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  • 2014.11.12

キラキラ自画撮り女子は人の心を動かせない/はあちゅう×田端×本田対談

田端信太郎さんと本田哲也さんの共著である『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。』発刊を記念して行われた、おふたりとはあちゅうさんの炎上鼎談。LINEで働く田端さんと、「ライン五往復でコミュ力は測れる」論者のはあちゅうさん、三人が考えるコミュニケーションとは?

今回は、田端信太郎さんと本田哲也さんの共著である『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。』発刊を記念して、下北沢B&Bで行われたトークショーのレポをお届けします! 第一回はこちらです。

キラキラ自画撮り女子は心を動かすのか?

はあちゅう 恋愛 田端信太郎 本田

本田:ここでイベントのタイトルを僕も思い出しました。今日は「キラキラ自画撮りで男を動かすのはあきらめなさい」です(笑)。

ここはぶっちゃけどうなんですか?増えましたよね、セルフィー。

田端さんはイベントが始まる前に「俺、案外心動くけどなー」って言ってましたけど(笑)。はあちゅうさん的にはどう? 女の子に対して。

はあちゅう:ふふふ…これ、本田さんが考えたやつだからあとで本田さんも自分で答えてほしいなと思うんですけど(笑)。
キラキラ自画撮り写真を100倍くらい盛れたとして、その写真で動くのは彼女の半径5メートルより外の人だと思います。
リアルな彼女を知らない人は動くんですけど、本質を知っている人っていうのは、ギャップをわかっているので、そこで動かないと思うんですよね。で、これって、広告とかにもいえることだと思って。

田端:そもそもツイッターとかFacebookでそこまでアピールして、男からモテようとしている動機自体を見透かされることがイカンということですよね。
だって、普通にリアルの人間関係で充足していたら必要ないじゃないですか。
だから、そこまでしてアピールするっていうことはその人がいかに欠落感を抱えた寂しい人かということを、裏返し的に証明しているということなんですよ。
それでいうと、本当にいい商品だったら今時広告する必要なくね?っていうことですよね。

本田:そこに行きついちゃうんですよね。

田端:感動しましたー泣いちゃいましたー! みたいな全米ナンバーヒット宣伝と同じですね。

本田:そういう100倍盛ったやつをみて、少し離れた誰かが「おっ、いいな」と多少スケベ心が動く。
でもそれは自画撮りした本人からしたら動かなくていい人だったりする。
だからそれでいくとキラキラ自画撮りはどっかの誰かは動かすかもしれなくても、本当の目的は果たせないということですね。

はあちゅう:ただ、キラキラ自画撮りをアップしている人たちには、そもそも特定のターゲットがないと思うんですよ。
なんとなく盛れた写真をアップすることによって、普段より何倍かいい自分という虚像がネットにできる、ということが楽しいんでしょうね。

田端:でもそうやって「いいね」がいっぱい付いたりすると、自信になって、特定の人に向き合ったときにその自信が下支えするっていうところはあるかもしれない。

はあちゅう:
そういう効果もあると思うんですけど、でも基本的にはリアルな知り合いのめっちゃキメキメの写真がFBに上がってきたら、こいつちょっと痛いな…って意地悪な気持ちになりますよね?

本田:まあ確かに動かないですね(笑)
でも、それでもやってしまうのはどういうインサイトなんですかね。

はあちゅう:変身願望みたいなのは満たされますよね。やっぱりいいセルフイメージを持ちたいと思うので、そこにイメージをあわせていくのは女性にとって必要だと思います。
全部そうじゃないですか。雑誌だって、フォトショで修正してあると分かった上でみんな買ってますよね。

本田:まあね、分かっていますよね(笑)

田端:みんなが盛っているからある程度盛らないと損みたいなところはありますよね。

本田:
ソーシャルな世界になって、僕らが関わっているようなメディアや広告も苦しくなってきているんですけど、個人の人間関係とか恋愛も面倒くさくなっているんでしょうね。

はあちゅう:それは確実にそうだと思います。
「男の子が合コンに行ったことがFacebookでわかる」っていう女の子がいるんですけど。なんでかというと、3人くらいと「○○さんと友達になりました」という表示が出るからだと。

田端:タグ付けしなくても、知り合い同士が同じ店にいって、逆角度の写真をアップしていたら、二人で会っていると分かってしまったりということもある。おそろしいよね。

はあちゅう:私の知り合いがすごい探知能力で、浮気を発見したんです。
ある日女の子のブログに、「友達の家でDVD観てる」という記事があがっていて、そこにアップされてるテレビ台が彼氏のやつだと気付いたらしいんです。そこから浮気していることがわかったとか。

田端:うわぁ~!

本田:男は「撮るのやめろよ~」って言わないんですかね。

はあちゅう:うーん、女の子はどこかでバレてほしいと思っているのと、男性はそもそも撮られたことに気付いていないですね。

田端・本田:ううーん(深く頷く)

SNS時代はコミュニケーション力が最重要!?

田端:SNSによって恋愛のゲームみたいな部分のどこが一番変わったんでしょうかね。

本田:今みたいな証拠把握ですかね。企業でもクライアントさんには残業でと言って、思わず、「忘年会で楽しんでます」っていう写真あげちゃってバレるということもあるじゃないですか。
そこはやりにくくなったんじゃないですかね。
でもいい面もあるんじゃないかと思っていて、はあちゅうさんはどうですか?
『恋愛炎上主義。』を読ませていただいたら、LINEの5往復で相性はわかると。

はあちゅう:
そうですね。コミュニケーション能力と、自分のほしい返答をくれる人かどうかは分かります。
私、昔よりは絶対コミュニケーション能力が長けてないといけない世界になっていると思っています。
ぶっちゃけこの人のツイッターつまんないなって思っていたら、本人もつまんなかったりして、やっぱり投影されるんです。
今まで直接会ったり電話だったりしたコミュニケーションも、メールのみのやり取りの方が絶対に多いじゃないですか。

だからこそ、言葉のちょっとした使い方が重要で、たとえば、この「レストランがいい」「このレストランでいい」この二つのニュアンスって全然違うと思うんです。
そういうことが、今までよりは求められている社会になっているとは思います。
実際に、ソーシャルを使いこなしている方っていうのは、文章能力が高いか、リアルで会っても感じのいい人か、何かしらの才能を感じますね。

本田:
確かにそれは同意です。本を読まなくなったとはいうけれど、逆に表現の豊かさは重視されていますよね。
LINEのスタンプもニュアンスを助けていますけど、恋愛も仕事もニュアンスの伝え方によって、うまくいくいかないというのはありそうですよね。20年前より。

田端:スタンプは、さっきいった7%しか再現されない中で(※心理学者アルバート・メラビアンによると言語からは情報を7%しか読み取れない)、俺の93%を少しでも復元しようと、声のトーンとか身振り手振りみたいなものの代わりとしてそこに入ってくる。
まあ同じ「ダメ」でも、スネてる感じとか、ガチで言っているとか、そういうトーンを盛り込めるのがスタンプですね。
あとどれだけの速さで既読になるかどうかで、流しながらやっているのか会話に集中してるのか、わかりますよね。

本田:そこも含めてコミュニケーションということですよね。
フリークエンシーというか。

田端:でも昔よりも筆まめじゃないと生きにくい世の中になりましたね。
レスマメっていうか。自分でも俺こんなに筆まめだったっけ?って思うもん。

一同:(笑)

本田:色々うだうだ考えるよりは、リアクションした方がいい空気にもなるし、そこでコミュニケーションをつくっていこうという気分なんでしょうね。

ヤレるスタンプモテるスタンプは存在するのか

田端:大体男の方が、文章能力は弱いじゃないですか。

本田:ニュアンスには弱いですね。

田端:だからずっと出したいと思っているけど僕の立場だと中々出せないのが、「モテるスタンプ術的なまとめ」があればいいと思っていて。
模範解答みたいなやつとか、スタンプでどう笑わせるかみたいなのとか。

本田:ウケル技術みたいな。

田端:そう水野敬也さんみたいな感じで、ヤレるスタンプ術を。

はあちゅう:いいですね!

本田:どうですか?共著で。「東京いいスタンプヤレるスタンプ」(笑)

一同:

はあちゅう:でもヤレるスタンプがあるかどうかってより、感性が似ているかどうかの方が大切そうですね。
なめこのスタンプがあるんですけど、それはもともとすごいモテる女の子が使っていたのを見て、「これはモテるスタンプだ」と思って使ってたんです。
でも、鈴木おさむさんに、「はあちゅう、いつもブサイクななめこ送ってくるけどさ、アレやめてくんない?」って。

一同:(笑)

はあちゅう:その時に、男の人はキモかわいいっていう感覚がないんだなって思いました。
でも、男の人の中でもなめこをキモかわいいって思ってくれている人も少なからずいて、そういう人とは話が合うんですよ。感性が似ているから。
で、私「なんでこんなだっさいスタンプ使ってくるんだろう」って思う人とは、話があわないんですよね。

本田:やっぱり文章よりスタンプはそういうのが伝わりやすいんですよね。出してくださいよ、さっきの本!

田端:いや~(笑) でも、デコメに比べたら、男性がスタンプ送るのはありなんですけど、男が送るとキモがられるスタンプもあるんですよ。
それのどこがNGラインでOKラインなのかわからない。

本田:そのガイドラインほしいですね(笑)
いいスタンプヤレるスタンプとかおこがましいものでなくて、どちらかというとNGを教えてほしいです…。

田端:せめてだめなやつをね!(笑)
僕もう100個くらいスタンプ入っているから、その感覚わかんなくなっちゃってるんですけど。
有料スタンプはアリかナシかとか。

はあちゅう:私は、有料スタンプをひとつも持っていない男性を見ると、「こいつスタンプ買うお金もないのかな」って思っちゃいます
全部無料スタンプで返してくる方が、常にキャンペーンとかチェックしてそうで、せこくてちまちましてるな~って。

田端:(笑) 今ここで断言すると、前のはあちゅうさんの炎上した発言「月の美容代7万円」みたいに、いい感じに五分五分の炎上しそうですね。

一同:(笑)

人間一人を動かす原点は恋愛

本田:結局これ、本の話はどっかいっちゃったんですけど(笑)。
本の中では1000人を動かすことから始まって10億人までいっているんですけど、最終的には一人も動かせないでどうするの?っていうオチになっています。
たくさんの人を動かすというけど、結局一人の×1000とか×10万って話だよねって。
その辺お二人はどうでしょう?

田端:やはり一人動かすのもすごく大変なんですよ。
家で本を書いていても、奥さんから「その本売れるの?ちょっとオムツ変えてくれない?」とか言われて「はい、変えます」ってなるわけですよ。
子供も言うこと聞かないし、もう一人動かすのも大変なんです。0と1の違いは、1と10億の違いより大きいというところがあって。

 それで、一人を動かすことがどれだけ大変かっていうことを、まず普通な人が生身に感じる原体験は、恋愛なんじゃないですか。
今日はもう少し真面目な話を聞きに来たマーケターの方もいるかもしれないのですが、大体今のマーケティングのあらゆる分母の中に、影のメタファーとしてセクシャルなイメージっていうのは織り込まれていますよね。
ハーゲンダッツのCMも典型ですけど、大体そこのボタンをついているんですよ。
あとは、車のCMなんかも大体典型です。この車を買えば、モテます、という。ファッション系、コスメ系もそうですね。

 そうなってくると、そこのポジショニングとか文法っていうのは絶対知っておいて損はなくて。
そういう感性みたいなところがわかんないと中々マーケティングやっていても、本当の意味での人がどう動くかみたいなところで悩みます。
まあ平たくいえば性欲がしめている動機って結構大きいんですよね。
だからこそ、そこを自分自身の心を含めて向き合うのは大事なんじゃないのかなと常に思っています。
では、はあちゅうさんどうぞ。

はあちゅう:私は、ソーシャル時代に人を動かすには、切り捨てる勇気こそが必要だと思っています。
私のツイッターは、20代の女性に受けようと思ってマーケティングしてつぶやいている訳じゃなくって、私の面白いと思う物に共感してもらう人に対して発信してるんですよ。
それを続けた結果、フォロワーがどんどん増えるということにつながったんです。
 無闇にターゲットを大きくするよりは、私の面白さがわかんない人はわかんなくいいっていう風にしてしまうことで、逆にファンが増える気がします。


 音楽プロデューサーの四角大輔さんという、歌手の絢香さんやsuper flyさんをプロデュースしていて七回くらいミリオン出している方がいらっしゃるのですが、彼は「すべてのミリオンセラーは大衆に書いたものではなくて、誰か特定の一人にあてて書いたものだ」といっていて、私もそうだなって思ったんです。

 私は近況報告をしたい友達に対して、ブログも他のSNSも発信しているつもりで、それがたまたま面白いと思う人たちにじわじわ広がっていったっていうのが結果だと思うので、批判に屈せずもうわからない人はわからなくていいし、すべての人にお伺いをたてる必要はないし、それはオンラインサロンでも一緒だと思っています。

本田:なめこスタンプも一緒ですよね。もう鈴木おさむさんはいいと!

はあちゅう:
鈴木おさむさんは仲良くして頂いていますけど!(笑)

本田:でも本当に、書籍の中でも入れ子構造の話をしていて。
1万人が動かない話は10万人も動かないんですよね。
だからそのマトリョーショカをどんどんはいでいくと見ようとしていなかった芯が見えてきたりして、案外そういう分析をしてないんですよね。
最初からたくさん動かすという目的意識より、「こういうコンセプトや内容で動かしたい、10人でもいいから!」というのがあって、結果的にそのコンセプトに共感してもらえる数字が1000だったというのが本当の姿なんでしょうね。

 本日は皆さん、ありがとうございました。