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  • 2015.08.09

仕事も恋も子育ても…1人で生きて行くのにもパワーが必要な東京砂漠

「こんなに人の歩くスピードって早かったっけ?」「こんなにたくさんの人がいたっけ?」海外から帰ってきたり、地方から帰ってきたりすると改めて気付かされる「東京」という都市のパワー。東京に住むみなさん、時々は立ち止まって一息つくことも必要かもしれません…

久しぶりの東京で改めて気付いたこと

中村綾花 AMパリ支局がお送りする 結婚と幸せの方程式 フランス 純愛
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 今年の夏は東京に一週間程滞在していました。そこで、トークイベントを開催したり、友人らに再会したりしていたらあっというまに時間が過ぎてしまいました。

 5年も東京を離れてしまうと、久々に訪問する東京はかなり疲れてしまいます。特に新宿の駅は怒濤の人波スポット。すっかり忘れてしまった電車の乗り換え方法がわからず、ふと立ち止まって掲示板を探そうものなら、大勢の人の流れを遮ってしまい、ぶつかってしまうだけでなく急いでいる人たちの機嫌を損ねてしまうのです。
立ち止まるにしても、人波からパッと離れて流れを邪魔しないところに避難しなければいけません。この大波に乗り切れずに疲れてしまうのです。

 東京に住んでいた頃だって新宿駅は苦手だったけれど、「こんなに人の歩くスピードって早かったっけ?」「こんなにたくさんの人がいたっけ?」と、日本人であるにも関わらず、外国人のような立場でとまどってしまいます。

 この東京モードについていけず、今回は東京に住んでいた頃には乗ったこともなかったバスを利用することも多々ありました。バスに乗ると、乗客はお年寄りか学生さんか子連ればかり。乗客が乗ってから座るまで「バスが動きますから注意してくださーい」と丁寧でゆっくりなサービスを提供するバスの運転手さんにも癒されました。

 私の隣の空席に、おばあちゃんが乗ってきて「横におじゃましてもいいですか?」なんて一声からちょっとしたコミュニケーションが始まったりもしました。

「バスで移動してきました」と東京在住の人たちに話をすると、「バスなんて時間がかかるでしょ!?」と驚かれる人ばかり。
でも、電車の駅に行って、階段をのぼって、混雑した電車で立ちっぱなし、乗り換えで早足の人波にもまれるくらいなら、時間が少々かかる電車とは疲れの度合いが全然違うんですってば。それはもちろん身体的な疲れもそうですが、心身的な疲れも相当な違いがあります。

東京で得られるもの、失うもの

 東京に住んでいるときは、私も「バスなんて時間がかかってしょうがない!」と言っていた内の1人だったでしょう。そして、人波にまぎれてそそくさと歩き、急に立ち止まる人に「なにこの人!」とイライラしていたに違いません。
東京のあのスピードに慣れて、毎日があっという過ぎ、なんだか消耗しているような、疲れているような……。でもそれも忙しすぎて本当のところ実感がなかった気がします。

 東京は、その街で生きる人を変えてしまう力があることも実感しています。パリで一緒にフランス語を勉強して、一緒に人生を語り合った日本人の友人で今東京に住んでいる仲間たちの中には、何かがすっかり変わってしまったと感じる人がよくいます。

 東京の社会人となってたくましく働いている一方で、目の輝きが薄れていたり、無理をして身体を壊したり、そもそも東京の雑踏に馴染みきれなくて、自分の住んでいるエリアから都心へ出ようとしない、なんて人もいます。

 もちろん東京でしか得られないものもあるのですが、その代償はなんだかとてつもなく大きいと思うのは私だけでしょうか?こんな東京砂漠で自分1人で生きて行くのにもパワーが必要になるのに、仕事も恋も、はたまた子育ても……、なんてとてもとても、私にはできそうにはありません。

 東京在住のみなさん。ぜひ、時々は立ち止まって一息つくことを忘れないでください。そして、心と身体の現状を見つめてコンディションを整えることもお忘れなく。

Text/中村綾花

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ライタープロフィール

中村綾花
ラブジャーナリスト/ライター。

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