変だった話などなどでもOK。

 後悔や怒りや戸惑いが心の中で怨霊になっているような、香ばしいエピソード&短歌ほどササキの大好物です。こちらの投稿フォームから、よろしく。

 多数のご応募、お待ちしております。ではまた。

Text/AM編集部

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ライタープロフィール

佐々木あらら
阿佐ヶ谷生まれ阿佐ヶ谷育ちのエロ歌人

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