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  • 2013.04.22

ハウル好きな女子はだめんずにハマる!

第1回:ハウル好きな女子はだめんずにハマる!

かっこいいけどヘタレでかわいい…
ハウルの罠にだまされるな!

Nurture By rickyqi
©By vanessa_hutd

 こんにちは、福田フクスケです。

 いきなりですが、私、とても気に病んでます。

「ノマドセックス女子」という記事を書いたくせに、Twitterで本命彼女が欲しいと書いたら、フォロワーさんに「フクスケさんの恋愛観って意外と保守的なんですね」とがっかりされたから。

……では、ありません。

 私が気に病んでいるのは、先月みなさんから投票を募集した「ジブリ男子総選挙2013」で、“ジブリアニメに出てくる理想の男性キャラ”堂々の第一位を獲得したのが、『ハウルの動く城』のハウルだったからです。

 いや、たしかにハウル、かっこいいですよ?
でも、ハウルに投票した方々の支持理由を見て、私、心配になりました。
「嫁の友達に囲まれている加藤茶」の写真を見たとき以上に胸がざわざわしました。
だって、こうですよ。

【主な投票理由】
・中性的でセクシー。生き方があぶなっかしいところが魅力的です。
・基本はだめんずだけど、全身全霊で尽くしてくれるから。
・弱いのに、守りたいもののためなら頑張れちゃうところが愛おしい。
・魔法使いなのに弱虫なんて、毎晩ホットミルクを運んであげたくなっちゃう。
・自分に甘えてくれるイケメンのダメ男なんて、乙女の夢じゃないですか!


 ひと言でまとめると、“本当はかっこいいくせに、普段はダメでかわいい”
そこにシビれる、あこがれるゥ!! ということですよね。

 これ、女性がだめんずに引っかかる典型的なパターンじゃないですか!
実際、劇中のハウルは、「あれ、この話ってくらたまさんが原作だっけ…?」と勘違いしてしまうくらい、“だめんずの教科書”通りの言動をしているんです。

 そんな男に、もっとも多くの女性票が集まってしまったという衝撃の事実。
そこに、この国の女性が抱える“こじらせ”の実態を垣間見た気がして、
「ああ、女性のみなさん、だまされちゃダメだってば…!(ついでにカトちゃんも!)」
と、私はとても心配になったのです。

女を離れられなくする
ハウルのずるいモテテク

 モテるだめんずは、「私がいなきゃ、この人はダメなの…」と女に思わせることが上手。
ハウルもまた、そんなだめんず特有のモテテクを、物語の冒頭ですでに発揮しています。

 自分に自信のない帽子屋の娘ソフィーが、街で兵士にナンパされて困っていたところを、さりげなく彼氏気取りで切り抜けるという疑似恋愛のシチュエーション。
続いて荒れ地の魔女の使いに襲われたときは、魔法を使った空中散歩というドキドキの初体験まで手ほどきして、ソフィーの“愛されたい”“刺激がほしい”という心にくすぐりをかけています。

 手口自体はなんということはない、いまどき童貞でも知ってる“吊り橋理論”そのもの。
しかし、この手のだめんずは、豚がトリュフを探し当てるように、「この女なら、俺に都合よく惚れてくれる」という、自己評価の低い女性を嗅ぎ分ける天性の才能を持っているのです。
そして、ほとんど無自覚に女性をドキドキさせ、まんまと乙女心をわしづかみにしてしまうというわけです。

 案の定ソフィーは、荒れ地の魔女の追跡や、師匠サリマンの呼び出しから逃げ回っている、わがままで臆病でヘタレなハウルに代わって、外回りのパシリに使われます。
まさに“都合のいい女”。
現代に置き換えれば、適当に呼びつけられてセフレにされたり、借金を肩代わりさせられたり、暴力を振るわれたりしているような状態です。

 それでも、ソフィーがハウルのために尽くすのはなぜでしょうか。
そこが、女心を揺さぶる、だめんずハウルのずるい手口なのです。

 サリマンのいる王室に駆け付けたときは、「ソフィーがいると思うから行けたんだ」とか、キュンとすることを言ってみたり。
ハウルが子供の頃に過ごした大事な隠れ家を「ソフィーなら好きに使っていいよ」と言って、“君は特別だよ”感を演出したり。
「私なんかきれいじゃないし……」と卑屈モード全開なソフィーに、真正面から「ソフィーはきれいだよ!」と言ってのけたり。

 ソフィーが心の底で「こんなこと言われたい」「こんな風に扱われたい」と思っていることを、ハウルはまんまと読み取ってフォローできちゃう男なんですよ。
だからソフィーは、「この人なら、私を“愛されたい理想の自分”にしてくれるかも!」と思い、ハウルから離れられなくなっちゃうわけです。
どんなに都合よく扱われても、「あの人、お酒さえ飲まなければやさしい人だから…」みたいな気持ちにさせられちゃうんですよ。

 最後には、ようやくソフィーのために命がけで戦争に行くハウルですが、それに対してソフィーが言ったのは、「あの人は弱虫がいいの」というまさかのヘタレ肯定発言でした。

「あんなかっこいい人が、私みたいな女を好きになってくれるなんて…」という卑屈な気持ちが、いつしか「私がいないと、あの人はだめなの…」という献身にすり替わり、すっかりだめんずにとって都合のいい共依存スタイルができあがってしまうのです。

“少女”と“老婆”に引き裂かれた
こじらせ女子の自意識問題

「ハウルみたいな男が好き」という女性は、少なからずこのソフィーのような一面を持っていると思います。
つまり、「私なんかきれいじゃないし…」という女としてのコンプレックスから、自分を否定する自己暗示をかけてしまっているのです。

 ソフィーが荒れ地の魔女にかけられたという“老婆になってしまう呪い”とは、まさにこの“自分を否定してしまう自己暗示”の比喩にほかなりません。

 その証拠に、ソフィーは愛するハウルに尽くし、“女としてあるべき理想の自分”というプライドを保てているときだけは、少女の姿に戻っています。
しかし、女としてのコンプレックスを感じ、「どうせ私なんて…」と思っているときは、女のステージから下りた老婆の状態に返ってしまうのです。

 問題は、ソフィーにとって“ハウルの都合のいい女になること”が、“女としての理想”とイコールになってしまっていること。
老婆の呪いもやっかいですが、今、多くの女性を苦しめているのは、この“少女の呪い”のほうなのではないでしょうか。


 だめんずは、自分のダメな部分を相手の女性に背負わせて、代わりに「僕といるときだけ、君は“少女”でいられるよ」という甘いごちそうを与えます。
だから、一度だめんずを好きになってしまうと、逃れるのが難しいのです。

 世に言う「こじらせ女子」とは、女としての評価や理想に縛られた“少女”の自分と、女のプライドや自尊心を捨ててありのままの自分を肯定できる“老婆”の自分、ふたつの自意識に引き裂かれた女性のことだ、とも言うことができると思います。

 そう考えると、ジブリアニメでは“少女”と“老婆”に二極化した女性ばかりが活躍することも、その中で特に『ハウルの動く城』の男性キャラが理想の第一位に選ばれたことも、すべては必然のような気がしてくるのは、考えすぎでしょうか。
ジブリアニメ、おそるべしです。

「ハウルが一番好き」と思った人は、もう一度よく考えてみてください。
ひょっとして、あなたがハウルだと思っている男性は、実はあなたのことを都合よく扱っている“だめんず”ではありませんか…?

※次回は、人気投票第2位だった『となりのトトロ』の草壁タツオ(サツキとメイのお父さん)がテーマです、お楽しみに。

Text/福田フクスケ

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ライタープロフィール

福田フクスケ
フリーライター。“くすぶり男子”の視点から恋愛やジェンダー、セックスなどを考察。

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