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  • 2013.07.20

ジェーン・スーのチャット相談室/仕事を辞めたくて仕方がないけど辞められない(1)

新卒で入社したら三年間は同じ職場にいるべき、という論はまかり通っていますが、そうはいっても辞めて転職したい気持ちになることは免れません。そこでスーさんが行ったのは、なぜ仕事を辞めたいのか?という気持ちの棚卸しです。話すことで見えてきた、辞めたい以外の気持ちとは?

 ラジオやテレビ、コラムニストとして活躍し、ブログ「ジェーン・スーは日本人です。」で話題のジェーン・スーさんに AM読者の悩みをとことん聞いていただきました!
2人目の相談者さんは、入社2年目だけど仕事を辞めたくてしかたがないという悩みを持つ、みかんさん(23歳、会社員)です。
(1人目の相談者さんの記事もチェック→123

みかんさん(23歳、会社員)の悩み
「仕事へのモチベーションが維持できず、辞めたくて仕方ない」

<b>ジェーン・スー:</b> 処女 悩み 年齢=彼氏いない歴 喪女
by Jennifer Kumar

ジェーン・スー:みかんさん、こんばんは!

みかんさん:こんばんは、どうぞよろしくお願いします!

ジェーン・スー:よろしくおねがいします。

みかんさん:では、さっそく…相談内容は仕事についてになります。
現在新卒2年目のIT営業を担当しております。もともと華やかさに惹かれたのと、
後はそこからしか内定が貰えなかったため入ったのですが、モチベーションが維持できず、最近は本当に辞めたくてしょうがないです。

ジェーン・スー:なるほどなるほど。

みかんさん:パッケージシステムのソリューション販売をしているのですが、システム的な知識にも疎く、営業チームも体育会系で合わず、日々の業務をこなすのが手いっぱいな状態です。
問い合わせがあったら、こちらから連絡する形で、飛び込みではないのは救いなのですが……

ジェーン・スー:ということは、電話帳を見てたくさん電話をかけてつれない返事を何件ももらう…というようなことはないわけですね。

みかんさん:そうですね。たまにテレアポも行いますが。

ジェーン・スー:初年度からそのお仕事を?

みかんさん:はい!ただ、やっている仕事が面白いと思えず、難しいお客さんとばかりと関わることによるストレスで体調をよく崩して気管支喘息になったりもしました。
責任感からくるプレッシャーもあるのだと思います。

ジェーン・スー:初年度から体調を崩したりとは、大変なお仕事なんですね。

みかんさん:私がうまくこなせないだけかもしれませんが、お金に困っていないのに、何でここまで頑張らなくてはいけないのかと…。

ジェーン・スー:お金には困ってないというと、ご実家ですか?

みかんさん:はい。あとそこまで物欲がないので、お金を使わないです。
まだ2年目なので面白さがわかる年でもないのかなと思う気持ちや、もともと体育会系ではないので、
甘い所があるとは自分でも思います。ここでできなければ、他でもできないのではと思います。

ジェーン・スー:真面目、みかんさん真面目!
「えーなんでー!やだやだ!」という自分と「いやいやまだまだまだ私が甘い…」という自分の戦いをしているんですね!

みかんさん:そうなんです。そこが悩みどころで…。
いやもう明日にでも逃げ出したいくらいですが、親にも申し訳ない気持ちとかもあります。

ジェーン・スー: 真面目! 親にはなにが申し訳ないのでしょう?

みかんさん:いい大学まで出させてもらったのにフリーターにはなれないな、と。

ジェーン・スー:なるほど。受験は成功したタイプですか?

みかんさん:これが附属校だったので、中学受験しかしていません。
いろいろな生き方があると知ると逆にわからなくなります。自分に何が合っているかもわかりませんし。

ジェーン・スー: わかんないですよねー。
先に結論めいたこと言ってしまいますが、決めた時点で正解かどうかわかることってあまりないんですよ。
あとから振り返って「あれが正解だった!」と思えるように自分で毎日やっていくしかないわけで。


みかんさん:なるほど…。

遠い将来のために辛い今を過ごすのが苦痛

ジェーン・スー:華やかさにあこがれたということでしたが、実際はどうでした?

みかんさん:会社全体は華やかですが、私がいる部門は地味です。

ジェーン・スー:ワハハ!なんですか、それは。営業は地味? 

みかんさん:まあそこを希望したところもあるのですが、地味ですね。
ただ仕事をしてみて、自分について分かったこともありました。

ジェーン・スー:どんなことですか?

みかんさん:誰とでも活発なコミュニケーションがとれるわけではない、要領良く早くこなすのが苦手、スロースターター、コツコツタイプなどです。

ジェーン・スー:うんうん、なるほど。
例えばいま転職するとしたら、どんな仕事に興味がありますか?

みかんさん:会社にあまり興味がなくて…
文学部系の学部にいたので、音楽とか演劇とか何か表現者として生きていけたら幸せだなと思っています。
あとは都市の文化とかまちづくりに興味があります。

ジェーン・スー:なるほどなるほど。転職するなら異業種転職になるのかしら?

みかんさん:そうですね、ITはそもそもそこまで興味がないこともわかったので。
直接的に喜ばれる仕事がいいですね

ジェーン・スー:営業は直接的に喜ばれる仕事ですよ!

みかんさん:でも私個人というより、サービスが喜ばれていると思ってしまいます。

ジェーン・スー: 私は4、5回転職して、今いろんなことやって訳わかんない状態になっているわけですが、いちばんの弱点は営業をやってないことなんですよ。
営業部に所属したことがない。これはビジネスをやっていくうえで大きな欠損だと自分では思っています。
だから、最初から営業をやれてるみかんさんがとてもうらやましいです。

みかんさん:確かに…、最初にやれてよかったとは思っています。
お金の稼ぎ方を学べている気がするので。でも、長くやるものでもない気もして。

ジェーン・スー:うん、最初にやれて良かったですよ。
会社がどうやって売り上げを立てるのかを知ることは、今後どんな仕事をする上でもすごい大事。

みかんさん:ただ、そこまでお金好きじゃないみたいです。

ジェーン・スー:お金は好き嫌いとは別にある程度必要なものですよ。
お金があると細かいことに苛まれなくても良いという側面もあるので、お金を稼ぐこと自体を嫌いになる必要はないと思います。
若いうちから自分で見積もり考えたり、そういう仕事ができているということは今後、働いて行く上で非常に力強い土台になると思いますよ。
ですからその土台づくりをいつまでやるのかという視点で、仕事をいつまで続けるかを考えてもよいのかなと思いました。

みかんさん:それもずっと考えていました。
ただ、遠い将来のために今を辛い日々で過ごすのは、どうなのだろうとも思ってます。
震災があり、人はいつ死ぬかはわからないなと思いました。
その中で、自由なはずの私は全然自由に行動できてないというか、周りの目ばかり気にしてしまうのです。
なんだか堂々巡りですみません…。

ジェーン・スー:いえいえ。全然大丈夫。 思いのたけをバーっと吐き出して頂いて結構ですよ!
さきほど、直接的に喜ばれる仕事がしたいとおっしゃっていましたが、みかんさん個人はどんなサービスで人を喜ばせることができると思います?

みかんさん:よくわかりません…

ジェーン・スー:喜ばせる!と確信はなくても、こんなことで人を喜ばせることができたら幸せだな~とかありますか?

みかんさん:美味しいコーヒーをいれてあげたりとか、美味しいお店を教えてあげたりとか、楽しいイベントを企画したり、ごはんを作ったりですかね?

ジェーン・スー:おお、いろいろあるね。
人をサポートして心地よい空間を作る仕事と、率先して自分から他者に刺激を与える仕事、どちらの方が興味ありますか?

みかんさん:ううーん、どちらも興味があるのですが、後者はできる自信があまりないです…

ジェーン・スー:お、自信ベースじゃなくて、とりあえずやってみたいのはどっちですかな?
どっちをやったら達成感や充足感が得られるか。もちろん想像でかまいません。

みかんさん:後者ですね。

ジェーン・スー:それが、先程おっしゃってた表現者として生きていけたら幸せという思いに繋がるのかもしれませんね。

みかんさん:はい

ジェーン・スー:仕事以外でなにかやってることはありますか?趣味とか。続けていること。

みかんさん:ドラムですかね。

ジェーン・スー:おお!意外!いまもバンドを続けているとか?

みかんさん:X JAPANとか叩いてました。

ジェーン・スー:わはははは!いいね!若いのになんだそのチョイス!

みかんさん:今も趣味として続けてます。

ジェーン・スー:仕事以外に続けている趣味があるのは素晴らしいですね!
音楽で食っていくぜ!とは卒業のときに思わなかった?

みかんさん:そうですね、周りで成功してる人もいないし、そんな食べていけるなんて思いませんでした。

ジェーン・スー:そう考えますよね、たいてい。音楽が仕事になるのはちょっとイメージしづらい?

みかんさん:はい。

ジェーン・スー:就職活動ではどんな企業が第一希望だったんですか?

みかんさん:そこもよくわからないまま就活をしていました。とりあえず入って考えようくらいに思ってました。

ジェーン・スー:なるほど。

「3年は続けないと入った意味ないよね」と言われ…

ジェーン・スー:いま、例えば朝起きるのが苦痛すぎるとか、そういう身体的ストレスを過度に感じている状況ならば、大きく体調を崩す前に一旦お休みするのも手だとは思います。

みかんさん:実は、それも考えて上司に一度辞めたいと相談しました

ジェーン・スー:うんうん。上司はなんと?

みかんさん:上司はとても親身になって考えてくれましたが、会社として営業が足りてないこと、他に私にできる余ってる仕事もないため、部署を異動しても、内容はほぼ変わらないと言われました。
それでも5月に相談して7月に部署が変わる予定でしたが、変わりませんでした。
上司としても私に期待しているからこそ任せているとも言っていましたが、正直不安です。

ジェーン・スー:営業部の離職率は高いですか?

みかんさん:全体として人数が多くないですが、最近女性営業マンが一人辞められました。
ただ、会社の統合などがあり、どんどんブラックに近くなっていきそうです。
楽しんで仕事をやっているように見える人はあまりいません

ジェーン・スー:そっかー。会社がブラックかどうかはわからないのですが、嫌で嫌で仕方ないなら一度リセットするのは手だと思います。
ただ、それがいま出来てないところに、みかんさんの真面目さがあると思いますし、その真面目さがみかんさんを良い方向に引っ張っていてくれるといいのですが、どうでしょう? 辞められると思いますか?
また、辞められないとするならその理由はなんでしょうか?

みかんさん:今はまだ辞める決断ができません。
理由は、上司がすごく人間としてできた良い人だったりして、すごくお世話になったのに申し訳ないというのと、辞めた後のこともまだ何も明確にないことがあります。
辞めたいと相談した時も、他が決まっているわけでもないし、部署変えてみたら変わりそうな理由だと捉えられてしまい、
「3年は続けないと入った意味ないよね」とも言われ、確かにスキルのない私が辞めてもという不安もあります。

この時に会社というものは「辞めたい」と言って簡単に辞められるものではないと知りました。
就活の時はダメなら辞めればいいし、とりあえず入ってみようなんて思っていたのですが、入ったら辞めるのがとても大変なんですね。
仕事がいやだと気力が奪われて、すべてが面倒になるんですよね。
最近彼氏ができてそれはそれで嬉しかったのですが、それだけでは私は幸せになれないということもわかりました。
仕事という土台がぐずぐずなのでたぶんこのままだと嫉妬にまみれた人間になりそうです…。

自分は甘いのではと、自分で自分を責めてしまう

ジェーン・スー:会社は、辞めようと思えば1ヵ月もあればぶっちぎって辞められるんです。
いろんなところに不義理はしますが、辞められないということはない。
だからすぐやめろと言う話ではなくて、辞められない…という強迫観念めいたものがあるならば、それはないと思ってほしいです。

みかんさん:そうですね、それは一度上司に相談する段階で思いました。
もっと自分が強ければなと思いますが、経験でしか強くなれないことも学びました。

ジェーン・スー:真面目!
みかんさんのお話を伺ってると、みかんさん自身が「こんなことを思ってる自分は甘い」と思ってるんじゃないかなーと。
音をあげる役と叱咤激励する役をひとりでやってる!

みかんさん:自分で自分の首を絞めているのもわかっています。
ただどうしても楽にできないんですよね。

ジェーン・スー:ふんふん、なんでじゃろ?

みかんさん:元から優等生育ちというか、学級委員とかやっちゃうような子だったので校則を破ることも無理でした。
人から批判されることが一番怖いんです。


ジェーン・スー:わかります、わかります。

みかんさん:でも、つまらない人間にもなりたくなくて、でも今の自分はつまらない人間に成り下がっていてそんな自分も嫌です。
「これをやってます」とか、胸張って言えるようになりたいです。


ジェーン・スー:うんうん、いいね!前向きになってきた!

【つづく】

 自分の気持ちを吐き出して、だんだんと前向きになった、みかんさん。
次回は、「仕事を辞めたいと思ったときの自分との向き合い方」についてのお話です。

お楽しみに!

Text/ジェーン・スー

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ライタープロフィール

ジェーン・スー
音楽プロデューサー、作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活動中。

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