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  • 2015.08.23

どんどん切り離されて交わらなくなっていく、出産未経験者たちと経験者たちの世界

今までビールを飲まなかった自分の妹が、ビールを飲むようになった。久しぶりに再開した友人が、おじさん化していた。妊娠・出産を機に大きく変化する身の回りの女性たち…独身者と既婚者の差よりもはるかに、出産経験者と未経験者の差は大きいのかもしれません。

妊娠、出産をするということ

中村綾花 AMパリ支局がお送りする 結婚と幸せの方程式 フランス 純愛
Felipe Fernandes

 最近、周りの友人たちはどんどん子供を産んでいる。

 そして、その友人らが子供を産むとものすごい変化をとげることに動揺している。

 それまで、同じ時間で同じ空間で、同じ話で笑えていたのに、彼女たちが妊娠してから腹がどんどんふくらみ、ついに赤ちゃんが世に飛び出してきたら、まるで別世界の住人になってしまうのだ。

 それもそうだろう。それまでにいなかった新しい生き物が自分の目の前に出現し、生活の全てがその新しい生き物中心にまわりはじめてしまうのだから。

 一番最初にこうした女性の変化を身近に感じ取ったのは、私の妹の妊娠と出産だった。

 身内で初めての妊娠。彼女が妊娠したと聞いて私は会うのも恐かった。なぜなら彼女に会った時、私が事故でも起こして赤ちゃんになにかがあったらとんでもない、という理由からだ。

 妊婦というのはガラス細工より繊細な存在だと思っていた。それくらい、妊娠や出産ということに私は触れてこなかったし、よく分からないことだった。

 でも、妹に会ってみたら本人は日に日に強くなっていくように見えた。でーんと構えて、よく食べ、よく寝て、何ともないようだった。

 ところが、赤ちゃんが産まれてすぐは彼女は神経質になっているのがよくわかった。普段なら勘にさわらないようなことが、異常に気になったりするらしい。

 赤ちゃんがムクムクと大きくなって、子供の形をしてきたときには、それにつれて妹もムクムクと太っていくのだった。話を聞くと、子供を産んでから体重だけでなく味覚まで変わってしまったらしい。そんなバカな。

 それまでビールなんて飲んでる姿を見たことがなかったのに、いまでは夕食時のビールがかかせないという。

出産経験者と未経験者の世界の差

 ひさびさに再会した友人もあっという間に二児の母になっていた。娘さんがお姫様風ドレスを着るのが好きらしく、別に特別な日でないただの散歩でもひらひら、キラキラの洋服を着せていた。

 友人はその娘さんがガールズテイストを育んでいる姿を見て「私自身が女性らしさをあまり意識して生きてこなかったから、娘のこういうところは大切にしたいんだよね。私なんて母親になってからおばさんどころか、おじさんになってる気分だけどね!」と笑っていた。

 そうか、子供ができると母親というのは「おじさん」に変化するのか、と、なんだか感心してしまった。

 つまり、それくらい私にとって「子持ちの女性たち」はトランスフォーマーよろしく、めまぐるしい変化をしつづけているのだ。しかも、その変化は未経験で予測不可能な細胞レベルの変化だ。

 独身と既婚者の差はものすごいあるよな、と思っていたが、出産後の女性と出産未経験の女性の差は、話にならない。

 こうして、出産未経験者たちと経験者たちの世界はどんどん切り離されて、交わらなくなっていく。

Text/中村綾花

ライタープロフィール

中村綾花
ラブジャーナリスト/ライター。

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