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  • 2016.11.14

結婚=入籍=大嘘?

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「結婚=入籍」の大ウソ。


いい年なので周囲からよくされるようになった結婚報告。あらあら、ついにあの人もこの人も、あんな人まで! 人が結婚してもなんとも思わないのですが、結婚した人を羨ましがる人が羨ましい……。

しかし「私たち入籍しました」とあいさつ状が来るたびに、「あれ?」と首をかしげる今日この頃。入籍って、「私“たち”」だっけ……? 

入籍とは文字通り、「籍」に「入る」こと。ということは、子どもが親の籍に入ること、養子縁組や離婚後の子どもの戸籍移動なども含まれるもので、そもそも結婚とは全く別の制度。婚姻に際しては自動的にそうなっちゃうだけで、別に意図的に「入籍」をするわけじゃないからなんだか違和感。しかも、ふたりして「入籍しました」と言われると、どっちかだけな行為なのに、さらなる違和感。なんだか、二人同時に誰かの養子になったとも取れなくもない。

もう、ホント、日本語の崩壊だね。プンプン。


と、ここで終わりにすると、小賢しい優等生中学生男子のいらん突っ込みみたいになるので、感じが悪いですね。プンプン。「ふいんき」じゃないですぅ~、「ふんいき」が正しいんですぅ~。「フューチャー」じゃなくて正しくは「フィーチャー」ですぅ~。これだから! ふっ…みたいな。いた、こういう男子、クラスに一人はいた。感じ悪い。

え? ええ、そういう男子でしたよ、もちろん。


なので、“オトナ”としてこの「戸籍」を批判的に見つめてみるのですが、いつもなんだか心苦しいのです。




「戦時中の話?」


つい最近、日本にBL漫画を買い付けに来た友人(『Tiger & Bunny』の大ファン。っでもタイバニはBLじゃないです)のドイツ人女性と結婚の話になり、日本には戸籍っていう制度があって、これこれこういう制度で…と話したところ、こう笑われました。

そりゃそうだ。だって日本だけだもの、戸籍制度って。隣にいた韓国人女性に「やだ、まだ廃止してないの? 遅れてない?」とも言われました。そう、この制度、東アジア特有のシステムでしたが、もう残すは日本だけなのです。戸籍という制度は、社会保障や税金を管理するための帳簿、つまり「登録台帳」の一つ。でも、日本の「戸籍制度」、二つの面から結構不愉快。

ひとつは「プライバシー」の観点から、もうひとつは「受け身男子の温床」という観点から。


☆経歴丸見えシステム
個人の出生や経歴を登録して管理する方法は国によって違います。おおざっぱに分けるとこんな。

1.個人登録
オランダ、スウェーデン、韓国
2.事件別登録(出生、結婚、死亡ごとに届け出)
米国、カナダ
3.個人登録+事件別登録
イギリス、フランス、中国
4.家族単位登録
ドイツ、スイス


で、これらのどれにも当てはまらないのが「戸籍」。それぞれの方法の、何が違うかというと……説明するととんでもなく長い説明になるので、ググってね❤という責任放棄。すいません(-_-;)

戸籍制度は基本血族の家族ごとに記載されて、出生・死亡・婚姻などの「事件」の履歴がひとまとめにされて、登録されているので、1枚手に入れると親から兄弟からどういう履歴なのかが、丸見え。ワァオ❤(Hなシーンで使われる効果音です)。基本、原則公開なので、見ようとすれば誰でも見られます(最近は本人か家族じゃないといけないそうですが、簡単な理由と条件を満たせばアカの他人が見ることも可能)

戸籍制度を維持していた国は、台湾、韓国、中国、日本ですが、韓国は最近廃止しました。台湾はまだ残っているけれども、身分登録としての運用は終わっています。(※中国もありますが、これは婚姻血族を単位として登録するものと違い、「住居」つまり住居を基に、誰が生活を共にしているのかを登録するもの(よって団地のような集合住宅単位で登録されることも)なので、違うものです)。ドイツ人の彼女が「戦時中の話?」と、ふざけて顔をしかめたのは、ナチスが日本と同じような登録制度を使用して、人種隔離政策に利用したから。

「血」「出生」を見張り、それを誰でも見られるという制度は、あっという間に人の存在の差別につながるのが、過去の経験としてトラウマになっているのかなと、思います。でも確かに、制度を作る精神が全体主義と一緒だとしたら、眉間に皺をよせてもしかたないかな、と。



☆「受け身男子」の増殖は戸籍制度が原因?
その韓国人の友人いわく、「子は父の家に入籍する」「妻は夫の家に入籍する」という非常に差別的な規定がまとわりつくのも理由の一つで、韓国はまさにそれが原因で廃止されたとのこと。

日本は、夫妻どちらがどちらの籍に入っても自由。姓がひとつにまとまった方が、いろいろ明確になることも確か。戸籍制度がない、米国も半数は夫の姓になっているそう。じゃあ、何も問題ないじゃない…と思ったりするところにワナがあるなぁと。


じゃあ、何故ほとんど('96年97.3%⇒'05年96.6%厚生労働省発表)が夫の姓になるの? と聞くと、「それが普通だから」という答えが大体のところ。じゃあ、もうひと超え。

大方の男性は妻の姓になりたくない(男性の78.6%:'98厚生労働省発表)のは何故? と考えると、それはつまり「結婚して妻の姓になるなんて、家長は妻ですというのと同じことだから。そんな恥ずかしいことできない」というのが本当の理由かと(姓を維持した方がイコール「戸籍筆頭者」になるという常識もまたウソで、姓を維持しなくても「戸籍筆頭者」にはなれますが)。

あ、なんか、イラっとする。ハーイ、「イラッとスイッチ」入りました~。

なんでなんで? なんで「家族」というグループにリーダーを作らなきゃいけないの? なんでなんで? しかもなんで、家族のリーダーが男性じゃなきゃいけないの? ねえ、パパぁ~なんでぇ~。


「だからそうしないと恥ずかしいからだよ!」

見える。5歳児モードで質問した結果、イラッとしてつい逆切れする父親の姿が見えます。。。

僕はこれこそが「男のコケン」というやつだと思います。そうですね、一文字違えただけで下ネタですね。ウップス。

「沽券」とは人の値打ち。「結婚後も自分の姓を名乗る行為」は「家長でございます」と看板を掲げて、自動的に人の値打ちをアップしてくれるものなのじゃないかと。黙ってても、結婚さえすれば自動的に制度と、制度に疑問を感じない女性が勝手に「家長」にしてくれる。裏で妻に冷遇されようが、子どもに悪しざまに言われようが、「家長」という看板は背負わせてくれるわけです。


ちょっと待て。待て待て待て。それは与えてくれるのをひたすら待ってるだけの受け身じゃないか。


最近「結婚したい」とやたらと口に出す男子が、揃いもそろって「受け身男子」だったのが(いや、多分偶然なんだと思うんですけど)すごく目について、鼻についていたところ。

オシが弱い。強く言えない。積極性がエベレスト山頂の酸素並みに希薄。だけどプライドだけは高い。そして、結婚したい! 

したい理由もよっくよく聞くと、「(友だちの間でも、会社でも、リーダーになれないから、だったら)結婚して、リーダーになっちゃって、夫になっちゃってエラくねオレ? イケてねオレ?」みたいな。

聞こえる。ああ、キミらの心の声が聞こえる、河は呼んでいる、パスカル・オードレかわいすぎる! 話が逸れた!
 
結婚して、自分の付加価値上げたいんだ……。なぜすべて労せずに手に入れようとするんだろう。尊敬やリーダーとしての素養も自分の能力で勝ち取るものじゃないのかなぁ。(だから「好きって言ってくれたから好きになった」とか言うんじゃワレェっ。チャリラ~チャリラ~ン♪(『仁義なき戦い』テーマ流れてます))。リーダーとか決めるべくもなく、パートナーって平等の立場なんじゃないのかなぁ、基本。

こんな見方には悪意があると問われても仕方ないですし、実際悪意あります(あ、言っちゃった❤)。

姓が変わったところで崩れるような「沽券」なら、そもそも大したものじゃないんだから、捨ててしまえばいいのに。それにこだわる時点で、相当弱くて、しかも自動的に手に入れられるものが欲しいって、相当な「受け身」だと思うのですが……。

試しに結婚相手ができたら「名字変わっても大丈夫?」と聞いてみたら面白いドッキリになるかもしれません。そこで彼の知性と知識と人間性と度量が分かるというもの。彼の結婚感が丸わかり♪ まるで今の戸籍謄本並み(100%嫌味)。


ドイツは、家族単位の登録を続けながら、現在は男女が並列に記載、つまり平等の存在として登録されます。韓国は、一気に「プライバシーと夫妻平等の保護」に動きました。個人登録は必要だと思いますが、ここまで「男のリーダーがまとめる子どもつきの家庭の履歴」を、「別にあってもなくてもどっちでもいいから、あえて失くす必要ないじゃん」とオトナぶってシレっと片づけるのは、男性に危機意識とか平等意識などを意識させるきっかけを失わせているようで、なんだか不安。


しかも、日本の戸籍は「一度だけ結婚して、婚姻届を提出した相手との間だけでセックスして子供を作り、離婚届けを出さずに一生を終える」、という針の穴にラクダを通すようなハードルの高い、というか浮かれた理想形を基準にしています。そうはしたくない人、そこに仕方なくハマれなかった人、あるいは選択すらできない環境に追い込まれた人たちが、自動的に不利益をこうむるようになっている、いじめのような制度です。


「“入籍”したら幸せに結婚」というのは、あらゆる意味で大ウソ。


入籍に関する選択は夫の姓になろうが自由。幸せの形も自由。だからこそ、家族の形や夫婦別姓や夫婦の立ち位置など含め、幸せの「枠組み」をもっと自由に選択したいという人に、チャンスを与えられるシステムがあればと。


そんなことを考えながら、「渡る世間は鬼ばかり」の第3シリーズを見ています。小姑ムカツクわぁww そういや、ここみんな娘だから、野田姓がうっかりなくなるところだったんだなぁ。「岡倉」なんてそこそこ平凡な名字だからよかったようなものの、「御手洗」とか「熊埜御堂」とか「一」とか「福家」とか珍しい姓だったら、どんなにかもったいないことだろう。「瑠璃垣」家の1人娘が「佐藤」姓とかになったら、ホントその「佐藤」恨む。末代まで呪われろとか思う(嘘です。あ、でも半ば本気です)。

そういえば、米国で姓に関わる面白いニュースが。
あのビッグ企業として名高いブランド、ラルフ・ローレンの息子と、ブッシュ元大統領(おじいちゃんの方)の孫娘ローレン・ブッシュが結婚して、話題に。こぞってメディアが「ローレン・ローレンって…。プッ(笑)」みたいに総ツッコミ。でも、そこは自由を掲げる、個人登録の国。名前をどうしようが勝手にできます。で、彼女はどうしたか。恥ずかしいからそのままに? それとも、イジられるの覚悟で、ローレン×02に?

結果は「ローレン・ブッシュ・ローレン」。ブッシュのローレンサンドイッチという手で来ました。そうきたか!


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ライタープロフィール

小山圭一
小山圭一

フランスのリヨン大学第2大学にて「女性学」を学んだ後、テレビ制作にディレクターとして関わる。退社後、コンデナストパブリケーションズジャパンにて『VOGUE Nippon(現VOGUE Japan)』の編集者に。2年間、ファッションやライフスタイルページを担当。2008年、フリーエディターとして雑誌編集、及び執筆業をスタート。『marie claire』(アシェット婦人画報社)や『SPUR』(集英社)などに関わり、主に女性芸能人へのインタビューやファッションページなどを手がけている。フランス留学時に学んだ「女性学」結婚やキャリアに関する研究ベースとした、世界各地の恋愛事情に造詣が深い。
facebook:小山圭一