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  • 2016.11.14

女の味方は女(続き)。

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前回誤植(というか誤打)があって訂正させてください。
「興行トップ100の映画の約の67%(※)が男性」は「約→役」でした。
俳優たちが演じたキャラクターの67%が、男性。
つまり、映画の男女の人口バランスがオカシイ! という事実だったのにイミフ((+_+))
すいません。


☆女性をけん引する女性たち
WIF(Women in Film)は映画界で女性の味方になる女性たちの話でした。

女の味方はやっぱり女
女性による女性のための団結は、様々な所で見られます。


例えば美容業界。
ロクシタンやエイボンは、独自の基金を設立し、途上国や弱者の立場を強いられている女性を援助しています。
例えばロクシタンは「ロクシタン基金」を設立し、途上国の労働女性の支援を行っています。
また、「エイボン女性大賞」は毎年社会的に貢献した女性たちに贈られますが、その他エイボン社はピンクリボン活動、また先のブログで紹介したように、反DVのため国連女性機関への寄付を続けています。

また仏marie claire誌は、昨年の元IMF専務理事、ドミニク・ストロスカーン氏の性的暴行事件から動きが活発になった、
反性暴力のため、ネット上で署名活動を行っています。
http://www.marieclaire.fr/,ensemble-brisons-le-tabou-des-violences-sexuelles,2610228,541231.asp


こういった動きは、日本では目立ってはされません。
なぜか?
女性が団結して向かう先は、総じて「“男”が作り出した何か」です。
男性に“対抗”するのは、日本人女性の“美意識”に反するからかと思います。
むしろ、対抗するより個人レベルで懐柔してまるめこむ方が手っ取り早い。
それはそれでアリ。
結局は男性が理解できるまで説得させられればいいだけの話ですから。


でも問題は、そうして女性の団結が解体されてしまい、「問題はご自分の私的レベルで解決してください」とされてしまうと、
「ああ、やっぱり女は女の味方にはならない」と失望が生まれるということです。



☆もっともスキャンダラスな“女の団結”
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現代に入って自分的「女性の団結Best1」は“343人のマニフェスト”です。

1971年、フランスLe Nouvel Observateur誌にて衝撃の記事が掲載されました。
“343人のマニフェスト”と題された記事には、「私たちは中絶経験のある343人の売女」と自らを皮肉り、
中絶の自由を訴えたのです。

並んだ署名には、カトリーヌ・ドヌーヴ、マルグリット・デュラス、ステファンヌ・オードラン、フランソワーズ・サガン……

などなど、著名人がずらり。
中絶が一般的には必要悪として認知されていたけれども、あくまで違法であり、“脱法”行為だった当時、
ここに名前が載るだけれで、社会的生命が絶たれるかもしれない危険行為。


これを牽引したのは、『第二の性』で知られる思想家シモーヌ・ドゥ・ボーヴォワールだったわけですが、
最近の60.70年代ファッションがブームの中、ファッション・アイコンとしても注目されていて、
昨年のカルヴェンや、今シーズンのミラ・ショーンなどが影響を受けています。


ちょっと話が逸れました。
元に戻すと、なぜ多くの著名人女性が危険を冒してまで、団結して訴えたかというと、脱法中絶行為で身体を危険にさらされる女性が多かったから。
中絶をさせた医療関係者は違法行為になるため、地下で活動するしかありませんでした(黙認されていたようですが)。
そんな地下医療行為は高額のため、まず一般の人はなかなか受けられない(とされていた)。
「妊娠しないようにすればいいじゃないか」という意見もあるかと。
当時は宗教的に、避妊すら反倫理的行為。
「産まないなら、するな」という“モラル”でした。

そのため、性教育なんてもっての他。
おかげで性が危険を孕んでいるという意識すら男性に低かったのは、今の日本にも通じます。

性意識の高まりは80年代のフランスでのHIVウィルス発見に至るまで、妊娠さえしなければ男は何でもアリで、性病は「運が悪ければなる」程度のものだったようです。
妊娠してしまった非は、結果的にすべて女性側になすりつけられる結果に。
なぜなら、そもそも婚前交渉などしてはいけないから。
結局、原因は男にあるのに、全部責任は女が取る
それが、妊娠問題。
ワーワーワー、現実と建前の狭間って一体……。


これを個人レベルで解決しようとした結果、いわゆる“民間療法”で医療知識のない女性が中絶の手助けをしていたのですが、そこで生まれた悲劇があります。
戦時中に、地下で活動していた「中絶屋」であったある主婦の話。
この主婦は、フランスで最後の“女性死刑囚”となったわけですが、
この史実、映画化されています。




☆宣言の背後にある『主婦マリーがしたこと』
『主婦マリーがしたこと』
http://youtu.be/lyUi4u541ro

ベネチア映画祭で主演女優賞、アメリカでも批評家協会賞を受賞し、ゴールデングローブの作品賞にもノミネートされた作品です。
原題は『Une Affaire de femmes』
直訳すると、“女たちの話”
どこにでもいる女性たちの、どこにでもあるお話とするタイトルからわかるように、
これは特定の特殊な女性たちの話ではなく、フツーに行われていた当たり前の出来事として描いています。


自分は堕胎に関し是も非もなく、女性の身体の健康に関わる問題だという以外意見はありませんが、
この映画を観ていると、堕胎の是非を問う前に、合意の無い妊娠を避けるための男の意識向上が先だと思い知らされます。
女性専用車両を増やす前に、痴漢詐欺を防ぐことが先と言った男性がいます。
これも同じ問題で、順序が逆です。

おっと、話が大幅に逸れました。
悪いクセ、悪いクセ(ーー;)


つまりは、こういう現実に対し、ひたすら“建前”でなんら解決策を取らない男性社会に、NOを言わなければ
違法中絶で死に至る女性が減らない。
だとすれば、自分がスケープゴートになってでも、なんとか訴えねばという勇気。
自分たちの所属する“女”というグループの問題を解決することは、自分も、社会全体も変えることにつながる。
男性の意識を変えるためには、女性が自分たちの問題を共有し、まず女性が女性の味方にならなければ。


「女の味方は女」。
是非、そう女性自身が信じられる社会になってもらいたいものです。
そうすれば、もっと恋愛は進化するのだと思います。



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ライタープロフィール

小山圭一
小山圭一

フランスのリヨン大学第2大学にて「女性学」を学んだ後、テレビ制作にディレクターとして関わる。退社後、コンデナストパブリケーションズジャパンにて『VOGUE Nippon(現VOGUE Japan)』の編集者に。2年間、ファッションやライフスタイルページを担当。2008年、フリーエディターとして雑誌編集、及び執筆業をスタート。『marie claire』(アシェット婦人画報社)や『SPUR』(集英社)などに関わり、主に女性芸能人へのインタビューやファッションページなどを手がけている。フランス留学時に学んだ「女性学」結婚やキャリアに関する研究ベースとした、世界各地の恋愛事情に造詣が深い。
facebook:小山圭一