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  • 2016.11.14

「北京五輪銅メダル。1児の母」

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ロンドンオリンピックも、もうなんだかものすごく昔のように思えてしまい、人の意識のすぎゆくままにあっという間に記憶から消されていくなんて寂しい。
ということで、今更ながら閉会式を思い出してしまったりします!


何が興奮かというと、英国出身のトップランウェイモデルが、英国ブランドの黄金色に輝くオートクチュールを着て出ていたというところ。
Kate MossとNaomi CampbellはAlexander McQueen、 Lily ColeはErdem、 Lily DonaldsonはVivienne Westwood's Gold Label、 David GandyはPaul Smith、 Karen ElsonはBurberry、 Jourdan DunnがJonathan Saunders、 Georgia May JaggerはVictoria Beckham、 Stella TennantはChristopher Kane!
彼女たちが乗っていたフロートに掛かっていた、彼女たち自身の写真はフォトグラファ、Nick Knightによるものだそうでゼータクです。
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http://fashion.telegraph.co.uk/article/TMG9450201/Kate-Moss-goes-for-Olympic-gold.html


ミランダ・カーとかロージー・ハンティントン・ホワイトリーとかヴィクシーモデルがもてはやされています昨今ですけれども、やっぱり正統派トップランウェイモデルが勢ぞろいすると圧巻! 悶絶!
でも、多分、あの会場にいたかなり大勢の人がこの“すごさ”を理解できていないらしく、盛り上がりがイマイチだったのが残念。
日本人選手なんかあのとき「誰? この人たち?」と言った感じのポカン顔で、逆に和んでしまったくらいですが。


でも、僕はその後現れた彼らの方により悶絶。
One Direction がカッコかわいすぎますです。全英全米で大人気のボーイズアイドルグループ。
何故日本で流行らないのか不思議。
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http://www.eonline.com/news/337285/best-and-worst-of-the-olympics-closing-ceremony-one-direction-spice-girls-russell-brand-in-a-top-hat


で、長い長い枕詞に次いで本題に。



☆トップアスリートを「フツーの女」にひずり下ろす報道
オリンピックを見ている間中、ずっとずっと気になりすぎて、最終的には憤死するんじゃないかと思ったのが、女子選手の「私生活フィーチャー」っぷり。
いや、「恋愛・結婚フィーチャーっぷり」と言った方がいいかもしれません。


女子柔道の試合を放映する某民放にチャンネルを合わせたら、スタジオでコメンテーターが控えておりました。
そのコメンテーターを紹介するテロップが出た瞬間、思わず椅子から転げ落ちそうに…。

「北京五輪柔道○○kg級、銅メダル。かくかく云々こんな経歴うんぬんかんぬん……○○年結婚。現在1男1女の母」


……ちょっと待って(汗)。ちょっと待ってくださいよ。
最後の情報、いります? 必要ですか? なんなんですか?

五輪メダリストで、スペシャリストとしてカメラの前に立つトップアスリートの解説のシメを「この人、結婚してて、妻で、子どもまでいるんです」と終わらせる必要がどこに?

僕は男子選手の紹介で「○○年結婚。現在1男1女の父」と〆られているテロップを見たことがありません(たまにプロ野球選手の紹介では見ますが)。

その道を必至で歩んできて偉業を成し遂げてきた女性を、「つったって、やっぱフツーの“女”だよね」と引きずり下ろす行為に思えて仕方がありません。
それは昔から企業で男性たちが能力のある女性社員を、こき下ろす際に使用していた常套手段と同じです。


百歩譲ってそういう情報を視聴者が望んでいるから載せるんだという主張があるとしましょう。
じゃあ結婚しても子どもを持ってもいない女性アスリートは?
「●●年結婚。1男1女の母」と掲載されない彼女たちは、「この人まだ結婚も子供もできてない」と紹介するのと同じ行為
とても破廉恥な報道の仕方だと思います。


この話をしたら「そんな深く考えることないんじゃない? 特に意味はないんだよ」と言った人がいました。
情報は、出した途端にどんなものでも、「意味」を持ちます。
もし、このような結婚・恋愛・家族情報をなんの意図もなく、晒しているのなら、非常に浅薄としか言いようがありません。
そして、それはもっとも厄介な「無意識の悪意」です。
「結婚しているアスリート。子どもがいるアスリート」と「結婚していないアスリート。子どもがいるアスリート」とを“区別”しているのですから。



☆全国区の報道機関が土足で踏み込む「プライバシー」
さらに酷いのが女性メダリストたちに「好きな人は? 彼氏はいるの?」と言った質問の連発です。
ロンドンの友人がそれを見てこう一言。

「バカじゃないの、このアンカーマン。ニュースで聞くこと?」。

バカじゃないかもしれませんが、愚かであることは確かです。
が、そもそもこの人たちアナウンサーとかタレントだから、“アンカーマン”ではないよと説明しておくにとどめました。
そうしたら
「“アナウンサー”って何? ニュースキャスターのこと? 
なんでこんな若い人が全国放送のニュース読めるの? てか“タレント”って職業があるの?」

と突っ込まれ……。

もーっ、だから、この人たちは君たちが考える全国放送に堪えられるジャーナリストとしての“アンカー”じゃなくて、
ニュース原稿を読むプロに毛が生えたニュースキャスターであって、報道とジャーナリズムのプロではないの! 
第一、この人なんかコメディアンで、この人なんかアイドルだもん! ……とブチ切れ気味に解説。

そうしたらまた
「コメディアン? なんで俳優がこんな面白くも美しくもない見た目なの? しかもなんでアイドルがこんな年くってんの?」
と。

だからっ! 日本のコメディアンと君の国のコメディアンは定義づけが違うんだって! 日本は年くっても40過ぎてもアイドルはアイドルなの! 
んなこと言ったらスパイス・ガールズだって閉会式でアイドルみたいに歌ってたじゃないか!(怒)


不毛な質疑応答の応酬。
する必要のないはずだった説明のおかげで余計な体力を消耗させる五輪番組を呪いたくなりました。くわばらくわばら。


もとい…友人いわく、報道機関でいっぱしの番組がどの局も揃って、平気な顔をして選手の「恋愛・結婚という名の下に性関係の相手の有無を尋ねるプライバシー侵害」に踏み込むことが信じられないとのこと。

僕もそう思います。
そういう愚問をするテレビの人たちに質問したい。
「じゃあ、同じ質問を男性メダリストにしますか?」
スタジオにメダルぶらさげてきた男性アスリートたちに「好きな女性はいるの? 彼女はいるの?」と、聞けるものなら聞いてみて欲しいものです。
もしいたとしても相手が男性だったりしたらどうするのでしょう?
とんでもないプライバシー侵害です。


そしてさらにさらに気になったのが、出産後競技に復帰してオリンピックに出場している女性選手に「できちゃった婚(あえてこう表現します)」が一定数いることです。
それについては、また次回。


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ライタープロフィール

小山圭一
小山圭一

フランスのリヨン大学第2大学にて「女性学」を学んだ後、テレビ制作にディレクターとして関わる。退社後、コンデナストパブリケーションズジャパンにて『VOGUE Nippon(現VOGUE Japan)』の編集者に。2年間、ファッションやライフスタイルページを担当。2008年、フリーエディターとして雑誌編集、及び執筆業をスタート。『marie claire』(アシェット婦人画報社)や『SPUR』(集英社)などに関わり、主に女性芸能人へのインタビューやファッションページなどを手がけている。フランス留学時に学んだ「女性学」結婚やキャリアに関する研究ベースとした、世界各地の恋愛事情に造詣が深い。
facebook:小山圭一