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  • 2013.10.24

雨宮まみ×少年アヤちゃん対談(4)/脳内垂れ流し>適度なブランディング?

著書『女子をこじらせて』(ポット出版)で全国のこじらせ女子に大きな影響を与えた、ライター・雨宮まみさんとモテない女に関するツイートやブログの文章が、現在多くの女性から支持を集めている、ライター・少年アヤちゃんの二人がお届けする脳内をSNSに垂れ流すことの危険性。


 7月25日に阿佐ヶ谷ロフトAで開催された、雨宮まみ×少年アヤちゃん『人間ってかわいいね。どうせ死ぬのにセルフブランディングとか考えて』をお届けします。第一回第二回第三回も合わせてどうぞ。

攻撃してくる人をリサーチするとスッキリする

雨宮まみ 少年アヤちゃん


まみ:攻撃する人のこと知るとスッキリしませんか?

アヤ:しますします。アイコンの向こうにいるのが人間だって認識出来ると気持ちが軽減されますよね。

まみ:以前、私のことをディスってる人のツイートを見ちゃったんですよ。

アヤ:まみさんのことをですか? フォロワー?

まみ:そう。で、その人のログを2年間ぐらい遡ってみたんですよ。

アヤ:2年間!(笑)

まみ:そういう人って、自分のツイートを知らない人間が執拗に読むかもしれないなんて、想像もしてないから個人情報を隠すツメが甘いんですよ。読んでるとだいたい日本のこの辺りに住んでいて、彼氏のことを相方って呼んでいて、その彼氏と今年の春ぐらいに入籍してて、星野源さんのファンだってわかった。 そこまでわかると、これはしょうがないよね、そりゃ私のことイヤだよねって納得して、そっとタブを閉じた。

アヤ:でも確かに攻撃してきた人のことを知ると、傷が薄まるのはよく感じますね。

まみ:やっぱり知っちゃうと、無条件で憎めなくなりますよね。

アイドルに夢中になって、歯と爪がボロボロに

雨宮まみ 少年アヤちゃん
○○


まみ:アヤちゃん、最近「500円しかない」とかよくツイートしてますよね。

アヤ:そう、「超特急」というアイドルグループに貢ぎすぎてお金がないんですよ。超特急というのは、「史上初!フロントメインダンサー&バックボーカルグループ」をコンセプトに掲げたクソみたいな男子グループなんですけど、なぜかハマってしまって。現在ももクロの弟分として売り出されています。

まみ:だから、ちょっと戦隊っぽい売りなんですね。

アヤ:そうなんです。そんな超特急に、メディアで自尊心すり減らして傷ついていたどん底の時期にはまっちゃって、もうキャラとか背負うのやめようって思うようになったんです。アイドルは偉大ですね。

 ただ、ちょっと極端になりすぎちゃったみたいで、ツイートも普段の発言もそればっかりになってしまって。
もうすごいリムーブされるわ、編集さんには注意されるわ、ひどい状態に……。
しかもアイドルを信仰するのって、すごく楽しい反面、同じくらい苦しくもあって。というのも私、アイドルにどうしてもコンプレックスを投影してしまうんです。

まみ:コンプレックスを投影するってどういうことなんですか?

アヤ:自分にないもの、自分が羨望しつつ手に出来なかったもの、それをアイドルに託すんです。
つまり私の推すアイドルって、「理想の自分」なんですよね。「理想の自分」が舞台上で煌めき、喝采を浴びている光景は恍惚とするほど気持ち良いのですが、一方で「そうはなれなかった自分」を浮き彫りにする作業でもあって。
それで病んで、爪とか歯がボロボロになったりして。

まみ:子どもを産んだわけでもないのに、骨粗しょう症みたいになってる。

アヤ:友人も同じような状態になってました。それで、すがるように手にしたのがパワーストーンだったんですよ。

まみ:パワーストーンのブレスレットですよね。ちなみに何の石なんですか?

アヤ:母性を高める石、と言ってました。

まみ:これ以上高めてどうするの!?(笑)

アヤ:本当ですよね。高めてどうする!おかげで、自分のことそっちのけでアイドルのブランディングについて考えたり、ファン同士で一晩中新曲衣装についてミーティングしたり…。ますます暴走していくんです。
そういえば一番やばいとき、取材でAMの編集さんたちと一緒だったんですよ。

AM編集部:取材先で、おもちゃのブレスレットが売ってたので、「アヤちゃんパワーストーン外してあれつけなよ」ってふざけて言ったら空気が凍っちゃって「これはガチなパワーストーンだ」って思いましたね。

まみ:「パワーストーン外せとか何言ってんの?」「私に死ねって言ってるの?」って感じの空気に(笑)。

AM編集部:苦笑いがすごかったですよ。

アヤ:…あんまり覚えてないんですよ。けど、ブランディングがつらくて逃避した先でノーブランディングの垂れ流し状態になって、結果人は離れていくし、AMの編集さんにもそんな態度を取っちゃうし、やっぱり適度なブランディングって必要なんだと思いますね。

セルフブランディングは苦しいけどした方がいい!?


アヤ:でも、アイドルを追ってると、彼らもブランディングしてるんだなって分かってきたんです。
私がブスとニートとオカマを背負っていくのが辛くなったように、アイドルたちもそれぞれ辛いんだなって…。

まみ:アイドルの子って若いのに…。セルフブランディングって恐ろしいよね。

アヤ:器用な人ほど損しちゃいますよね。

まみ:じゃあ、しないほうがいいってことなんですかね?

アヤ:ある程度、私はした方がいいんだなって、脳内垂れ流しで社会的な立場が危うくなってきてから分かりました。今思えば、半分くらいブランディング要素を残しとけばよかったなって(笑)。
そうすれば担当さんにもリムられずに済んだんじゃないかな。まみさんはどうですか?

まみ:やっぱり分かりやすさって点でいうと、「どんな人なの?」って訊かれたときに、一言で答えられるキャッチーな言葉があったほうがいいとは思います。 ただ、さっきのアヤちゃんの話と同じように、最初にそこでついたイメージを払拭するのはすごく難しい。 「少年アヤちゃんって何者なんですか?」「ブスでニートのオカマです」って、わかりやすいじゃないですか。 そのあとで「文章がすごく面白くて…」とか言っても、「ブスでニートのオカマ」っていうのがインパクト強すぎて、後者は印象に残りにくい。

 自分もそうですけど、無名のライターが仕事を始めるときって、必ず得意分野やどんなものが書けるかって訊かれるんです。そのときに面白いキャッチフレーズがあったほうが、話は早いと思う。

アヤ:だからある程度はブランディングが必要なんでしょうね。

まみ:別に私たちに誰も本気でセルフブランディング論とか期待してないと思うんですけど、一応訊くと、どこら辺からブランディングって必要だと思います? 例えば、アヤちゃんにはライターとしての仕事をしていない時期もあったじゃないですか。

 世に出たいとかは別に思ってないけど、身近な人だけツイッターを見てる状態のときにブランディングとか、見せ方って考えたほうがいいのかな? 知らない人も見る可能性はあるし、そこから人間関係が広がる可能性はあるでしょ。

アヤ:なんか…よく分からなくなってきた…。

まみ:…辛気臭い感じになったので最後にあれをかけましょうか。ブランディングとか、せこい概念を打ち破るMaxの新曲の「Tacata'」をみんなで聞こうと思って。

(「Tacata'」をみんなで視聴)

アヤ:なんというか…災い転じて福と成すとはこのことかと。

まみ:突き抜けた意志には誰も勝てないんだって、すごく感動した。みんなもう踊れますよね?

アヤ:結局、人間って知的レベルの高い生き物だから、そんな綺麗に割り切らなくても、こういうグレーゾーンから奇跡を生み出すことだって出来るんですよね。我々がTacata'現象から学ぶものは大きいと思います。


Text/AM編集部

■雨宮まみ×少年アヤちゃん対談をまとめて見る

ライタープロフィール

雨宮まみ
ライター。九州生まれサブカル育ち。守備範囲は「セックス&自意識&女のあれこれ」
少年アヤちゃん
平成元年、消費税と共に生まれたブスでニートのオカマ。サゲマンJAPAN代表。

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