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  • 2013.10.23

好きな人には振られ、好かれた人とも上手くいかない・33歳編集者(1)/ジェーン・スーの相談室

ラジオやテレビ、コラムニストとして活躍し、ブログ「ジェーン・スーは日本人です。」で話題のジェーン・スーさんに AM読者の悩みをとことん聞いていただきました!

過去の記事はコチラから。

はじめに

 スカイプでの相談のやりとりをお送りしてきた本連載ですが、今回は初の対面相談。
背がすらっと高く、スポーツ万能そうなスタイルの、ボーイッシュで明るく朗らかな第一印象の真由美さんが、見た目からは想像できないような悩みを打ち明け始めました。

真由美さん(33歳・編集者)の悩み
「好きな人には振られるし、好きになられた相手とは付き合ってもうまくいかない」

ジェーン・スー 相談室 スカイプ チャット アラサー 悩み 恋ができない 彼氏いない
by michaelmelrose.

真由美さん(以下、真):前の彼氏と別れてから2年間彼がいないんです。前の彼と別れた直後は「しばらく恋愛はいいや」という気持ちだったんですが、やっと恋愛したいと思えるようになりました。

ジェーン・スー(以下、J):「やっと」っていうことはそれまで何か思えない理由があったのでしょうか?

真:一度人と付き合うと、自分の仕事や趣味が後回しになってしまうんです。
でも一度付き合うと長いので、別れて振り返ってみると、正直「何もなかったな」、「付き合った3年間は不毛な時間だったな」と。

J:ええーーーー!!そこまで思っちゃうの! 彼のことは好きだったんですか?

真:私、自分が好きになった人と一度も付き合ったことがないんです。
いつも相手から告白してくれて「私のことを好きになるなんて珍しい人だな、ありがたいな」と思って受け入れちゃうんです。
そして付き合うと、「相手のことをしっかり受け入れて、真面目にきちんと恋愛しよう」とするんですね。
そうやって、私が考える「恋愛はこうじゃなきゃいけない」というのをちゃんとやっていくと、感覚として恋愛より仕事に近いというか、こなしていくことに満足していたのかなと思ったりはします。

J:ものすごい一人相撲ですね。相手のこと好きじゃないじゃん!

真:そうやって上手く恋愛をやれている自分は好きだったかも知れない。

心が閉じている人が気になるのは救世主になりたいから?

J:今までに自分が好きになった人と、好きになられる人のタイプは同じですか?

真:全く違います!好きになるタイプは、同性から好かれる明るい人。好きになってくれる人は暗い人。

J:暗い人って具体的にどんな人?

真:友達が少ない、ひねくれている、簡単に人のことを友達と言わない。
そういう閉じている人のことを知ろうと思って仲良くしているうちに、気がつくと好かれてしまうんです。

J:でも、最初にその人のテリトリーに入っていってしまうのは真由美さんのほうなんですよね。
そういう人たちは「自分の中に入ってこないでくれ」と塀を高くたてているので、それを乗り越えて入ってきてくれる人にすごく価値を感じるんだと思うんですよ。

真:(笑)。そうですよね、わざわざね。

J:そうですよ。鍵までかけているのに、ガチャガチャって入ってくるんですもん。
心を閉ざしている人は「人と絶対に関わりたくない」と固く決意しているというよりは、とてもナイーブで繊細なゆえに、過去に人間関係で自分の期待を裏切られ傷ついて、それで人間関係がわずらわしくなって人と距離を置いているんだと思うんですね。
そうやって心に鍵をかけたのは自分なのに、実は寂しかったりもするからガチャガチャ鍵を開けようとする人がいると「この人は分かってくれるかも」って真由美さんのこと好きになるんだと思います。
でも、そういう人のことは実は好きじゃない?

真:好きじゃないですね。
今も興味はありますが、付き合うと相手がすべてを共有していないとダメになってきて、苦しくなるので。そこから別れるまでもすごく時間がかかるので、もう繰り返したくないですね。

J:じゃあ、今まで「恋愛したってまた前と繰り返しになる」と思っていた気持ちが、また恋愛したいという気になったのは、どんな心境の変化からなんですか?

真:二人きりでしか会えない人じゃなくて、自分の家族と、友達と一緒に会ってくれる人って、素敵だなって思えるようになって。
そういう明るい人に今まで振られてきたけど、付き合えればいいんだ、だから、来た人を変に受け入れたり「変わった人が好き」っていう発想はやめようと。

J:「変わった人を受け入れてきた」というか、真由美さんが自分から突っ込んでるんだと思うんですけどね。
閉じている人たちは一番傷つきやすくて臆病な人たちだから、何もしないのに自分から来ることなんてほとんどないと思うので。
ちょっと変わっている人とか、「この人もう少しこうやってやったら、もっと楽しそうなのにな」と突っ込んでいくというか。そういうのをメサイアコンプレックスというんだそうです。私も心理学は詳しくないのですが。

真:メサイアコンプレックス?

J:いわゆる救世主。閉じている人たちにとっての救世主になりたくなるんですね。
私も若いときはやっていたんですけど、「彼らと社会の架け橋になるんだ!」なんて、そこに自分の価値観を見出すんですよね。
でも、それって逆に考えると自分に自信がないだけなんですよね。だから人に必要とされることで自尊心が満たされるというか。共依存。

真:必要とされていると感じたいというのはあると思います。

J:でも必要とされることにおなかいっぱいになったりすると、付き合った期間が無駄だったと思っちゃう。

人からの評価がほしいけど、評価されても素直に喜べない

J:自分に自信がないと仮定すると、何に一番自信がないかというのは心当たりありますか? まあ、自分に自信満々な人間なんてなかなかいないとは思いますが。

真:自己評価ができない。
そういう意味では点数がつけられるものでは納得するけど、そうでないものにも誰かの評価が必要だと思ってしまう。ずっと気になっていますね、評価は。

J:子供の頃から?

真:…どうなんだろう。でも人の目なんて関係ないって思ったことは一度もないですね。

J:人の目が気になるのは普通だと思いますよ。
まあね、人の目なんて気にしないという人たちは、協調性が乏しかったりしてアレはアレで迷惑な存在なのでね、ちょっとは周りを気にしろ!って思いますよね。

真:(笑)。

J:コンプレックスって何かありますか?言えることがあれば。

真:そうですね。体型とかもそうだし、顔も嫌いだし…もう全部嫌い。

J:あんた何言ってんだ!(笑)。そうか、そんなに嫌い?

真:だから、努力しようと思っています。

ものすごい短い因果応報を繰り返している

J:自分の好きなところってありますか?

真:私はネガティブでい続けることがすごく大事だと思っているんです。
「まだまだできない」、「こんなの全然ダメだ」、「人から褒められても調子に乗っちゃダメだ」とか、常に思っています。「絶対何か罠があるはずだ」と思って生きているので。

J:えーー!なんで!?

真:調子に乗っちゃいけないって、一日に何度も思いますね。
何かが上手く進んでも「絶対こんなに上手くいくわけない、喜んで調子にのったら、同じだけのダメージがあるはずだ」って思って、生きてる。

J:最初からそんなにかまえなくても、本当にダメージ受けたときにギャー!って言えばいいんじゃないですか?

真:ギャーともいうんけど、「やっぱりそうだったんだ」って思う。この前、喜んじゃったからだって。

J:すごいショートスパンの因果応報みたいななにかを繰り返しているんですね。というか、成功することが罰を呼ぶっていう意識が強いんだな。

真:でもそのおかげで、凹みすぎて立ち直れないってこともないですね。原因を見つけて、ある意味納得するところもあります。

J:これは私の勝手な考えなんですが。
人に過剰に期待するのはよくないと思うんですよ、自己都合が多いから。
でも、それと同じくらい、自分を見限ったり、見下したりすることはよくない。
ある意味失礼だし、自分を見限っている人に、ちゃんとコミットしようという人はなかなか出てこないと思うんです。
真由美さんは「ほら、またダメだった」っていうのをずっと待ってるわけじゃないですか。それは80年ある人生が勿体ないと思うんですよね。
いろんなことを成し遂げてきても、「必ずうまくいかないに違いない」って思っていると、その気持ちに引っ張られちゃうと思うんだよね。それで実際に失敗すると自己評価がどんどん低くなるでしょ。
自己評価が低いから、人からの評価がほしいという希望は真由美さんのなかに強くあるわけじゃないですか。
でも、人から評価されても「いつかこれが失敗を呼ぶ」と基本的に信用できないでいると…

真:はい…ヤバそうですね。

J:それで、人間関係やコミュニケーションが苦手で穴蔵にいる人のところへ寄っていって、その人がギュッと手をつかんでくれると、自分は必要とされていると認識してしまうようになる。
必要とされるために、穴蔵の人に自分の時間を費やす。
でも本当に求めている物はそういうことではないし、束縛や相手の期待に応え続けるのも大変だから、気がついたときには時間の無駄と思ってしまう。
最初恋愛の話でしたけど、全部たどっていくと、自己評価が低いことがすべて招いているような気がするんですけど、そのあたりいかがですか?

真:……。自分についてそんなに考えたことなかった。怖い、というか。

J:何が怖いですか?

真:自分について考えるときに、よく人からどう見られているかとかから考えたりするじゃないですか? 自分がどう思われているんだろう、って考えるのが怖いんですよね。

J:なんでそんなに怖いんだろう。

真:人から嫌われることが怖くなったのは…。
昔から学級委員とかやるのが好きで、そうするとクラスメイトからすごい嫌われたりしたからだと思う。
クラスのみんなとうまくいかなくなったから、先生にすごい好かれようとしたりして…。
それから周りからどう思われているんだろうと考えることがすごく怖くなりましたね。
でも転校してからは、反動で真逆になって、中高と、おちゃらけキャラで毎日先生に怒られてました。

J:それもすごい話だけどね。

自分主演、自分監督の映画を撮るのはムリ!

真:好きな男子に好かれないっていうのも、自信を失っていく原因だったのかもしれないですね。その20年好きだった人にふられたのもそうですね。

J:20年ってなんなの!?寝かせすぎだろ!(笑)。
真由美さんから告白されて、相手はびっくりしてたでしょ?

真:してたと思いますね。手紙だったので、びっくりした瞬間は見てないんですけど。

J:まあ、でも自分の思い通りにならないのはしょうがないですからね。それが普通だから。

真:普通…それが普通なんですかね。みんなどうやって付き合ってるんだろう。

J:たまたま、タイミングがあったり、一緒にいて楽しいから付き合うんだと思うんですけど。
自分の思いどおりにならないのは当たり前で、主演:自分、脚本:自分、構成:自分、演出:自分の映画を撮るのは無理なんですよ。
なぜなら、みんなそれぞれ自分の映画を撮っているわけですから。
「はい!ここで歩いてきてー!」とか言っても、いやいや、こっちにはこっちの映画があるし、ってなるわけで。誰も自分の演出どおりには動いてくれないわけですよ。
だから、自分の思い通りにならないのがデフォルト。

真:頭では分かるんですけど…。仕事は応えてくれる感じがあるし、評価もわかりやすい。だから、楽なほう楽なほうに行こうとすると、どうしても仕事のほうがいいやって。

J:自分に対して、女としての自信がとにかくないような感じがしますね。

真:ないですね。

【つづく】
次回は、「女性としての自信を取り戻すには?」をお送りします。

Text/ジェーン・スー

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ライタープロフィール

ジェーン・スー
音楽プロデューサー、作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活動中。

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