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  • 2014.09.12

たくさんの糸で“ゆるくつながる”家族を目指そう 家入明子×福田フクスケ対談(最終回)

日本一炎上しがちな夫を持つ家入(紫原)明子さんと、福田フクスケさんのトークイベントレポート。たまにふらりと家に帰ってくる父を見る家入家の子供たちは、意外にもお父さんを愛し、尊敬しているといいます。その理由は家庭を支える妻が、夫の欠損を必要以上に悲しんだりしないこと。心の穴を作らないための秘訣をお伝えします。

 2014年7月16日(水)に開催された、ブログ「手の中で膨らむ」が話題の家入明子さんと、ライターの福田フクスケによるトークイベント「日本一炎上しがちな夫を持つ妻と、独身アラサー男子の、AM公開相談室」の内容を、特別に再構成したダイジェスト版にてお届けします。

第1回「結婚はスタートアップだけど、結婚生活はマネジメント」
第2回「自分の価値を確認するためのセックスはダサい!」
も合わせてどうぞ。

子供にとって“父の不在”自体は傷にならない

家入明子 福田フクスケ 恋愛 結婚

福田:家入さんのご家庭は、お父さんがすごくエクストリームな人で、ほとんど家に帰らずに行方不明になったりするわけじゃないですか。
明子さんは、「父親が父親として機能していない家庭」と表現されていますけど。

家入:基本的にどこにいるのかわからないですからね。住んでいる場所も最近知ったくらい。
珍しく帰ってきたと思ったら、「明日、都知事選に立候補する」っていう報告で(笑)。
なんとかして止めなきゃと思ったんですけど、「いま、選対本部で決起集会してきたから」って。

福田:あはは、もう遅かったんですね(笑)。

家入:「万全は期すけれども、最悪、公職選挙法に触れて逮捕されるリスクがあるよ」って言われたんです。
でも、それを聞いても子供たちは全然動じなくて、「そのときは、“あの家入一真ってお前の父ちゃん?”って聞かれても、“うちは家入レオのほうの家入だ”って答えるから大丈夫」って。

福田:すごくいい話じゃないですか! ちょっと泣きそうになりましたよ……。

家入:たまに夫が家に帰ってくると、子供たちは「ミッキーマウスがやってきた!」みたいなテンションで無邪気に喜ぶんですよね。
日頃いないことに対する恨みを持っていないんです。
そのとき気付いたのは、子供に“心の穴”を空けるのは、“いないお父さん”じゃなくて、“そばにいるお母さん”なんだってこと。

福田:“心の穴”というのは、二村ヒトシさんの言葉で、“親から植え付けられる感情や思考のクセ”のことですね。
女性がだめんずにばかりハマったり、男性がヤリチンになったりするのは、この“心の穴”が原因だと提唱されています。

家入:“お父さんがいないこと”自体が子供に影響を与えるわけじゃないんですよ。
お父さんがいないことで、お母さんが恨んだり傷付いたりしている。
その感情が子供に連鎖して、初めて子供の“心の穴”になるんだなって。

福田:明子さんは、少なくとも子供の前では、一真さんを決して“悪者”にはしていないのがすごいです。
変な被害者意識を持たせないようにしてるんですね。

家入:妻の私にとっては、めちゃくちゃでとんでもない夫ですけど、子供たちにとってはいい父親だし、彼らもお父さんのことを尊敬している。
そのつながりがある以上、多少の身勝手や不貞があっても、私はあの人と他のつながりをすべて断ち切って他人にはなり切れないんですよ。

その絆は、1本ではなく何本もの糸でできている

福田:明子さんはきっと、一真さんとの関係を“かけがえのないたった一人の相手”ではなくて、「夫」「起業家」「子供たちの父親」「おもしろい大人」というふうに、“たまたまたくさんの役割を担っている人”ととらえているんじゃないかな、と思いました。

家入:たしかに、付き合ってるときは「恋愛感情」や「性欲」くらいでしかつながっていないけど、結婚して夫婦、さらに家族になると、相手との関係のなかで担う役割はどんどん増えていくよね。

福田: それって、相手との“つながりの糸”が増えていくってことだと思うんです。
“1本の糸で強くつながっている”と思うから無理があるのであって、“たくさんの糸でゆるくつながっている”と考えればいい。
たとえそのうちの1本や2本が切れてしまっても、他の糸でまだつながっていられるじゃないですか。

家入:まあ、その糸の多さは、悪く言えば“しがらみ”なんだけどね。

福田:先ほどの二村ヒトシさんをはじめ、今はいろんな人が「依存先を分散させよう」って言ってますよね。
一人に何もかもを求めると、依存心や執着心でおかしな状態になるから、自分の欲望や欲求を何人かに分散させなさい、と。
ただ、結婚してるのに“人を分散”させたら、それは浮気や不倫になってしまう。だから、
同じ人の中で“役割を分散”させようというのが、俺の提案なんです。たくさんの糸で“ゆるくつながる”家入さんちは、そのロールモデルなのかもなって。

家入:ただ、うちは別居して4年かかって、やっとその状況を受け入れられるようになったのね。
最初からそういうものだと思って恋愛や夫婦関係を始めることってできるのかな……?

福田:俺はこれって、「なんとなく“1本の糸”だと思っていたものが、実は“何本もの糸”でできていることを自覚しよう」という話だと思っていて。

家入:ん? どういうこと?

福田:たとえば、「セックスしたい」という漠然とした欲望も、ただ「性欲を満たしたい」だけじゃなくて、「相手を支配したい」「承認されたい」「癒されたい」「コミュニケーションが取りたい」とか、実はたくさんのいろんな欲望でできている。自分にとってセックスの意味がひとつじゃないことに気付ければ、相手を支配したいという性衝動がなくなっても、別の意味でセックスは続けられるわけです。

家入:ああ、そっか。だから恋愛や夫婦関係も、漠然と「この人しかいない」と思って好きになると後でうまくいかなくなるから、自分がなんでその人を必要としているのか、何を期待して好きと感じているのか、ちゃんと分析しておこうってことだよね。

結婚を“失敗してもやり直せる”と思えるものに!

家入:でも、そうは言っても、やっぱり恋してたら自分の感情をそんな客観的には分析できないんだよね。
期待できないところは、あきらめて“外注”しましょう……って割り切るのも難しい。
だから私は、みんなもっと気軽に結婚して、失敗したら気軽にやり直せる世の中になればいいと思う。
ほら、起業のハードルも下がってるしさ。失敗したら会社をつぶしてやり直せばよくない?(笑)

福田:一真さんも、「追いつめられたら逃げろ!」って言ってますし(笑)。

家入:あの人は、縛り付けようとするほど、逃げていっちゃう人だから。だから、ゆるくつながらざるを得なかったんだけどね。
私は、自分が主導権を握って監督できていれば、人生に出演する登場人物は多い方がいいと思っていて。
自分だけじゃ平坦でつまらない人生を、たくさんの登場人物が彩ってくれるっていう考え方。

福田:その考え方は大事だと思います。

家入:だからうちは、夫がほとんど帰ってこない代わりに、家を半分シェアオフィスみたいに開放していました。
彼を取り巻くおもしろい大人を積極的に家に呼んで、なるべく子供たちと関わってもらうようにした。
お父さんが普通じゃないことを逆手に取って、この家に生まれたメリットを享受してほしいなと思って。

福田:家をシェアオフィス化するって、江戸時代に長屋のみんなで子供を育てていたのと似ていますね。
これまで家庭でまかなっていた役割を分散させるって、まさに“ゆるくつながる”ってことじゃないですか。

家入:世の中が変わってきているのに、今まで通りの結婚生活や家庭なんて作れるわけないんだよね。
だったら、新しい居場所を作っていくしかない。ほら、あの人ってよく居場所、居場所って言ってるでしょ。
私は私で、家にLiverty(リバティ)を作っていたってことだよね(笑)。

福田:やっぱり、結婚も仕事も“一度始めたら同じスタイルをずっと続けなければいけない”という価値観自体に無理がきてるんですよ。
人生が固定化されちゃうことのプレッシャーが、自分の首を絞めていることは多い気がします。

家入:結婚はもはや、楽しいからとか、一度味わってみたいからするものであって、メリットや理由なんかないと思うよ。
バツが付いてたって、人が変われば同じ結婚にはならないし。
失敗しても、違うやり方でやり直せるって思えることが重要なんだと思います!

Text/福田フクスケ

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