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  • 2016.11.14

サイコミソロジー(人間の心と行動に関する誤った情報の総称)に振り回されていませんか?

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最近、こう感じることはありませんか?ネットや本屋で心理学、自己啓発、依存症などに関する情報が多いな~と。アメリカやカナダの心理学者によると、このような一般大衆社会に受け入れられている通俗心理学を「ポピュラー心理学」というそうです。

このポピュラー心理学には、格言となっているもの、真実であるものもありますが、中には眉つばらしきもの(信用できないもの)や胡散臭いものもあり、人々をいたずらに惑わし、混乱させているものも少なくないそう。

それらを心理学者らは、サイコミソロジー(人間の心と行動に関する誤った情報の総称)と呼んでいます。今回は、そんなサイコミソロジーに惑わされない人生を送るための、ポピュラー心理学のウソ・ホント最新情報をお伝えしたいと思います。

出典:最新刊50 Great Myths of Popular Psychology:Shattering Widespread Misconceptions about Human Nature  「ポピュラー心理学に関する50の嘘」(※最新刊ですが、日本語版の発売はまだ未定です)別冊日経サイエンス「こころと脳のサイエンス」04号

■誤っているといって差し支えない俗説は意外とたくさんある

日本でも話題を呼んだ当たり前のことのように考えられている俗説の中に、実際は誤りだと言っても差し支えないものがいくつかあるそうです。例えば・・・

『人間の知能は10%しか使われていない』  ×誤り
数10年前に脳の90%は、どのような働きをしているのか科学的にわかっていないと発表されたために、人間は残り10%しか使っていないと間違って解釈されて広まった説です。現在は最新の脳科学研究によりこの説もすっかり廃れていますから信じている人も少ないようですね。

『性格が正反対の人同士が恋に落ちやすい』  ×誤り
または、
『人間は満月になると奇行に走る』  ×誤り
人間の「注意」と「記憶」は当人の主観的な選択により行われる性質を持ちます。ゆえに、性格が正反対のカップルのほうが、似た者同士のカップルより記憶に残りやすく、同様に、満月の明るい夜にとった奇異な行動は、普通の行動よりも目につきやすく思い出しやすいため、このような間違った説が生まれたとされます。月と人間の行動に関することはどうやら眉つばものが多いようです。ご注意を。

『人間の脳はビデオテープやDVDのように出来事をそのまま記憶している』 ×誤り
記憶は主観的に正しいだけなのに、その正確さを信じて疑わないことがたくさんあるそう。実際には記憶は時間の経過とともに不正確になっていくことが多くの研究から明らかにされています。人間の記憶は絶対ではないということですね。人間のカラダのシステムはとても優秀ですが、常に変化しています。

■まだまだ真に解釈されていない人間の行動

また、著書で紹介されているたくさんの俗説のうちピックアップした以下の2つのテーマでの真相が明らかにされていますので、順を追ってご紹介していきましょう。

<1> 怒りを当たり散らすと収まる  ×誤り

人間には「カタルシス」という心理状態になることがあります。カタルシスとは古代ギリシャの哲学者アリストテレスが発見した心理で、過去の屈辱的な体験や恐怖、罪悪感などをさまざまな方法を使って自由に表現し、精神的な抑圧や緊張を緩和させる心理状態を指します。そのカタルシス効果というものがあるがゆえに、怒りも表に出して鬱憤を晴らしたり、激怒したり、胸の内の怒りを打ち明けたりなどして周りに撒き散らして発散すれば、最悪な状態を回避できると世間一般では考えられて来たようです。

ですが、それは誤りで、40年あまりの間に行われた数々の調査の結果、怒りを表に出すと攻撃性がエスカレートすることが明らかになっています。

【正解】:ジョージア州立大学の心理学者リトレル氏による発表
・怒りを出してよいものは、建設的な問題解決策がある場合のみ
・怒りを出してよいものは、怒りの原因を軽減したり解消するために話をする場合のみ
(例)パートナーが神経を逆なでするような態度をとり続ける場合
怒りをぶちまけても状況は改善されず気分も晴れない
↓そこで・・・
憤慨していることを穏やかにではあるがキッパリと伝える「わざとではないとわかっているが、そのままだとあなたに親しみを感じられなくなる」など。
怒りが静まり、解決できやすくなる。

【荒牧見解】:私も以前の記事で脳内分泌ホルモン(特にテストステロン)による瞬間的怒りの爆発は、男女性別関係なく本人にもとめられない場合があると解説していますが、怒りを感じた時は気持ちが静まるまで少しその場を離れることをオススメしています。15分もすれば収まってきますので、怒りを感じた時などは、相手との間に決定的な溝をつくらないためにも、衝動的に怒りをぶちまけるより自分を客観視できるまで怒りを表に出すことは待ってみましょう。ご紹介したように淡々と怒りを相手に伝えるほうが、相手も聞き入れやすく効果的ですし、怒りの中には互いの思い違いからくる誤解から生じたものも場合によってはありますから、できれば自分や相手のためにも穏便に解決できる道をススンで選んでみましょう。

また、最近のSNSなどを使いネット上に匿名などで衝動的に怒りをぶちまけ、それが後で問題になっているケースも少なくないようですが、怒りを一方的にストレートにぶちまけると一時的に快感となります。ですが、それはあくまで独りよがりの快感に過ぎず、その快感の虜になると依存し、攻撃性に歯止めが効かなくなり、どんどんエスカレートしていきます。つまり、建設的に物事を解決できないものに対しての「怒り」を独りよがりの方法で発散しても意味がなく、場合によっては自滅しかねないということです。どうかご注意を。


<2> 高齢者は幸福度が低く哀れな存在である ×誤り

ある調査で心理学を専攻する学生の65%が「ほとんどの高齢者がひとりさびしく生活している」と回答し、別の調査では、医学生の64%が「うつ病患者は若者よりも高齢者に多い」と回答しているそうです。また、若者向けのアニメや映画でも年老いたキャラクターの42%が忘れっぽく気難しいキャラとして否定的な見方で描かれているとのこと。ですが、実際は違うようです。

【正解】:人口ベースの研究では、幸福度がもっとも低いのは25~45歳の年齢層であり、全体的にみれば、65歳以上の男性が最も幸福感が高いことが示され、2万8000人のアメリカ人を対象とした研究では、88歳の被験者のうち3人に1人が「とても幸せだ」と回答している。また、最も幸福度の高い年齢層は、最も年齢が高い層の被験者たちで、幸福度は10年ごとに5%ずつ高まっていた。

【荒牧見解】:以前の記事でも書かせていただきましたが、大人になるにつれ、記憶力の低下はあっても、重度の脳の疾患がないかぎり、高齢者が長年培ってきたさまざまな経験から学んだ知恵や判断能力や創作能力などはむしろ、円熟し大成する傾向にあり、歴史書やフィクションなどの分野でも50歳以降に代表作が生みだされることが多いことも著書に示されています。

日本の現代でも若年層が「幸福と不安の混沌」にもまれているように思います。巷にも善悪や快楽不快の感情を表現する娯楽が溢れています。なにが幸せで何が幸せでないのか?若いうちはたくさんの欲があって当然なので自分の幸せの基準値がどこにあるのか?ある程度年齢を重ねないと自分でもわからないと思います。超高齢化社会が進む日本の高齢の方々の達観や経験からくる「幸せ」レベルと若い人々が求める「幸せ」レベルは違うのか?同じなのか?目指すところは違うのか?世代が変われば経済の流れも変わり目指す幸せも違うのか?その辺りをひも解くと何かみえてくるかもしれませんね。

■まとめとして

人間は日々変化する生き物です。さまざまな情報が飛び交う現代では真実を突き詰めることは難しいかもしれませんが、人間の心理を真剣に学ぶことで真実を知ることができます。今回ご紹介した俗説を解読した著者も「俗説の真偽を確かめれば隠れていた真実が必ず見えてくる」と伝えています。人間の心理の真実をきちんと把握し、自己分析できれば、間違った俗説による蓄積されたストレスや日々湧きおこっていた不満も解消でき、生活も自分なりに改善できるしょう。

また、数々の俗説に振り回されなければ、世を引き継ぐべき大人が若さに嫉妬し、僻むことなく自分の幸せや力を信じて若者を支援し、若者も大人に素直に耳を傾け、慕い、未来に希望を見据え、ときに支えられます。そんな建設的で充実した日々を送るためには「自分の力に合った健全な精神力」は欠かせません。ひとりひとりが積極的に人間の真の力を知り、老若男女が力を合わせればこれからも未来ある日本をつくりだすことができる。そう信じて行ければなと思います。

+ 荒牧佳代 +


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ライタープロフィール

荒牧佳代
荒牧佳代

恋愛科学研究所所長、兼、医療アナリスト。「人間行動学」を研究している。主に脳内ホルモンと個人の性格や行動を関連させ人を研究対象とした学問で、具体的にテーマとして扱っているのは、男女の恋愛や結婚、性事情、育児。携帯サイトの恋愛相談コーナーでは、開設以来長年アクセス数トップの座をキープし、230万アクセスの記録を誇る。近年はスマートフォンやWebサイトにコラム、診断テスト等のコンテンツを多数手がけ、話題に。テレビ、ラジオ、雑誌などでも魔女的に活動中。
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