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  • 2014.02.06

“あの頃”には戻れない!前に進むには失敗を恐れないこと・31歳女性の悩み(後編)/ジェーン・スーの相談室


 ラジオやテレビ、コラムニストとして活躍し、ブログ「ジェーン・スーは日本人です。」で話題のジェーン・スーさんに AM読者の悩みをとことん聞いていただきました!
過去の記事はコチラから。

前編のあらすじ


 11人目の相談者さんは、フリーランスの木村さんです。
元々彼と比べてしまうことと、友人からの彼氏への評価が気になって、結婚するのに不安がある木村さん。
しかし、相談をしてみると結婚に対して後ろ向きな理由は別にあった…!?
(詳しくは、 【前編】今彼と元々彼と比べてしまう!このまま結婚してもいいの?)

木村さん(31歳、フリーランス)の悩み
「周りの友人が彼の良さを理解してくれない」

ジェーン・スー
Photo The Berto


木村さん(以下、木):私が心配だったのは、私の不安を周りの友人が見透かしていて、それが彼への評価に繋がって悪い印象を与えているのが嫌だな、なんで分かってくれないのかな、と。

ジェーン・スーさん(以下、J):周囲の友人はなにを分かってくれない?

木:彼の良さを…

J:そりゃ木村さんが不安そうな顔してるからでしょ!

木:やっぱりそうですよね。

J:拙著「私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな」でも書きましたが、「男運が悪い」って言う人は、自分が付き合っている男のことを、いつも不安な顔で周囲に語るから、周りにそう思われるんですよ。
ところで、木村さん見事にいろんなことがごっちゃになってるよ!
パワーポイントで説明したいぐらい。

木:苦手です…。

J:とにかく自分が選んだことの評価を、人に委ね過ぎ。
自分で自分を大丈夫にしなよ!
  ちょっとまとめますね。

【木村さんの状況】
・フリーランスの仕事。充実しているが、フリーランスなだけに不安も多い。
・元元彼のことが生理的に苦手なのに、まだよりを戻した方がいいんじゃないかと思っている。
・元元彼のことが気になるのは、生理的に苦手なこと以外はパーフェクトだから。
・今彼のことはすごく好きなのに、周囲の人間の一部が不安な顔をしたり、彼もフリーランスだったりすることで結婚に二の足を踏んでいる。
・だが、結婚はしたい。

でOK?

 えーっと、まとめて見てみると、木村さんはたぶんまだ誰とも結婚したくないんだと思いましたけど…

木:そうなんですか!今年結婚する感じで進んでいますが…

J:ザワザワ そうなの!?
直前でひっくり返したりしないと良いが……。

木: 結婚しようって改めて言ってくれて嬉しかったので、私、結婚したいんだと思っていました。

J:いやいや、私の言うことをそんなにすぐ信じないで!
  私の意見を否定してくれてもいいんですよ!

なぜ結婚するのを悩んでいるか分からなくなることも

木:でも悩んでいて、今彼とは不思議と話し合いばかりしていました。
なんで、悩んでいるんだろう…と思って。
いろいろ理由をあげていくうちに訳わからなくなって寝てしまって今日にいたります。
ざわざわする理由がほどけたら、解決するのかな…。

J:ざわざわする点は元々彼の存在や、今彼の経済的な不安定さや、友達からの評価だったと。

木:なんだか分からなくなってきました。自分のことなのに。

J:自分のことがいちばんわからないよね!
元元彼のことは、「自分さえ我慢すれば自分の欲しい安定が手に入る」という非常に矛盾した思いに木村さんが囚われていますね。

木:それは元々彼にも言われました。

J:元々彼わかってるぅ~!
矛盾でしょ?だってこれ。すごい矛盾。

木: 自分の好きな彼で、安定した人と結婚したい!ということでしょうか。
でも安定ってなんだろう…

木村さんは、本当に結婚がしたい?

J:木村さんが気にしているのは、経済的安定ですよね?
(それは願望としては普通のことだから、別に気に病むことはない)

木:そうですね。
ということは、もう少し頑張って、2人で安定を手に入れるのがいいのかな。

J:今彼と結婚したい?

木:はい。
って、言ってからドキドキしてきました。大丈夫なのかな!

J: あはははは。
なんなんだ!なんなんだ木村さん!グラグラしすぎ!
二人でもう少しがんばって、二人で安定を手に入れることを目標にするのは素晴らしいと思いますよ。
今彼と結婚したいなら。

木:そうですね。
「用意された安定がほしかったら、オレと結婚していたはず」って元々彼に言われたことを思い出しました。

J: 元元彼は、わかっていて木村さんの寝言に付き合っているんだから本当にいい人だな!

木:そうなんです。いい人なのに、好きになれなかった後悔が刺さる。

J:それは仕方ないよ。彼はもう新しい恋人がいるんだから大丈夫よ。

木:なんていうか、こんなにいい人を好きになれない自分を責めていたので、彼が新しい恋を見つけた事はすごくホッとしました。

J: それはそれで上から目線だぜ!

木:ガーン

J:(わかるけどね)。
いまの木村さんのなかに、元元彼に対する愛情はないと思うよ。
元元彼なんだから当たり前なんだけどさ。

木:あ…そうですか!
言って頂いて、安心しました。

J:うん。木村さんおもしろくて、ちょいちょい「自分で自分のことわかってるんだな」っていう発言をするんだけども、またすぐ迷っていく。
「自分のことわかっているんだな」って私が判断するのもおこがましいのですが。

木: 私は自分の状況が、少しは見えているんですね。

考えを詰めると面倒になってピースなあの頃(=元々彼)に戻ってしまう?

J:いま抱えている不安と、元々彼のことは完全に別の話だと思いますよ。
話を聞いていてそう思った。

・わからなくなると、考えを詰めるのが面倒になって、すべてがうまくいっていた「あの頃」に戻りたくなっているだけなのでは説。
・そして、「あの頃」のピースとして元々彼をハメようとしている説。

を、提案します!

木:その通りです。
あの頃ってどこにあるんだか、もうわからなくなって探しては散らかしていました。

J:ないよ。あの頃なんかもうどこにもないよ。
なにがないって、木村さん自身が変化してるから。
自分で自分の欲しいものを手に入れて、変わっていっているから取り戻せないよ。

木:ぎゃふんです。

J:木村さんが変わっているんだから(これは良いこと)、あの頃をそのまま取り戻すなんて、もう全然無理。
今は、自分の癖として「訳がわからなくなると、私はあの頃を取り戻したくなるんだな」と理解しておけば良い。
今彼と結婚したいのかどうかは、何を不安に思っているのかもう一度自分でじっくり整理して考える。
そして、その課題は二人で一緒になって努力していくことで解決するのかな?その努力、私はしたいのかな?ということを考えてみてはどうでしょう。

木:そうですね。2人で解決していく…。
一人で生活するのもやっとだけど、二人なら、できるかもしれません!

J:そうよ!今彼を失ったらつらいでしょ?

木:嫌です。

J:まぁたぶん別れても、その後普通に彼氏ができるタイプだと思いますが、今彼を失ったら嫌だなと思っているのであれば、一緒に不安を解消していきたいという方向に考えをシフトしていったらよいと思いました。

木:そうですね。みんな「次」がありますもんね。

J: そうそう。これで終わりじゃない。
なんにせよ、次は大抵あるんだよな。

木:どんなかたちでも、それはきっと「次」なんですね!なんだか軽くなりました。

失敗だと思うかどうかは自分次第

J:『わたプロ』の最後のまとめにも書きましたが、私は木村さんぐらいの年齢でお付き合いしていた男性にこっぴどく振られまして、もう死ぬかもと思いましたが、いまもバッチリ生きています!

木:しかもかっこいいです!
自分で自分をつくっている感じをとても尊敬しています。

J:そうでもないよ! でも、ありがとうございます!
木村さんが今彼と結婚したいという気持ちに嘘はないんでしょう。
ただ、最初の方に自分でも言ってたように「失敗したくない」んだと思います。

木:はい。
何が失敗なのかいまいちわからないのですが、漠然と恐れています。

J:そりゃみんなそうだよ。失敗したい人はいない。
失敗だと思うかどうかは自分次第ですよ。

木:今いちばん幸せだと思っている気持ちを大事にしたいです。
過去もあってこその今ですから。

J:そうそう。
たとえば今彼と別れたとしても、その後自分の人生を失敗だと思うかどうかは自分次第だし、今彼と結婚してつらいことがあっても、失敗したと思わず「過程過程」とふたりでがんばればいいし。
そんで離婚したら「離婚、正解!」ってなるようにまたがんばればいいし。
そういう意味では、元々彼と別れたことを「あれは正解だった」とすることが出来るのも、木村さんだけなんですよ。

木:それは本当にそうですね。

J:みんなが納得する正解はないんですよねー

木:でも、漠然としていた恐怖がはじけたかんじです。

J:それはよかった!
私、失敗に関してとても好きな話があるんです。

 英国ブランドの「キャス・キッドソン」ご存知ですか?
いまでは世界的に知られているけれども、もともとは英国の女性が、ほかの仕事と掛け持ちしながらひとりで小さく立ち上げたお店だったそうです。
ある時、自分の好きな生地で物を作るために、慣れない貿易をやってチェコスロバキアから生地を買ったんですって。
そのときに通訳ミスがあり、「1500メートルの布地ロール」を頼んだはずが、その布を全部使って作った「シングルサイズの布団カバーとピローケース」が大量に届いちゃった。

 返品もできず、かなり大きなお金を突っ込んでいたから、普通だったら大失敗ですよ。
でもキャスは機転を利かせて、布団カバーを切って、そこからクッションやエプロンやポーチやハンガーなどの小物をたくさん作ったんですって!
そしてそれが、期せずしてキャス・キッドソン初めてのコレクションになったと。
それがヴォーグなんかに取り上げられて、知名度があがったんですって。
どう考えても大失敗な話から、大成功を生みだしたんですよ。
このエピソードを知ってから、失敗からも大成功は生み出せると思っていれば、人生はあまり怖くないなと思うようになりました。

木:はい。ものづくりをしていて、同じような失敗たくさんありますが、そのときにも思い起こしたいです。

J:そうだね! だから、失敗は恐れずに。
得体の知れない不安とはうまく付き合って! そんなもの、人は解決してくれんからの。

木:はい、付き合っていきたいです。
自分とも彼とも。ありがとうございます。

J:いえいえ!
木村さんの抱えている不安は彼が原因じゃないよ。自分自身の不安だよ。
だから自分で解決できるよ!

木: 自分で解決できる、ってすごく自信になりますね。

J:できるできる。
では、これからも元々彼のことを思い出したら「ああ、私また漠然と不安になってるだけだな」と思って今彼との関係にフォーカスしてみてくださいませ!
それから、自分の欲しいものを自分で手に入れたことを忘れないでくださいね♪ ありがとうございました!

木:ありがとうございました。

相談を終えて

 木村さんの話を「なんて自分勝手な女なの!」と蔑むのは簡単。
しかし、誰でも多かれ少なかれ誰かに人生を丸投げしたくなる時はあると思います。

 誰かに支えてもらって、それを周りの人に無条件で祝福して貰ったり、認めて貰ったり、欲を言えば羨ましがられたりしたいと思うのは下衆いことですが、誰もが持ち合わせていて不思議ではない下衆さでもあると思います。
少なくとも、私はこの下衆さを持ち合わせている。

 一方で、お会いしたことはありませんが、木村さんはとても魅力的で、男性が手放したくないと思う魅力に満ちた女性なんだと思います。
その魅力に無自覚に甘えているところはあるのに、その魅力や自分で欲しいものを手に入れた事を自信につなげていないのが勿体無い!

 そして、この相談室でお話を伺った他の方と同様、整理してひとつずつ考えるのが苦手なようでした。
問題をごっちゃにしたまま、いっぺんに解決するのはなかなか難しい。というかほぼ無理。
慣れるまでは不安や悩みを紙にひとつずつ書きだすなどして整理するのをお勧めしたいです。

 さて、みなさんからたくさんの貴重なお話を聞かせて頂いたこの相談室も、今回で終了となります。
長い時は3時間かけ、スカイプチャットでじっくりとおひとりのお話を伺えたことは、私にとっても大変有意義でした。

 正直に胸の内をお話頂いたすべての相談者さんに、心から感謝いたします。
また、長文ながら毎度お付き合い下さった読者の皆さんにもお礼を申し上げます。
ありがとうございました。また、どこかで!

Text/ジェーン・スー

ライタープロフィール

ジェーン・スー
音楽プロデューサー、作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活動中。

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