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  • 2016.11.14

“モテ”はエコじゃない!(後篇)

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☆大勢に愛される、という“ムダ”
「“モテ”はエコじゃない!」

ロンドンから帰ってきた旧友が久々に日本に帰国して、飲みの席での冒頭の発言がコレ。

ふむふむ、面白いじゃないの、解説プリーズ。

セントマーチンでファッション・ジャーナリズム(…だったかと、確か…。酔っぱらってて記憶が…)について学んできた彼女が、
東京の同年代女性のスタイルに共通するポイントがすごく気になったのだとか。
それは“男目線”。それも多数派の男性の“男目線”。
より多くの男性に好感をもってもらうこと、マジョリティにウケるためのコーデだと……。

ふむふむ。で、それがなぜエコと関係が? 続行プリーズ。

「好きな人にモテなければ意味ないじゃない」

なるほど。ここでようやく納得。

(以上がCMマタギ前のおさらい)


☆“恋の地引網漁”という公害
より多くの男性にモテようとすることは、云わば「好感度の撒き餌漁」もしくは「恋愛対象の底引き網漁」
自分が好きになった人だけに好かれたいと努力する行為は、云わば「好意の一本釣り」(大物のマグロこそ一本釣り!)。

狙った人の好きなもの、嫌いな事、共感ポイントを攻略し、効果的アプローチをすることは、その時は相当の理解力や体力を必要とします。
船の上で風に吹かれながら必死で竿を掴み、ときには水しぶきから身を守るためレインコートの隙間から荒波が入り込んできてびしょびしょになるかもしれない。
釣れないかもしれない。その時にはものすごく疲労感に襲われるかもしれない。
けれども、いらない魚にダメージを与えることは少なく、無駄な餌を撒く必要もない。


一方、自分の周囲からより多くの好意を集めようとうとすると、行動は当然、対象となる人々の「好ましい」と受け取られるポイントの共通項を探すことがマスト。
すごくわかりやすく言えば、服の色は白か黒か、髪は縦巻がいいか横巻きがいいか、会話は一緒に盛り上がるかうなずくだけにするか……。
あらゆるポイントで、もっともポピュラーなものを選択していく。
そうやって、より多くの人から好意を持たれる努力こそが“モテ”。


しかし、その「誰からも食いつかれやすい好感」は、当然いらない雑魚(あっ、あくまで漁業の例えのための単語ですから!)まで寄ってきてしまいます。
底引き網で効率よくごっそり愛情をかき集めて、その時は満足するかもしれません。大漁ですから。
でも、底引き網や撒き餌漁で大変なのは、そこから自分に必要な魚を選り分けること。
それにはものすごく精神力が実は必要。なぜなら、相手は魚じゃなく、人間だから……。
それだけならいいのですが、一旦釣られて、そして、もう一度海に捨てられる側も、甲板に打ち付けられて、乱暴につかまれて、リリースされるまでに、相当傷つきます。
その上、不必要に撒かれた餌は海を汚します。

比較すると世界にとって“モテ”は優しくないのでは……。

モテようとすると、どんどん周囲に傷が増えていく。
それどころか、「この人のことが好き!」と近づいた好意を無駄遣いされた、“いらない魚”たちはときに、自分でも無意識の“悪意”を生み出します。
人間なので「ちくしょ~!」と歯ぎしりして、無意識に悪い評判を立てたり、信用を削ぐことを言うかもしれません。
自分をフった相手を、それでも「あの人は素晴らしい」だなんて、よっぽどの聖人じゃないと無理な気がします。
右の頬を叩かれたら、左の頬も差し出せる人がどれだけいるのか……って、モノホンのクリスチャンでも無理! きっと。

つまり、言い過ぎを覚悟で言えば、“モテ”は自分を傷つけてすらいる
「より多くの人に愛されたい」、「モテたい!」人は、他の人を大事にしないのと同時に、自分すら実は大切にできてないのかも。

「自分を大きく売って、大きく儲ける」は自分の愛情も、人の愛情も“ムダ使い”していることに、もしかしたらなるのなら、“モテ”って売らんかなの産業界にしか得がないでは?


そういえば最近、知り合いでものすごくモテてたモテゲイ(付き合っては別れを短期間でリピートするモテゲイの典型)が、余計な好意をふりまかないようにしたとの連絡が。
久々に会った彼は、顔つきが締まって、仕事に熱中するいい顔になってたことをふと思い出しました。


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ライタープロフィール

小山圭一
小山圭一

フランスのリヨン大学第2大学にて「女性学」を学んだ後、テレビ制作にディレクターとして関わる。退社後、コンデナストパブリケーションズジャパンにて『VOGUE Nippon(現VOGUE Japan)』の編集者に。2年間、ファッションやライフスタイルページを担当。2008年、フリーエディターとして雑誌編集、及び執筆業をスタート。『marie claire』(アシェット婦人画報社)や『SPUR』(集英社)などに関わり、主に女性芸能人へのインタビューやファッションページなどを手がけている。フランス留学時に学んだ「女性学」結婚やキャリアに関する研究ベースとした、世界各地の恋愛事情に造詣が深い。
facebook:小山圭一