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  • 2016.08.24

精子バンクも調べたけど「意外と高いな」と思って/確信的シングルマザーの選択①

「結婚はしなくても子どもはほしい」……現実を考えると難しい望みです。しかし、アルテイシアさんのご友人は37歳のときに実践。彼氏ナシ、精子バンクは使わずにシングルマザーになったKさんの人生は、たとえ極端だとしても、将来の家族計画を考えるうえで必ず参考になるはずです。

恋愛デスマッチ アルテイシア
©Mikel Garcia Idiakez

 30歳を越えた頃から「結婚はしなくても子どもはほしい」という女子が周りに増えました。
「でも現実を考えると難しいよね…」と悩む人が多い中、37歳の時に「彼氏ナシ、ひとりで子どもを産んで育てよう」と決断した女友達がいます。
そんな友人Kちゃん(40歳・医者)にお話を聞いてきました。

子どもはそんなに好きじゃなかった

アル:昔から子どもはほしかったの?

K:ううん、もともと子どもはそんなに好きじゃなかった。
でも結婚はしたかったんだよね、すごく。ただ、とにかく恋愛がうまくいかなくて(笑)。
18歳から6人の男性と付き合ったけど、結婚には至らず。37歳の時に「20年近く頑張ってきて無理だったものが、あと2年ほどでできるとは思えない」と思って。

アル:37歳の時、彼氏はいなかったんだよね?

K:ちょうど2年付き合った人と別れた直後だったの。でも失恋のショックとか全然なくて、むしろ「べつにこの人と結婚したいわけじゃなかった」と気づいて。
じゃあなんでこんなに結婚したいんだろう?と考えた時に「私は一緒にいてくれる家族がほしいんだ」とわかった。
で、私の中には「男はいずれ去っていく」という思いがあったから、「私が本当にほしいのは男じゃない、子どもだ!」とハッキリしたのよ。

アル:なるほど、自分が本当にほしいものが明確になったのか。

K:うん。それで「ひとりで子どもを作ろう」と決意して、ネットで精子バンクも調べたんだけど、意外と高くてさ。

アル:精子っておいくらぐらいするの?

K:だいたい10万円ぐらい。高スペックの種らしいけど(笑)、妊娠するとは限らないし。というか年齢的に2年ぐらいかかると思ってたから「予算的にちょっとな~」って。 

アル:妊娠したら払うとか、成功報酬制じゃないんだもんね。元手はタダなのにって思うけど、保存が大変なんだろうな。

K:保存にすごくお金がかかるみたいよ。

アル:もっと簡単に保存できればいいのにね。一瞬でフリーズドライして、お湯をかけたら戻るみたいな。もしくは水槽で飼えるとか、あと藻だらけの池とか(笑)。

K:メダカとちゃうからな(笑)。そんなわけで種を探していた時に、たまたま電話がかかってきたの。

たまたま電話してきたのは「クズの元彼」

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K:たまたま電話してきたのが、2年ほど会ってなかった元彼で、「そうだ、こいつがいた!」と思って。それで「子どもがほしいんだけど協力してくれないか」と聞いたら「いいよ」って。

アル:なんで「いいよ」なん?

K:クズだから。

アル:あははは(笑)!

K:だってマトモな人は「うん」って言わないでしょ。認知も養育費も何もいらないと念押ししても「そんな無責任なことはできない」って言うでしょ。

アル:そりゃそうだ。別の女友達もシングルで産もうと思って「種だけくれないか」と周りの男性にあたったけど、マトモな人は「何もしないなんてできない、いざ産まれたら自分も関わりたくないし」と言うって。

K:普通はそうだよね。元彼は何も考えてないクズだから「いいよ、セックスできるなら」って。

アル:正真正銘のクズだな!

K:女友達もみんな「あの人はクズだ」と太鼓判を押すもん。浮気症で女グセが悪くて、浮気相手とデート中に私と遭遇した時、真顔で「どちら様ですか?」と聞かれたりとか。

アル:おお、一点の曇りもないクズだ。

K:ちなみに出会った時も無職で、何度も転職を繰り返して、子どもを仕込んだ時も無職だった。でも、そのぶん時間の融通も効くしさ。

アル:たしかに無職だと融通は効くわな。

K:年齢的には1日も早い方がいいから、善は急げだと思って<2日後が排卵日なので今夜よろしく>とLINEしたら<了解♪>って。

アル:それでよくもノコノコやってくるよね。たしかに何も考えてない人じゃないと無理やな。

K:私の周りの40代はもうちょっと物事を考えてるよ。

アル:当たり前や(笑)。ある意味、最強だよね。カーズ様みたいな。

K:あははは(笑)!「考えるのをやめた」。クズのカーズ様だね。

なんと一発目で奇跡の妊娠!

K:もともと2年計画ぐらいで考えてて、「半年頑張ってできなかったら不妊治療も検討しよう」と思ってたんだけど、なんと一発目でできたのよ。

アル:それすごいよね!運命的というかさ。

K:私も妊娠検査薬を見てびっくりした。でもすごく嬉しかったよ。

アル:カーズ様は子どものことは喜んでるの?

K:いや何も考えてない。

アル:マジで?!もうちょっとクズじゃない人を選ぼうと思わなかったの?

K:私、マトモな人には引け目を感じるのよ。「こんなちゃんとした人は自分に釣り合わない」と思うから、クズの方が安心するの。

アル:それって昔から?

K:うん、昔から。元彼の中にはマトモな人もいたけど、やっぱり引け目を感じて別れちゃって、そのたびクズの元彼とくっついたりしてた。
カーズ様は18歳の時に初めてできた彼氏で、そこからくっついたり離れたりしながら、20年の腐れ縁なのよ。

アル:えっ、そんなに?!

K:そうなの。20年の付き合いだから気心も知れてるし、セックスもし慣れてるし(笑)。
あと37歳の時にマトモな彼氏と別れて、突きつめて考えると「その人が好きで結婚したいわけじゃなく、子どもがほしいだけだ」と覚醒したんだけど、ほんと全然ショックじゃなくてさ。
これまで失恋してショックだったのはカーズ様だけだったし、唯一結婚したいと思った相手もカーズ様だった。

アル:なんで?

K:好きだったから。

アル:だからなんで (笑) ?

K:うーん…クズなのはわかってたけど、好きだったのよ。やっぱりひとりで産んで育てるなら、好きだった人の子どもがいいなと。

アル:わからんでもないかも。私も某クリエイター氏に失恋した時は、人生で一番ショックだった(<別れた瞬間に死を祈ってもOK!元彼を成仏させる方法>参照)。
彼は男としては最低のクズだったけど、でも本気で好きだった。故郷の村を焼き討ちにしたいぐらい恨んだけど、一番好きになった人だと思う。

K:私も一番好きになった人だから、子どもの父親に彼を選んだことに後悔はないの。それにこんな突飛な願いを聞いてくれて、子作りに協力してくれたことに感謝してる。

どれだけやっても自分を好きになれない

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アル:私の周りには、たまたまシングルマザーになった女性は結構いるけど、Kちゃんみたいな確信的シングルマザーはいないのよ。最初からひとりで産み育てるとなると「やっぱり勇気がない、不安だ」という人が多い。

K:私の場合、やっぱり医者という職業は大きかったと思う。

アル:手に職があるから食いっぱぐれないし、どこでも生きていけるもんね。

K:あとわりとフレキシブルに働き方も選べるし、最悪バイトだけでも食べてはいけるから、経済的な不安はなかった。

アル:でもさ、経済的な不安がなくても、いざ実行するか?となるとできないって人が多いよ。やっぱり「本気でほしかった」からじゃない?「子どもおったらええな」ぐらいやと頑張れへんやん?

K:そうね。私の場合「このまま平均寿命まで生きるのか」と考えたら、うんざりして死にたくなったのよ。

アル:え、そんなに?

K:なんせ自分が嫌いだからさ。「私は空っぽ、何もない」みたいな。
自分をクズだと思ってるからクズの男をつかむけど、そんなクズでもいないと自分をさらにクズだと思ってしまう。

アル:そうか~。はたから見たら優秀なお医者さんでさ、クズどころかスゴイよねって立場だけど、他者評価と自己肯定は別物だもんね。自分で自分を嫌いなのは最大の地獄だよね。

K:そう、中身は闇だらけよ。はたからはキャリアに邁進してるように見えただろうけど、医者になってもキャリアアップしても「これじゃない感」は消えなかった。
結局どれだけやっても、どこまでいっても自分を好きになれないってわかったから。

アル:Kちゃんは明るいし友達も多いし多趣味だし、楽しそうに生きてるように見えるけど、心には闇があったんだな。

K:それはアルも同じだったでしょ?

アル:うん。TOFUFUの『私がペーパーウェイトを手に入れるまで』にも書いたけど、私も普段は明るく強気だけど、たまに闇落ちすると「男にモノのように扱われたい」という思いがあふれて、自傷行為のようなセックスを繰り返していた。

他人からは「いろいろ持ってるやん自分」と思われても「違う、そうじゃない」がつねに鳴り響いていたから。他人に評価されることと、自分に生きる価値があると思えるかとは、全然違うよね。

K:それが旦那さんと出会って変わったんだよね?

アル:旦那に出会って、自分を傷つけなくても生きていけるようになった。男女だから別れるかもしれないし、死別するかもしれないけど、一番ほしかったものが満たされたから「もう大丈夫、ひとりでも生きていける」と思えた。

K:私もそう。子どもという何よりも大切な存在ができて、その存在が自分を慕ってくれて、もうそれだけでオッケー。私がほしかったものはこれだった!って。

アル:川崎貴子さんも「子どもを産んだ瞬間、私に必要だったのはこれだった!とスーッと収まった」「問答無用で自己肯定できた」という話をされていたよ。

K:そうそう!私もスーッと満たされたから、もう他には何もいらない。恋愛も男もいらないし、世間や他人の評価もいらない。「子どもに望むことはある?」とか聞かれるけど、それもない。ただ生きててくれたらいい。

アル:おお~。

K:べつにグレだっていいよ。「クソババア、金よこせ!」って言われてもいい(笑)。

アル:最近の子ども凶暴じゃないから、積み木を崩さないらしいよ(笑)。
「ただ生きててくれたらいい」と無条件に愛される実感は、自分たちが子ども時代に得られなかったものだよね。

K:うん。生きてるのが辛かったから、やりたいことは全部やってみたけど、自分を嫌いなのは治らないし、生きづらさも変わらなくて…それは明らかに父親が原因だった。

――次回、毒親トークに花を咲かせます!

<女三代だめんず家系、父親はクズの三冠王!/確信的シングルマザーの選択②>
「子どものために離婚しない」よく聞く言葉ですが、本当に子どものためになっているのでしょうか。生活面の不安はあるかもしれませんが、離婚しないデメリットもあるのかもしれません。次回はAM読者の皆さんにも知って欲しい「シングルマザー」のお話です。

ライタープロフィール

アルテイシア
作家。

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