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  • 2015.03.28

『ゴッドタン』佐久間Pに直撃!自分だけが感じる違和感を企画にしよう

ゴッドタンの演出・プロデューサーで『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE 2 サイキック・ラブ』の監督・佐久間宣行監督へAM編集部がインタビュー。映画のの撮影秘話から普段の番組作りや企画まで、盛りだくさんなインタビューです。

『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE2 サイキック・ラブ』の舞台裏

ゴッドタン キス我慢選手権 テレビ東京 佐久間宣行 劇団ひとり 上原亜衣

─今回の『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE 2 サイキック・ラブ』を撮影していく中で一番印象に残った方は誰ですか?

佐久間宣行監督(以下、敬称略):もちろん主役の劇団ひとりなんですが、それ以外の方でいうと伊藤英明さんです。
劇中全編に渡って出て頂いたんですけど、撮りながら「なんで出てもらえたんだろう?」って思いましたね(笑)。大スターですから。

─伊藤英明さんの登場にすごく驚きました(笑)。ヒロイン役に上原亜衣さんを選ばれた決め手はありますか?

佐久間:『キス我慢選手権』はセクシー女優でやると決めているのですが、アドリブが多くて大変なのでオーディションをたくさんするんです。
その中で、演技ができたのと、アドリブに対応できたということで上原さんにお願いすることにしました。
用意されたセリフを読むだけでなく、その場の出来事に対応できたので。

─役に入り込んでいる表情が印象的でした。
作中のなかで、佐久間さんがグッときた女性の仕草や表情はありますか?

佐久間:仕草ではないですが、プールで劇団ひとりと話すシーンは想定した以上に可愛かったので、ノッているなと思いました。
全体的にこの映画の上原さんは神がかってすごく良かったと思います。素敵でした。

テレビ東京・佐久間Pの企画術!この人の面白さをわかってほしい

─番組制作の企画のつくり方についてお聞きしたいです。
企画をたてる中で自分自身の「面白い」と思う感覚はどの位の割合でいれて作りますか?
面白いかどうかをジャッジするために、何かと比較したりしているのでしょうか?

佐久間:作る番組のジャンルによって違います。たとえば情報番組を作るときは「視聴者にとって今興味があることか」、「視聴者が得に思うか」とかを大事にしています。
観た人が得に感じるものが情報番組なので。
でも、お笑い番組は視聴者が求めているというものを作るというよりも、「僕たちはこれが面白いと思うんですがどうですか?」と提示していく感じなので、企画の場では視聴者のことは全然考えないですね。
自分の面白いと思うことだけで作っています。

「当てにいく」とかはないんですか?

佐久間:ないですね。「この人のここが面白いと思っているのは俺だけなのかな?」というところから、そのまま提示した方がいいのか、別の企画で見せた方が面白いのかを考えていきます。
とにかく「この人が面白いことを分かってほしいな」という気持ちで作っていますね。

─2015年1月2日に放送された『共感百景』、すごく面白かったです。トリプルファイヤーの吉田さん、清野とおるさんを始めとする人選に驚きました。

佐久間:出演者は編成とかにも教えなかったんです。

─お正月番組の枠としてはチャレンジ企画のように見えるのに、GOが出たのがすごいと思っていました。企画書の出し方に工夫などあったのでしょうか?

佐久間:『共感百景』は企画書を通すのに苦労しました。
もともとは、スラッシュパイルという制作会社のイベントだったんです。
スラッシュパイルのイベントは以前からよくテレビ化しているんですが。

第1回のイベントから面白かったので、すぐに作家さんに企画書にしてもらったんですが全然通らなくて。
なんとかして通したいと思って、企画書でイベントを再現することにしました。

出演者がお題に対して「あるあるネタ」を書いた“共感詩”の色紙の写真を全部もらってスキャンして。
企画書を1枚ずつめくると、読んだ人が笑えるようにしたら通ったんです。嬉しかったですね。

企画につまったら…

ゴッドタン キス我慢選手権 テレビ東京 佐久間宣行 劇団ひとり 上原亜衣

─企画に迷ったり、詰まったりしたときにやることはありますか?

佐久間:企画に迷ったときは本屋に行きます。
本屋に行って、普段は読まない恋愛小説や自己啓発本のランキングを見たりしているうちに、これをテレビと掛け合わせるとどうなるんだろう、と強制的にテレビ番組になるものを考えます。

そうすると、怒りを抑える本がたくさん出ていることに気づいたりするんですよ (笑)。
だったら、そういう番組を作ったら面白いかなと、刺激を受けます。
それから番組作りで悩んだら、一番最初に書いた企画書を引っ張り出してきます。
なんでこれを面白いと思って始めたのかを見ると、どこが魅力で、どこを面白く見せたかったのかが書いてあるので、立ち返るところがわかるんです。

─本屋でキーワードをたくさん拾うんですね。勉強になります。
企画を出していく中で観ておいて良かったと思う作品や、経験してよかったと思うことはありますか?

佐久間:ものすごくありますね。この仕事に関しては、面白くてもつまんなくても観ておいて損なものはないですね。
個人的には昔から演劇が好きで小さいお芝居も行って、そのときに面白いと思った人を引っ張り出してきたりします。
つまらなかったときも「なんでつまんなかったんだろう?あらすじは面白かったのに」と考えていくと、やってはいけないことがわかったりするので、失敗例を観るのも大事ですね。

─なるほど! 他にはどんな経験が企画のとっかかりになりますか?

佐久間:よく企画のきっかけになるのは違和感みたいなものですね。
「みんなゲラゲラ笑っているのになんで俺だけ面白くないんだろう」、「なんで嫌な気持ちなんだろう」、「テレビでみんな泣いているのに俺は泣かないんだろう」という違和感を突き詰めて考えると、「俺は感動ブームが嫌いなんだ。感動をありがとうって何だよ!」って気づいて番組を作ったり。
自分の違和感を取っておいて後で考えると番組になったりします。

自分が面白いと思うスイングの形を見つける

─佐久間さんの著作『できないことはやりません ~テレ東的開き直り仕事術~』の中でも超大物キャストを使うだけではなく、企画内容や人の活かし方で面白くさせるという企画の考え方が大変参考になりました。そういった企画を作る上での考え方のコツなどはありますか?

佐久間:僕は歳をとってきたので企画を考えるパターンもいっぱいできてきて、いろんなやり方をするんですけど。
尖った企画を考えていた時はとにかく書き出しました。
例えば「感動」がテーマだとしたら、既にある番組やモノを全部マスに書いて潰していくんです。
そして、潰したものには被らないように企画を出そうとすると逃げ道が1個か2個しかない。
そうすると必然的にニッチなものとの掛けあわせが出てくるんです。
出てこないときもたくさんありますけど、昔はそういうふうに無理やり考えていました。

─何かと何かを掛けあわせていくんですね。

佐久間: 自分の中でやりたいことがある場合はそれをどう伝えるかなんですけど、そうじゃないときは制約があったほうが考えやすいですね。
超大物のスケジュールが合わないとか、不利なことを条件にして、「1日で撮れるものにしよう!」という風に考えると逆に浮かんだりします。

─縛りや制約がただの言い訳ではなく、いい方向に動くのってすごいですね。

佐久間:不利な部分が魅力になるように考えていくと、それが企画の個性になります。

─絶対面白いと思っていた企画の反応がイマイチだったときに自信がなくなることはありますか?

佐久間:ありますあります。でも、時期が悪いと思い込みます。
自分が面白いと思うスイングの形を見つかるまでが大事で、それがどこかで世の中にハマったらホームランがたくさん出るはずだと思っています。

自分が面白いと納得できる企画の仕組みや、ある程度満足できるものが一本できたらその方法論は絶対に自分の武器になるので。
それを出すTPOを間違っただけだと思います。

「当たると思ったもの」は他者の感覚に合わせて作るものだから間違えることはありますけど、「自分が本当に面白いと思ったもの」は間違いじゃないから。

あとはどう伝えていくかなので、方法論を磨いていけば大丈夫です。

─当たると思って作っていた時のほうが外した時に凹みますか?

佐久間:そうですね。自分が面白いと思うことをちゃんとやっておけば良かったと思いますね。

今一番面白いと思う人

ゴッドタン キス我慢選手権 テレビ東京 佐久間宣行 劇団ひとり 上原亜衣

―今佐久間さんが一番面白いと思っている人とかものはなんですか?

佐久間:オークラさんという構成作家は天才だな、と思いますね。
売れていない頃からずっとずっと一緒に仕事してきて、また一周まわって面白いと思っています。

ゴッドタンのチーフ作家でもあり、バナナマンとおぎやはぎの座付きなんですけど、今では構成作家志望の若手にとっての憧れナンバーワン作家だそうです。

コントも、脚本も、歌詞も書けるし、番組の構成もできる。
最近『プレイボーイ』で連載も始まりました。面白いので、覚えておいた方がいいですよ!

─著書の中で、劇団ひとりさんが「ノーギャラでも『ゴッドタン』に出たい」とおっしゃっていたエピソードが印象的だったのですが、出演者の方と信頼を築きあげていく中で大切にしていることはありますか?

佐久間:そう言っていただける番組を持てているのはありがたいことですね。
優しい言い方をすると人柄ですが、シビアに言うと毎回毎回ちゃんと考えて結果を面白くしているかだと思います。

人間関係とか信頼っていうものはもちろんあるけど、まだ結果が見えていない企画でも出演者が言うとおりにやってみようと思うのは現場で面白くできているからだと思うので。
現場を面白くするために、劇団ひとりのことを面白く見せてあげようと思う熱意を持ち、その見せ方を考えることにもとても時間をかけています。
簡単に言っちゃうと努力だと思います。出て得だなと思ってほしいと考えて作っていますね。

『ゴッドタン』レギュラー陣とも 、ゲストが「得だ」と思って帰ってもらえる、ゲストが美味しくなって帰れる番組にしようと話しています。
それを続けていると「あの番組に出たい」となり、視聴者の「見たい」になる。なので、そういうおもてなし精神です。

─『ゴッドタン』に出演されている方、皆さんイキイキされているのにはそんな秘密があったんですね。最後に佐久間さんが今後挑戦してみたいことはありますか?

佐久間:僕は一発本番のコント番組『ウレロ☆未体験少女』をやっているんですが、やっぱりお笑いが好きなので、どこかでちゃんと作りこんだコント番組をやってみたいという気持ちがずっとあります。
フジテレビさん以外ではなかなかできていないと思うので。

─コント番組、とても楽しみです。本日はありがとうございました。