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  • 2013.05.30

二度と帰ってこない旦那を待ち続けるクラスメイト

パリで出会ったウソみたいな本当の愛の話

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by skbee

 ここ最近のパリの一大ニュースは見事(?)同性愛結婚の法案が通過したとうことでしょうか。
パリの街でもうすぐ同性愛カップルたちの結婚式が見られるようになるのです。

 一方でカトリック信者の多いフランスでは、いまだ同性愛結婚に反対する大規模デモが行われて暴動騒ぎにまで発展しています。
小市民日本人である私は、フランスの進んだ面と保守的な面が公で火花を散らしてぶつかりあっているのを見て一人ハラハラしています。

 そんなパリで今週、「愛」について考えさせられる出会いがありました。
私は今、改めてフランス語を学校で勉強しているのですが移民の多いフランス、クラスメイトはアジア系ではバングラデッシュ、中国、タイ、韓国、チベット、他にはアゼルバイジャン(→日本にいる時は聞いたこともなかった名前の国!)そしてロシア、コロンビア、アフリカ、チェチェン人などのクラスメイトと毎日顔を合わせています。
人種の坩堝といわれるNYよりも国のヴァリエーションが豊かに感じます。
ただしNYと違うと思うのは、好きでフランスに住んでいるわけでなくて止むをえない事情で移住してきたという人が多いということでした。
特に、母国の紛争や貧困から逃れるため等々の事情があるようなのです。

 そういう事情を改めて知ったのは学校初日の自己紹介の時でした。
クラスメイトの1人であるチベット人の男性がつぶやいた「僕の父は中国人に殺された」という言葉に私は凍りついてしまいました。
しかも私のすぐ横には中国人の女性が…。

 遠い世界のお話だと思っていたリアルがこうして目の前で突きつけられると、
いかに自分が日本人として生まれて平和に生きているかということを知り、なぜか恥ずかしいような肩身の狭いような思いをしてしまいます。

 一番ショッキングだったのは、チェチェン人の女性の話です。
彼女は30代後半と思われる、ぽっちゃりしてやさしそうな笑顔が印象的で、いつも恥ずかしそうに先生の質問に答える女性です。
大きなスカーフを頭から巻き、髪の毛を見せることは絶対にありません。

 ある日彼女は、ランチタイムにハニカミながら他のクラスメイトに写真を見せ始めました。
私は「何の写真なの?」と聞いたら、彼女は私のところまで写真を持ってきて見せてくれました。

 その写真というのはピンボケした10数年前に撮影されたというカラー写真で、彼女とその旦那さんが庭に立って並んでいるものでした。
写真の中の彼女は別人のようにスレンダーで赤らめたほっぺたにいまと変わらぬハニカミの笑顔。
隣に並ぶやさしそうなの旦那さんと彼女の間には妙な距離があり、二人して恥ずかしがりながらも撮られた写真だったのかなという雰囲気です。

 この写真を見せてもらっている時に、他のクラスメイトが
「彼女はその旦那さんがに紛争に借り出された日から十数年も彼の帰りを待ち続けている」
と教えてくれました。

 幸せそうな二人の写真の裏には、そんな悲劇があろうとは…。
思いもよらなかった事実に私は動揺して
「旦那さん、かっこいいね」
としか言えず、にじんできた涙をこらえるのに精一杯。

 話を聞いてから改めて写真のことを考えると、二人で旅行に行ったときのイチャイチャ写真なんかではなく、家の庭の前で二人の男女が記念に撮影した普通すぎる写真。
でもそれが旦那さんと撮影した最後の一枚だったのかもしれない、そう思えてきたのでした。

 後に彼女が「旦那がもう帰ってくることはないだろうと諦めている」という話を聞きましたが、
あの写真を私のところまで持ってきてくれるときの彼女は「見て見て、これが私の旦那さんなの!」と、新婚カップルの写真を見せるような満面のハニカミ笑顔だったので、彼女が旦那さんのことを諦めてるとは到底思えません。
10数年も好きな人と、やむをえない事情で引き離されるなんて。しかも10数年も待ち続けることなんて。
私には想像すら怖くてできません。


 この出来事の後「何が婚活だ!」と、自分がこれまでに世界婚活だなんだと愛についていろいろと考えたり執筆してきたことがアホらしくなってきました(もちろん、婚活をしているときは必死の思いだったのは確かです)。

 絶対に紛争やら戦争は反対。そう宣言すること、そして毎日感謝をすることくらいしかできない自分の「何でもなさ」にただただ、無力さを感じてしまったのでした。

Text/中村綾花


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プロフィール
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中村綾花

ラブジャーナリスト/ライター。
1980 年福岡県生まれ。県立長崎シーボルト大学(現・長崎県立大学シーボルト校)国際情報学部情報メディア学科卒。
テレビ番組制作会社でAD として勤務するも仕事に疲れ果て、ニューヨークに1年間逃亡&遊学。帰国後は20 ~ 30 代サラリーマン向けフリーペーパー& ウェブサイト『R25』(リクルート)で執筆や編集を務める傍ら、男女がもっと分かり合える場を作る「男の子の会」を主宰しNHK ニュースで全国放送される。しかし、そこに映る自分の姿に絶句し、2010 年に「世界婚活」プロジェクトを立ち上げ、世界各国の恋愛・結婚事情を取材して回りながら婚活も行うラブジャーナリストとして活動開始。
2012 年、世界婚活中に出会ったフランス人と結婚し、現在はパリにてLOVEを調査中。日仏カップルや、現地のフランス人・日本人にインタビューをする日々。
website:[世界婚活]
twitter:@ayakahan

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