• love
  • 2014.01.11

「誰か結婚して」という女は自分の問題点をまだ見ぬ他人に丸投げしている?・35歳会社員の悩み(後編)/ジェーン・スーの相談室

 ラジオやテレビ、コラムニストとして活躍し、ブログ「ジェーン・スーは日本人です。」で話題のジェーン・スーさんに AM読者の悩みをとことん聞いていただきました!

 過去の記事はコチラから。

前編のあらすじ

   9人目の相談者さんは、会社員の青山さんです。
老後・孤独死の不安と、結婚してないと欠陥があるのではと思われることから抜け出すために、結婚を望む青山さん。
しかし、だんだんと自分の性格面などのコンプレックスから、社会や周囲に認められたいという願望が強くなっているのではということに気づき始めます。
「相手のリスクを背負う結婚は嫌だということなのでは?」とジェーン・スーさんに尋ねられ、青山さんは自分自身に問い直すことに……。
(詳しくは、 【前編】未婚の自分が社会に認められていないように感じる

青山さん(35歳)の悩み
「結婚自体はしたいがどうしたらいいかさっぱりわからない」(後編)

ジェーン・スー 恋愛相談 男女の友情 元カレ 友達 復縁
by sundaykofax

ジェーン・スー(以下、J):少し防衛体制に入ってしまっているかもしれないので、一旦マインドをリセットして、エゲつないことでも正直に書いてみてください。
自分の今までの発言を読み返して見るといいかもです。

青山さん(以下、青):はい…、まず読み返してみます。

(しばらくして)

青:ええと、思ったことから少しずつ…。
好きだと思える人ならリスクは背負える、背負いたいと思います。

J:なるほど。遠距離もリスクだったわけですが、それはどうでしたか?

青:そうですね。その時の自分は背負えませんでした。
今思うと、とても傲慢だったと思います。今もですが。



J:うむうむ。私は未婚なので結婚する方法はわかりませんが、とかく傲慢なことに無自覚な恋愛はうまくいかないことが多いと思います。
傲慢なことに無自覚な人と、一生一緒にいたいと思う人は稀です。

青:そうですよね…。今の私は傲慢と自分を卑下する感じがいっしょくたになっています。

J:自分を卑下するから人に付加価値をつけてもらいたくなっているんですよ。
人に選ばれることで自分の価値を見出そうとするのは、会社でも学校でも普通に誰もが経験することだと思いますが、それによって人を選別したりするようになると、やはりうまくいきませんよね。

青:ほんとですね、そのとおりです。
自分はこれでいいんだって思えるようになりたいですが…。どうしても、褒められることでしか自分にOKだせないというか、人の目が気になり過ぎてしまうのです。

J:人からの賞賛を自分が欲しい形にプロデュースするのはかなり難しいですし、青山さんの人生をより輝かせるために人生を捧げてくれる人もなかなかいないと思います。

結婚するだけではコンプレックスは解消されない

J:始めの方におっしゃっていた、自分のコンプレックスってなんでしょうか?

青:外見・社会的地位・人と接する時のコミュニケーション能力などが、劣っているなと。まわりと比べてはいろんなことがコンプレックスに感じています。

J: 同じ質問をもう一度しますが、結婚するとそれらのコンプレックスは解消されると思いますか?

青:一時的に気持ちは楽になるかもしれませんが、解消はされないと思います。

J:周りと比べていろいろなことがコンプレックスとプレッシャーになるのであれば、結婚しても周りと比べてしまうことに上手にケリをつけないと、同じことの繰り返しですよねー。
「それでもいいんだよ」、「そのままでいいんだよ」ということを相手の男性が言い続けてくれれば少しは変わると思いますが、その保証はないわけですし。
それに、周りと比べていろいろなことがコンプレックスになってしまい、自己評価がぐらぐらしている人を好きになって、「結婚しよう」と言ってくる男性がいるかどうかという問題ですよ。

青:そんな人いないですね。結婚とか言う前に自分をどうにかしなければという話ですね。

他人を勝手にジャッジしては自分がそのルールに縛られている

J:周りと比べていろいろなことがコンプレックスになっている自己評価の低い男性を好きになることは青山さんはありそうですか?

青:ないです…。あり得ません。
本人が気付いてない魅力にあふれていればあるかもしれませんが…。
ただ、変な話ですが、堂々としすぎている人があまり好きではなくて、その反面教師というか反動で、なんか他人からの評価が絶対みたいになっているような気がします。

J:もうちょっと詳しくほどいてください。堂々としすぎている人が何で嫌いなのか?
それと「他人からの評価が絶対」が唐突過ぎて繋がりません。



青: ステレオタイプなイメージで申し訳ないんですが、私が出会った帰国子女の人とかが自分の意見を主張しすぎたり、自分に自信を持ちすぎたりしているのを見て、「ああいう風になりたくないなー、他人から見てもいいと思われなきゃダメじゃん」と思っていました。
その拒否反応から、自分がどう思うかよりまず他人の評価を優先したいという気持ちが強くなりました。

J: すごい自家発電!!!
自己主張し過ぎだと青山さんが判断した人たちは、人が自分をどう思うかあまり気にしていないので、青山さんがどう思っても相手にあまり影響を与えられないのですよ。
他人をジャッジしている青山さんが、そのルールで自分をジャッジしている。
グルグルひとりで!!!

「他人から見てもいいと思われなきゃダメじゃん!」は青山さんの価値観。
それで、その価値観で自分の手足を縛っている。
他人のジャッジなんて風向きひとつで変わる不安定なものなので、いつまで経っても自分にOKが出せないというわけです。

青:図星すぎて、ぐうの音も…

J:ぐぅ…(私が代わりに出しておきました)。

青:ありがとうございます(笑)。

J:それにしても時間の無駄!!! 人を裁いてその返す刀で自分が流血!

青:ほんとだ!これって、どう変えればいいんでしょう…

自分の問題点をまだ見ぬ他人に丸投げしようとしている!

J:ええっとですね。ここまでのお話を整理しますね。
青山さんは最初に結婚したいと言いました。
会社の先輩や男友達の評価の話は出ましたが、青山さんが誰かと家族を作りたいとか、一人でいるのが寂しいとか、そういう話は一切出てきませんでした。
実際には思っていたのかもしれませんが、少なくとも私は聞いていません。

 そして、結婚相手の理想は「尊敬できて、青山さんが働く事を認めてくれる人」と言いましたが、実際に青山さんが欲しているのは、他人からのOKサインでした。
一生一緒にいる相手としてOKを出されれば、自分の評価がある程度安定すると思っているからだと思います。

 しかし、青山さん自身も他人を厳しくジャッジしていて、現に「仕事が充実している未婚のままの女性や自己主張の強い人」を快く思っていません。
そして、その基準で自分をジャッジしては自分で傷ついている。
そんな自分をまだ見ぬ他人に丸投げしようとしているわけです。
ここまでOKでしょうか?

青:一行一行が痛いです…。 誰かと家族を作りたいとか、一人でいるのが寂しいという気持ちはもちろんあります。
でも、「かっこ悪い自分」という所から話を始めたら、そこから止まらなくなってしまいました。

J:「一人でいるのが寂しい」という気持ちを、かっこ悪いと思っているんじゃないのかい?

青:それはないです。一人でいるのが寂しいです。いきなり孤独死とか、老後とか言うからいけなかったですね。

J:いえいえ。いけないことはないけれど、孤独死のことだって、相手が先に死んだら孤独死の可能性はあるわけだし、老後も相手がさきに倒れる可能性もあるわけですよ。そのあたりのことはあまり青山さんの頭になかったような気がします。

青:そうですね。チャーミーグリーンな感じしか思い浮かべていませんでした。古いですね。

J:古いですね!(笑)。
ひとまず35歳まで仕事を続けて頑張ってきたわけですし、そういう自分を認めてあげないと、他人から良いジャッジをされたとしても不安が残ると思いますよ。
そして、自分にOKを出させようとしても他人はコントロールできないんです。
仮にコントロールできる場合も、不健康な形になってしまう。
もうひとつ気を付けなければいけないのは、自己評価が低い人は他人にコントロールされやすいということです。
青山さんの場合はコントロールししまうことよりも、されてしまう方が心配かもしれませんね。

青: そうですね、自分を認めたいです。コントロールされやすいかどうかはわかりませんが、 他人の言うこととか何でもすぐ信じてしまいがちです。

J:それをコントロールされやすいというのですよ!!!(他人の言うことを信じる傾向ね)。
自分を認めて、人を認めて、それから恋愛して、ご縁があったら結婚。その方がスムーズな気がしますよ。
それでも、どうしても結婚したいなら、やはり「どうしても結婚がしたい」と思っている人と結婚する。利害の一致という意味で。

青:第一段階の、「自分を認める」がもう難しいですね。 がんばるしかないですが。

J:自分を認められようになれば、状況の方が勝手に変わってくると思いますよ。

もしかしたら、舐められているというのも青山さんの主観かもしれませんし。

自分を認めるには、一気に解消することを求めないこと

青:スーさんは、どうやって自分を認めてこられたのでしょうか?

J:仕方ねぇな、と思い始めてからですかねー。
「もう、ここからどうにかなるわけでもないしなー」と、諦めが先だったかもしれません。

青:そうなんですか?!

J: はい。

青:そうか…。自分を認めながら諦めるということでしょうか。

J:諦める方が先。諦める、というのは、「こいつはダメだ」って見限ることじゃないですよ。
自分のコンプレックスが一気に解消されるようなことを求めない、ということです。 ほら、お金がない人が儲かる詐欺にあうとかさ。
一気に解消されることを夢見ているとそれにつけ込む人が寄ってくるし。

青:私は結婚でコンプレックスを一気に解消しようと思っていたんですね。

J:そういう風に見えました。だから、100万払ったら結婚相手が見つかるって言われたら払いそうだなと。

青:払うかも…(笑)。

J:結婚相談所に入会するよりも、自分で自分を認める方に意識を向けたほうが、リスクは低いと思います。
自分で自分を認められるようになってから登録してもいいし!

青:そうですね(笑)。昔のほうが、自分で自分を認められていたような気がします。
未婚という新しいコンプレックスがあらわれて、どんどんそのまわりも蝕まれていったような。

J: 未婚がコンプレックスになってしまったのは、もちろん周囲からの圧力もあったと思いますが、自分でそうしてしまったところもあると思いますよ。
未婚の人を「幸せではなさそう」と思うって最初に書いていましたし、自分で自分の首を絞めている。

青:そうか…、そうですね。

評価を他人に預けてしまっては幸せになるのを待つだけ

J:結婚して自己評価が安定する保証はないわけですから。それよりも自己評価を上げることを考えた方が建設的かと思います。
周囲からの圧力はありますが、自分のことなので、他者の判断に委ねるよりいいですよね。
今は、自分のコンプレックスを結婚で解消することを考えているから、人を人とも思わない発想がどんどん出てきてしまうのではないかと思いました。

青:スーさんに相談して、なんて自分って嫌なやつなんだと思いました。

J:あはははは。でも考え方なんて癖だから、癖を直せばいいんですよ。 「あーまたこういう風に考えている。修正修正」と。
あまり深刻に捉えずに「ただの癖」だと思って。

青:治したいです。まさに今「自分を認めるには、目に見える仕事の実績や評価を手に入れなければ」とか思いそうになっていました。

J:「結婚したいのにいい人がいなーい!」と言ってる女(過去の自分も含め)は、たいてい自分を棚に上げて他人で自分の欠損部分を補完しようとしてることに「愛」とかそういう枕詞をくっつけているだけなので(私見)、だいたいが嫌な奴ですよ!
青山さんだけじゃない!
そして、また評価を他人に預けようとしているwww

青:そうなんです!もう! だめだこりゃ。

J:癖だから、すぐには治らんよ。根気よくね。
ただ自分の状況を憂いだり、他者からの評価にびくついたりするのは基本的には時間の無駄なので、適当に切り上げましょう。
やるなとは言わないけれど。

青:はい。根気よく、ですね。

J:そうそう。他人に何を言われても「でも私の価値には関係ない話」と思うところから始めましょうよ。

青:むずかしい!やります。

J:やれ!

青: はい!

J: www

青:胃がいたくなってきた…(笑)

J: なんで!? 自分の評価を他人に委ねている方がずっと胃が痛いよ!!!
考えてみて!!!他人の気分で自分の価値が変わっちゃうんだよ!?
胃が痛いよそっちの方が!!!

青:今までずっとそうやって生きてきたので…それに慣れすぎました。

J:だってそんな!株かよ!
今日の話は「自分の価値を他人に委ねない」その一点だけですよ。自分の価値を高くつけてもらうための結婚は難しいと思うから。

未来予想図に無理があったのかもと思って、気楽に軌道修正すればいい

青:問題はそこだったんですね。

J:そう思います。だって結婚したそうじゃないもん、ぜんぜん。

青:友だちにもそう言われました。

J:『わたプロ』読みなおしてください…。 まぁ私は結婚してないので、結婚の仕方はわかりませんけれども。
今の仕事が好きだって言えることから、それを続けていられる自分を認めたら人生はもっと安定して楽しくなるということは分かりますから、そちらをオススメします。恋愛はいつでもできますよ。

青:ありがとうございます。
とりあえず今、自分を認められる手掛かりとなるのは仕事しかないので、それを頑張ります。

J:仕事しかない!!!じゃなくて、仕事だけじゃなくて他もあるかもと思えるようになるといいですね。リラーックス。

青:そうですね。すぐ極端にふれがちなので、気をつけます。
ひとつのことしかできなくて…。

J:うん、極端にふれてしまうのは気をつけたほうがいいですね。
ひとつのことしかできないというのは、自分で決めているだけだよ。

青:そうか…、けっこう自分はこういう人間なんだって思いこんでいることが多いのかもしれません。

J:自分で引いた枠の中に自分を容れている可能性も多大にあると思われますよ。

自己評価を変えるのを2014年の目標にしてみてはどうでしょうか。
そのためにいろいろやってみる。
例えば走れない人が走れるようになったら自己評価は上がるし、仕事だけじゃなくていろいろあると思いますよ。
35歳まで独身で働いているなんて、25歳のときは思ってなかったでしょうから予想外のことやって楽しんでください!

青:本当に、予想外のことばかりなのに「こんなことありえない」とか、なぜか思ってしまうのですよね。

J:軌道修正じゃなくて、そもそもの未来予想図に無理があったのかもしれませんし、まぁその辺はゆるく。

青:なるようにしかならないと前向きに思えるように頑張ります。

J:そうですね、癖を治すほうにに努力をしてみたらいいと思います。
がんばりすぎないで適当に新しいことやってみてください!

青:はい、本当にありがとうございました!

J:こちらこそ!ありがとうございました。

相談を終えて

 青山さんの気持ち、痛いほど良くわかります。わかる!!! わかる!!! といちいち頷きながらも、その先になにもなかったことを知っている先達の私としては、警告めいたことを言いたくなってしまい…。
少々アタリがキツかったかもしれません。青山さんごめんなさい! 
それにしても、他者をぶった切ってるつもりの刀で自分が血まみれになっているということは、よくある話ですね。
人にやさしくすれば自分にやさしくなれるのか、自分にやさしくなれれば人にもやさしくなれるのか、どちらが先かはその人次第だと思いますが、どちらにせよ、厳しいものさしを持ちながら「誰か私にマルをつけてOKにしろ!」と言う願いが叶えられることはなかなかないようです。
私もそれをやっていた時期が結構長くありました。そんな利己的な自分に、ある日ふと気がつくと反吐が出そうになりますが、まぁ仕方ないなーと一旦諦めてからちょっとずつ変えていってもいいと思います。
「自認はするけど、自責はしない」をお勧めします。

Text/ジェーン・スー

ライタープロフィール

ジェーン・スー
音楽プロデューサー、作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活動中。

今月の特集

AMのこぼれ話

アンケート

読者アンケート

AMではより楽しく役に立つサイトを目指すため、読者アンケートを実施しております。 本アンケートにご協力お願いします。

アンケートはこちら