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  • 2013.11.29

35歳になったときに「あいつが一番理解してくれた」と思い返すことは多い・27歳イラストレーター(後編)/ジェーン・スーの相談室

 ラジオやテレビ、コラムニストとして活躍し、ブログ「ジェーン・スーは日本人です。」で話題のジェーン・スーさんに AM読者の悩みをとことん聞いていただきました!

 過去の記事はコチラから。

前編のあらすじ

 元カレが別れてもなお、「かわいいかわいい」と恋愛対象としてみてくることに悩んでいた、相談者の田中さん。
しかし、相談が進むにつれて、彼と完全に連絡を絶つなんて考えられないほど大切な存在だったと気づきます。そして、そんな大切な人に今までなんて失礼なことをしていたのだと後悔します。
落ち込む中、ジェーン・スーさんに「次の恋愛で気をつければいい」と言われ、心にひっかかるものが…。 (詳しくは、 【前編】元カレと友達に戻りたい!男女の友情成立する?

田中さん(27歳・イラストレーター)の悩み(後編) 「自分から別れを切り出したけど、相手を失うのは想像がつかない」

ジェーン・スー 恋愛相談 元カレ 友達に戻る 復縁
by SashaW

田中さん(以下、田): 次の恋愛…

ジェーン・スー(以下、J): 彼が連絡を取り続けてくれていなかったら、本来ならもう彼を失っているわけですよ、田中さん。だから、次の恋愛です。
自分で終わらせた恋愛ですよ、お嬢さん!

田: 終わっているんですよね。

J: そうよ。というか、田中さんが終わらせたのよ。

田: その通りでございます…。まだ全然好きやないかっていうのに動揺しています。

J: ぎゃははははは!

田: でも終わったから!終わらせたから!これから先も絶対彼には何言っても響けへんから!

J: そうなんですよ。
好き、ということは「こちらの心が折れて弱らない限り相手をそのまま受け容れる」ってことだもんね。難しいよね。好きなのか、執着で手離したくないのか。

田: 執着も少なからずあると思います。

J: 好き、はどうだろう?

田: まだ好きですね!困ったことに。

J: 何で好きなの?何度でも聞くよ!!!

田: 可愛らしいんです。

誰だって、押し付けられた役を演じるのは嫌

J: でも何を言っても響かないよ?ぜんぜん響かないよ?

田: 響きません…。3年間1回も響きませんでした…。こりゃ手におえんと手放しました。

J: でもまだ好きだと。サー困ったね!思い通りにならんよ!それは今後誰と付き合っても!

田: まじすか!!!!!

J: 今までの彼氏だってそうだったでしょー。

田: イ…イェア…。

J: あのね、『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』っていう本にも書いたんだけど、自分主演、自分監督、自分演出の舞台に立ってくれる人はいないのよ。あっちにはあっちの台本と舞台があるのよ。

田: その通りです…私だって、押し付けられた役を演じるのは嫌です。
それを人にしていた、むしろ相手に良い事やとまで思い込んで…

J: やってたやってた。私もやってた。なんなら気をつけてないとまだやる。

田: ジェーンさん…!気をつけます!!!

J: お互い気をつけようぜ!
響かないけど手放せないのは、たぶん田中さんを否定しないからって言うのもあると思うんですよ。でも、響いてないから否定しないのかもしれないし、考えれば考えるほどぐるぐるしちゃうけど。
それでも自分を否定しない人がかけがえのない人として大切ならば、相手を否定しないで付き合うしかないッス。それができないなら、ちゃんと別れた方がいいと思う。

田: どっちかですね。決めなあかん。

二人とも相手がいなくなることに生活にリアリティをもてていない!

J: ていうか、まだ好きなんでしょ?

田: 別れます!!!完全に!!!!!思い返すほど申し訳ないです。

J: マジかよ!!!
じゃあもう着信拒否にしなよ! 着拒にして、彼のいない生活に自分が慣れないと。
まずは自分が痛みを伴わないと!まだ田中さんも別れられてないよ。

田: 慣れます!寂しくても弱っていても生理前でも連絡しません!
そんで、下に見ない、人には人の舞台があるって心に刻んで次の恋を探します。

J: これがね、『別れたことはお互い理解しているけど、なかなかそうはすっきりきっぱり別れられない、まだちょっとずつ連絡を取り合ってしまう』という相談だったら、「そうですよね、少しずつでいいから努力しましょうね」と言う話になるんだけども。

田中さんの場合は、田中さんも彼もまだ全然別れてない。
特に田中さんは自分がOKすればすぐ元に戻れるって思ってるフシがあって、彼もたぶん「またかー」って思っている。
お互い、相手がいなくなるっていうことに全然リアリティをもててない!

田: 全然ないですね…当然いるもんや、と思っていました。
やから友達とかいう言い訳していました。

J: ばかめ!!!ばかばかばか!!!

田: ヒーーーー

J: ちゃんと、失うということをもう一度考えてシミュレーションして!
それで、どうしてもこのままではいけないと思うなら、ちゃんと別れる。
相手がどうしても必要ならば、響かないことも覚悟のうえで、大阪に行ってジャンピング土下座して、最後の一回と決めてよりを戻す。

田: …はい。いまこの間に少し考えただけで、これから完全にいてない生活かぁと、悲しくて涙が…。馬鹿!!!

J: ばか!!!ばかよ!!!会ったこともない人にこんだけバカ!って言ったの私も初めてよ!

田: 小学校ぶりに怒られました…

J: でも、関西の人は「バカ」っていうと傷つくって聞いたから後悔しはじめた。

田: いや、全然大丈夫ですよ、優しすぎますよ!

J: よかったー!ごめんねーアハハ!
ちょっと話が転がりすぎていますけれども、どうするの?別れるの?ヨリを戻すの?

田: 別れます。響かないのも辛いですし、彼に申し訳ない。
下に見てたのもバレているでしょうし、もっと可愛らしい素直な子と付き合ってもらいたい。

J: なんで上から目線なんだよ!!!
別れた後の彼の人生は、元カノには関係のない彼の人生だぜ。

田: 気をつけてたはずなのに、なぜか上から目線に…

J: もう、田中さんと彼の人生は関係ないんだよー

田: ほんまや。でも、アホの田中はそう思ってしまいます。

J: 上から目線病…

田: あかんあかん!

J: 下に見てたのもバレてて、それでもかわいいかわいいって言ってくれた人を手放すのだよ、田中くん。

田: だから、完全に別れた方がいい気がします。

J: 甘えを断ち切るのね。
そこまで言うなら、着拒のまえに、もう一度彼から連絡があったときにちゃんと話した方がいいね。
たとえ響かなくても思っていることを伝えて、ちゃんと別れたいから連絡しないでほしい、その気持ちを尊重してほしいと。

田: はい…。あーあ、もっと賢くなりたいです。

J: 大丈夫、これからこれから。人を失うということはそういうことであります。あと友達には、なれないよ。

田: なれる訳ないですね…。だって好きやもん!

J: でも別れるんだ。

田: 自分で招いた種なので。

「あいつが一番わかってくれてたな…」と、35歳ぐらいになって思い返す

J: 好きだけど響かないのがつらいから、別れるのは何で? 好きだけど別れる理由がまだ釈然としないよー。

田: 彼には一生響かないことに付き合った3年+この相談で気づいたからですね。
ずっと「もしかしたらもしかしたら」、って思ってしまっていました。この先、グダグダ迷惑かけ続けるならやめよう!と…。

J: 最後に蒸し返しますけども、彼に響かなかったことは、田中さんが押し付けたことではなかったですか?

田: そ、そうです…

J: あのね…まず、迷惑かどうかは彼が決めることです。 田中さんが押し付けたことが響かなかったなら、それは彼の人生だから、響かなくても仕方ないです。
田中さん、私あんまりこういうことは言わないようにしているんですけど、土下座してヨリ戻した方がいいよ。

田: えええええ

J: いま相談を最初から読み直していたんですけどね、彼は一貫してます。
彼は田中さんが好きです。で、自分のペースで生きています。たぶん、人に迷惑をかけるような人生ではないでしょう。
田中さんは彼に愛されていながら、彼に変わってほしいと思っている。
口約束を簡単にしてしまう彼は問題っちゃ問題ですが、彼は田中さんの数々の失礼をものともせず、どっしり構えているわけですよ。
そういう男はなかなかいないと思いますよ。
それでもどうしても別れたいなら止めないけど、あとから「あいつが一番わかってくれてたな…」ってなるかもなと思いました。35歳ぐらいになって思い返す。

田: うわああああああああ

J: 彼に対して生まれていた不安は「愛されているかどうか、受け止められているかどうか」ではなく、「思い通りにならないから」じゃないかって思いました。

田: はい…

J: 気が合わないとか価値観が合わないとか、失礼なことをするとか、ほかに女がいるとか、そういうことじゃないでしょ?

田: 全然違います。

J: 彼が物足りない?

田: 物足りています。

J: じゃあ、相手をコントロールしようとするのをやめれば、うまくいくのではないかしらね。
今までのやり取りをじっくり読み返してみてください。

(しばらく経って)

田: 私…嫌な奴でした…。自分本位なワガママ女。色々難癖つけて、別れきらないのは結局まだ好きやからです。

J: そうだね、彼の生き方にいろいろ難癖つけるのはなんでだろ?

田: 好きっていう気持ちだけで、ずっと一緒にいれるんかなって思って、別れている理由を無理矢理ひねり出していた気がします。
現実問題二人とも大人やけどフワフワしてて、何とかなるさで何とかなるのか?って、勝手にイライラして。
思い通りにならん相手に「何で好きならできひんの」って押し付けてイライラの八つ当たりしてこれはダメですね。完全にダメですね…。

J: いやいやw そう落ち込まないで!みんなそうだよ。気づいている人と気づいていない人がいるだけで。
田中さんはフリーのイラストレーターで東京にでてきて、まだまだ軌道に乗ったとはいえてない状態だと思うので。
東京での人間関係も作りたい、新しい自分の生活も頑張らないといけない。
それなのに、いままでと変わらない、変わる気もない彼氏と一緒にいていいのかな?とか、そういう気持ちもあったんじゃないかと思うんですよ。

田: はい。

J: でも、自分が不安なところ(不安定な生活とか)を、相手に埋めて貰おうとしてもムリなんだよなー。私もいっぱい失敗したけど。
あと、相手ができないことをやらせて愛を確かめようとしても、それは失敗に終わることが多い。
ちゃんと就職したりとか、アニメーターとして作品を世に出して名前を出すとか、そういうことは田中さんの不安の裏返しだと思うのです。それを彼に投影してたんじゃないかと。

田: ほんまにそうです。彼の人生やのに。

J: うん、それで勝手に下に見てた。
彼はそれもわかってたのかもしれんなー
それでも、曜日感覚のない田中さんに別れた後もメールで曜日を教えてくれるなんて、彼は田中さんの人生を邪魔しないで、ちゃんと応援していたんですね!いい人じゃーん。
結婚を焦ってないなら、好きだけでいけるとこまで行ってもいいと思いますよ。個人的には。

田: こんな感じになると思っていなかったので、今、猛烈に頭の中が…ぐるぐると…。

J: ゆっくり考えて、自分がどうしたいか決めればいいと思いますよ。

田: 土下座してこようかな…意味分からんって言われるでしょうが。

J: でしょうね。受け容れてもらえないかもしれないしね。わからんよね。ただ、今度やり直すなら、いままでのやり方はやめた方がいいぜ!
ヤツの人生はヤツの人生だ。それをわかってやり直せるといいかもね。
ゆっくり考えて、また連絡があったときのメールや声の手触りというか、そういうのを感じた時の直感を信じていいと思います。
やっぱりないなと思ったら、連絡をしてこないでほしい、別れたいと言う気持ちを尊重してほしいと伝えればいいし。やっぱり大事だなと思ったら、土下座。

田: ジャンピングしつつの。

J: かなりフライハイの。

田: あははっ

J: ゆっくり考えてね~ 焦らず焦らず。
自分の不安は自分で解決しろよ!自分でしか解決できんぞ!
誰もが通る道だと思うので、田中さんは自分を責め過ぎないでください。人生はこれからだぜ!

田: はい、これからですね!

J: はい!ではおつかれさまでしたー

田: ありがとうございました。

相談を終えて

 田中さんは大阪から東京に出てきてまだ半年。
煮え切らない彼との遠距離恋愛を断ち切って前に進もうとしていましたが、田中さんが彼との恋愛を「煮え切らない」と思ってしまったのは、彼を尊重していなかったからだと思います。

 話し始めてしばらくして、彼のことをまったく嫌悪していないことや、状況から考えて別れなければならない理由があるわけでもないのが分かったので、最終的には復縁も含めた提案をしました。

 彼を好きになった理由と、「将来、彼にはこうなって欲しい」という願望に大きな乖離があることに無自覚な恋愛をしている場合は、相手がただただ不誠実に見えてしまうことがあるので、要注意です。

 それは不誠実ではなくて、こちらが無理難題を押し付けているだけではないでしょうか。
自分が彼を好きになった理由させ否定しかねないですし、なによりも相手の人格を傷つけるのでやめておいた方が無難です。

 それにしても田中さんの元彼、実は田中さんよりずっと大局を見ているような気がしました。

Text/ジェーン・スー

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ライタープロフィール

ジェーン・スー
音楽プロデューサー、作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活動中。

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